防衛ホーム新聞社・自衛隊ニュース
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自衛隊ニュース   1023号 (2020年3月15日発行)
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読史随感
神田淳
<第49回>

日本・トルコの友好史
エルトゥールル号遭難(1890)とトルコ機によるイラン在住日本人の救出(1985)

 トルコは親日的な国であるが、それは明治にさかのぼる。1890(明治23)年、トルコの使節団が軍艦エルトゥールル号で日本を親善訪問。親善の全日程を終え、帰国の途についたが、9月16日の夜、艦船は和歌山県南端の大島沖で台風に会い、岩礁に乗り上げて大破。五百数十名の乗組員が死亡または行方不明となったが、大島樫野地区の村民が懸命の救助活動を行い、69名のトルコ人の命を救った。
 日本海軍の巡洋艦で無事本国に送りとどけられた69名の生還者は、自分たちに対する日本人の献身的な行為を伝え、深くトルコの人々の胸を打った。エルトゥールル号の遭難事件はその後トルコの教科書にも載せられ、トルコ人の親日感情の源となった。
 その後百年近く経った1985年3月17日、イラン・イラク戦争が激化する中、イラクのフセイン大統領は、イラン上空を戦争空域に指定し、48時間の猶予期間以降イラン上空を飛ぶ飛行機は無差別に攻撃すると宣言した。イランに住む日本人以外の外国人は、自国の航空会社や軍の派遣した輸送機で次々と脱出していったが、日本人を救出する飛行機は日本から来なかった。
 在イラン野村日本大使は本省に救援機派遣要請をしたが、本省から「イランとイラク両国から安全保証の確約を取れ」と、取り付け困難な訓令を受けた。政府は日本航空にチャーター便の派遣を要請したが、乗組員の安全が保証されないといった組合の意見などにより事実上拒否された。また、当時の自衛隊法は外国における活動を想定しておらず、政府専用機もなく、自衛隊の派遣はできなかった。在イラン日本大使館は救援機を派遣した各国に在留日本人救出を依頼したが、自国民優先で、拒否された。
 そんな中、伊藤忠のトルコ・イスタンブール所長森永堯は、本社の要請を受けて、旧知であるトルコ首相のオザルに、トルコ人救出のための救援機に日本人を乗せてくれるよう必死で依頼した。そしてオザル首相より奇跡的な「イエス」の返答を得た。トルコ航空の2機がイランに派遣され、無差別攻撃のタイムリミット直前の3月19日の夕方、215名の日本人をテヘランから脱出させた。
 テヘランにはまだ多数のトルコ人がいたが、2機の特別機への搭乗は日本人が優先された。500人以上のトルコ人がやむなく陸路(車)で帰国した。これに関し、政府を非難したトルコ人は一人もいなかった。トルコ航空ではオザル首相の決断を受けてただちにミーティングを開き、特別機への志願者を募ったが、その場にいたパイロット全員が志願した。
 なぜトルコは日本に対してそこまでしてくれたのか。後日、駐日トルコ大使は「エルトゥールル号の借りを返しただけです」と言ったと伝えられる。
 この日本・トルコの交友関係の歴史を見て強く感じるのは、立派なトルコ人と明治の日本人、そして情けない現代の日本の姿である。
 その後、自衛隊法が何度か改正され、2015年の安全保障関連法の成立によって、在外邦人の保護措置として自衛隊による「警護」と「救出」が可能となった。しかしその実行には非常に難しい条件が付されている。海外での邦人救出を今後も外国に多くを依存すれば、それは日本がこうした国と対等に付き合えないことを意味する。国家の独立に係わる非常に重い課題である。
(令和2年3月15日)

神田 淳(かんだすなお)
 高知工科大学客員教授
著作に『すばらしい昔の日本人』(文芸社)、『持続可能文明の創造』(エネルギーフォーラム社)、『美しい日本の倫理』など。


トウチとさくら
(トウチ君とさくらちゃんは東京都の鳥「ゆりかもめ」がモチーフの東京地本のマスコットです)
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戦車体験搭乗で能力を体感
 自衛隊東京地方協力本部台東出張所(所長・武下善樹3陸佐)は12月8日、駒門駐屯地において部隊見学を実施した。
 これは自衛隊に対する理解を促進する目的で企画したものであり、募集対象者17名及びその保護者2名は駐屯地到着後、戦車体験搭乗、体験喫食及び装備品展示の順に見学し、機甲教導連隊による74式戦車の体験搭乗及び10式戦車・90式戦車・61式戦車・16式機動戦闘車等の説明を受けた。
 参加者からは「戦車の俊敏な動きに驚いた」「実際に機甲科部隊の隊員と話すことで親近感を感じた」等の感想があり、駐屯地食堂での体験喫食では「ボリュームがある」「栄養バランスが取れていて、とても美味しい」との声が多数聞かれた。
 台東出張所では今後も部隊等と連携しながら、募集対象者、保護者等のニーズを踏まえた各種イベントを実施して、自衛隊の任務の重要性を広報するとともに、防衛省・自衛隊の活動に対する理解と関心を高め、自衛官募集業務に繋げていくとしている。
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高校生らが防医大を研修
講話や実習で理解を促進
 自衛隊東京地方協力本部城東地区隊(隊長・田国彦2陸佐)は12月22日、将来医師を志している高校生やその保護者、高校教諭等を対象として防衛医科大学校(以下「防医大」)の研修を実施した。
 この研修は、一般大学と同様の医学教育に加え将来幹部自衛官となるための基礎的な教育訓練や防衛医学を学ぶ防医大に対する理解を深めてもらうため企画したものであり、参加者は、当初、防医大内の防衛医学研究センター加來教授による「感染症の危機管理」と題した講話、防医大病院の秋富准教授からは准教授自身が医療活動に従事したJR福知山線脱線事故や東日本大震災における現場の実態等について説明を受けた。講話後は、2名の講師に加え医学科の学生を交えた会食が実施され、参加者は普段の学生生活や学校行事等について教授や学生たちへ積極的に質問していた。
 午後からは、防医大病院で勤務する医官から防医大への入校から現在に至るまでの体験紹介、外科手術の縫合実技体験、防医大の研究施設である衝撃波発生装置を見学し、参加者は、「非常に貴重な体験ができた」「研修の終始を通じすべてが興味深い内容であり、このような質の高いオープンキャンパスへの参加は初めてだった」等の感想が聞かれた。
 東京地本城東地区隊では今後も関係機関との連携を図り、防衛省・自衛隊に関する広報活動を積極的に実施していくとしている。
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成人の日に市街地広報
 自衛隊東京地方協力本部練馬地域事務所(所長・森田正幸3陸尉)は1月13日、豊島園駅前広場において市街地広報を実施した。
 当日は、練馬区のレジャー施設「としまえん」において、「練馬区成人の日のつどい」が開催されたため、会場最寄りの豊島園駅を利用する新成人やその家族等に、2〜3月の自衛官候補生試験日程を掲載したチラシを配布した。
 広報官の声掛けに足を止めた自衛隊幹部候補生の受験を希望する新成人や子供を自衛隊に入れたいと言う保護者等は、採用試験の詳細について真剣に耳を傾け、多くの人が自衛隊イベント等に関心を示していた。成人のつどいに制服姿で参加した防衛大学校の2年生は、広報官を見つけると「広報活動頑張ってください」と挨拶し、現地で本部長から祝福の言葉を掛けられる場面もあった。
 練馬地域事務所では今後も防衛省・自衛隊の活動について理解を深めてもらうため、地域に密着した広報活動を実施し、募集業務に繋げていくとしている。
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募集相談員と共に成人をお祝い
 自衛隊東京地方協力本部五反田募集案内所(所長・小澤光1陸尉)は1月13日、品川区の大井町駅前において募集相談員連絡協議会品川支部(以下「募集相談員」)と共に、市街地広報を実施した。
 当日は、隣接する「きゅりあん」(品川区立総合区民会館)で「品川区成人の日の集い」が開催されたため、五反田募集案内所の広報官と募集相談員らは往来する多数の新成人やその家族等にお祝いの言葉をかけながら2月に実施する自衛官候補生採用試験の日程や職業説明会の案内を差し込んだポケットティッシュを手渡した。
 五反田募集案内所の活動に協力した10名の募集相談員らは、新たに作成したお揃いの帽子を参加者全員が着用し、新成人等に積極的に声を掛け、例年を上回る数のチラシを配布し、新成人の保護者から「ご苦労様です。頑張ってください」等、慰労の言葉をかけられる場面もあった。
 五反田募集案内所では、今後も募集相談員等関係協力団体と良好な関係を維持しつつ、防衛省・自衛隊の活動について理解を深めてもらうため地域に密着した広報活動を実施して募集業務につなげていくとしている。
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自衛官募集相談員が部隊を研修

 自衛隊東京地方協力本部城東地区隊(隊長・田国彦2陸佐)は2月3日、城東地区募集相談員連絡協議会の会員16名に対し、習志野駐屯地に所在する第1空挺団及び習志野分屯基地に所在する航空自衛隊第1高射群第1高射隊の研修を実施した。
 本研修は募集相談員に対し部隊の活動状況等を紹介して、じ後の募集活動の一助にするとともに、会員相互の情報共有を図り、募集基盤の強化・拡充を目的として企画したものである。
 午前中は、第1空挺団広報班から習志野駐屯地及び第1空挺団の概況説明を受けた後、落下傘整備工場において、空挺傘の収納展示及び装着体験、基本訓練場において着地訓練やヘリからの飛び出し訓練の見学、最後に空挺館に展示された各種資料の説明を受けた。
 落下傘装着体験では「この重量を背負い行動するには相当な訓練が必要だ」といった声や、空挺館での資料説明では「担当者の説明に引き込まれた。習志野駐屯地の歴史がとても良く理解できた」などの感想があった。
 午後からは第1高射隊の部隊研修を実施し、概況説明で第1高射隊の編成、昨今の社会情勢に伴う任務、訓練状況等の説明を受けた参加者は改めて高射部隊の重要性について再認識していた。
 その後、演習場に移動し装備品PAC-3の説明や発射装置の展示、警備犬の説明を受けた。
 見学者からは「テレビで報道され度々見ていたが、実際に間近で見るとやはり迫力があって良い機会だった」等の感想があった。
 城東地区隊は今後も募集相談員等に対して部隊見学や各種説明会を実施し、より自衛隊の活動について、理解を深めてもらうとともに、募集対象者情報の獲得に向けて更なる連携態勢の強化を図るように積極的に、採用広報活動を実施していくとしている。


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