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   2004年2月1日号
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「高尾山登山で安全祈願
年頭訓練始め
<立川駐業隊>
 立川駐屯地業務隊(隊長・上田正文2陸佐)は1月5日、年頭訓練始めとして、天狗の山で有名な多摩の霊山「高尾山」登山を行い、「薬王院」で本年の「安全」を祈願した。
 秩父山地の東の端にある高尾山は、都心にも近く1,200年近く前からこの山が人々の信仰の「お山」として「殺生禁断」の思想で守られ自然がそのまま保たれてきたので、雄大な山容と荘厳な森を人々の前に現していて、春夏秋冬この山を訪ねる人の数は300万人にも達する。また、この山域には薬王院などの多くの文化財が残されていて、山に尊厳を与えている。高尾山頂は約600メートル、隊員の中には「低い丘みたいな山なので、着替えもリュックの準備もしてこなかった。これは失敗だった。結構汗をかくもんだ」と反省しきりの者がいた。登山者の中には、孫と一緒に登山しているお年寄りが目立ち、微笑ましい雰囲気だった。
 8合目付近にある「薬王院有善寺」は、奈良時代に行基菩薩が開き、成田山新勝寺、川崎大師平間寺とともに関東三山の一つとして古くから世に知れられている。薬王院は高尾山のシンボルであって参道がハイキングコースであり東海自然歩道でもある。高尾山頂大見晴台で食べた、おにぎり(1人3個)の味は格別だった。
 高尾山は1号から6号までの登山コース(約1時間半)があり、それぞれのコース毎に特徴がある。今年は、登山は1号コース、下山は6号コースを楽しんだ。途中の展望点では自衛隊らしく地元で育った地形に詳しい隊員が地点指示を行い、「あそこが私の家です」と説明すれば、「何だ。こんな田舎に住んでいるのか」などと冷やかす隊員がいて皆笑いころげていた。参加者の中には、「とても楽しい訓練だ。こんな訓練なら毎期1回くらいやってほしい」と所見を述べる者もいた。

ダンスパーティーに市民200名参加
<東立川駐屯地>
 トナカイの足音が遠くから聞こえてきそうな師走の12月12日、東立川駐屯地(司令・西村良雄1佐)は、師団の計画に基づく「地域女性層との交流行事」の一環として、「東立川自衛隊クリスマスダンスパーティー」を駐屯地体育館で開催した。
 午後6時の開始時間直前まで広報班の電話は鳴りっぱなしで「女性だけでも参加できるの?」「始めたばかりだけど大丈夫?」「どうやって行けばいいの?」などの様々な間合せが殺到した。
 今回のパーティーには地域市民ら約200名が参加、フリーダンスタイムはもとより、課業外に駐屯地で実施しているダンス同好会の講師(日本ダンススポーツ連盟公認技術指導員の久保先生夫妻)によるデモンストレーションなど寒さを吹き飛ばす内容で、会場は熱気と興奮に包まれながらも師走の夜に舞っていた。
 また、参加者の中には「このダンスパーティーの楽しみは、制服の隊員と踊れること、美味しい豚汁が食べられること」などと隊員手作りの豚汁に舌鼓を打ちながら語る女性の声もあった。
 ※東立川駐屯地では今年6月中旬頃、ダンスパーティーを計画中で参加希望者は同広報班までご連絡下さい。

<論陣>
テロのデマに惑わされるな
怖いのは便乗犯
陸海空の隊員諸君 安全を祈ります
 "テロ"についての流言飛語に惑わされてはならない。このところテレビや新聞、週刊誌などで「イスラム原理主義者過激派集団アルカイダなどによるテロが日本国内で起きる」かのような報道が目につくようになった。それも、自衛隊がイラクに派遣されたら、すぐテロ行為が起きるような言い回しである。マスコミとしては警鐘的な報道とともに、いまひとつ、ことさらセンセーショナルな話題を提供している点も、いなめない。
 確かに、イラク国内では、旧サダム・フセイン軍の残党やイスラム過激主義者たちによる狂暴なテロ事件が続発している。その数は昨年のブッシュ米大統領の戦闘終結宣言以降、目に見えて増えている。テロリストたちの目標は、当初、米英軍や、その関連部門に限られていたが、昨年秋ごろから、その目標は広がりを見せてきている。米英軍を直接目標としているのではなく、米国に協力してイラクに派遣されてきている国の軍隊、さらに、国連や、赤十字の出先き機関なども攻撃され、犠牲者を出している。
 「日本も攻撃目標だ」と宣言しはじめたのは昨年末からである。アルカイダか、その一味とみられるテロ集団が、中東のテレビを通じて「われわれの正面の敵である米国に加担するオランダ、イタリア、カナダなども、われわれのテロの目標である。もちろん、日本もその例外ではない。将来、日本の中心部でテロ行為を実行する」と宣言した。そのご、日本国内では、警察庁、防衛庁、海上保安庁など、国内の重要警戒対象650個所を決定、総数2万人もの取締官が日夜、警備、警戒に当っている。
 警戒重点対象は、政治、行政の中心、総理大臣官邸、アメリカ大使館、防衛庁、米軍基地、東京駅をはじめ国内の主要空港、さらに主要駅、原子力発電所、火力・水力発電所、国公私立の大病院、港湾などが含まれている。ニューヨークのツインビルに対する9・11テロなどの例もあるので、東京タワー、超高層ビルなどのシンボル的建築物も警備の対象になっている。
 最近、特に"警戒"が強められているのが日本を代表する陸上交通機関「新幹線」であるという。JRの新幹線は、山陽、東海道、上越などのほか、ここ数年で長野、秋田、山形、それに以前からある東北などで、タイムテーブルが充実され、金、土、日曜日やゴールデン休日などのときには、90%から120%の利用率に上がっている。もし、これに"テロ"行為が実行されれば、一瞬のうちに、ぼう大な犠牲者が出ることは間違いない。
 警戒は一応、万全だといわれているが、問題は、いわゆる「識者の声」である。テレビや雑誌などでも、時折り「わが国でテロの可能性はあるのか」「テロは着々と準備を進めている」などと報道しているのを見かける。売らんかな主義のひとつの商法かも知れないが、許せない例がひとつある。日本最大都市の知事が、テレビのインタビューにこたえて「新幹線が、いちばん危ない」などと笑いながら語っていたことである。知事といえば一国一城の主(あるじ)。その要人ともいえる人が「テロは新幹線−−」などと語ってはならないことである。この人、もともと、右翼的で、少し変わった考え方をする人だが、やはり、国、国民が真剣に心配しているときに、こんな"言葉"を公式に語ってはならない。
 さらに恐ろしいのはテロ情報に便乗した「おもしろ犯人」や「便乗犯」の出現である。だれか一人が、テロ的な行動をして、それがニュースとして流れると、それを"悪用"して「ニセテロリスト」が現われることである。
 流言飛語も恐ろしい。ある人が、つい、おもしろがって「どこかでテロ事件があったらしい」などと話すと、それが、あたかも"本当の話"になってしまい、あっという間に広がってしまう。パニックを引き起す原因のひとつになりかねない。無責任なひと言が国中で大混乱を起こす。くれぐれも注意すべきである。警備、警戒はおこたりなく行われている。それを信じて暮らしを送っていこう。

防衛ホーム 俳句コーナー
 日を恋うてみな日に向ふ福寿草  岡野アイコ
 誰にとも言はずひたすら毛糸編む  佐藤 汀舟
 うぶすなは深雪の底に眠りけり  紺野 透光
 降る雪に小刻みに足運びけり  佐藤 玲美
 立ち向かふ吹雪に心熱くして  中里 桂子
 生涯を武蔵野に生き冬耕す  石川 武次
 海猫嶋けば潮の香とどく避寒宿  香田 忠男
 海鳴りの闇より聞こゆ冬の佐渡  鶴間 俊子
 着ぶくれて母の小さく居りにけり  晴山 雅之
 ゆづられし席に礼のべ梅仰ぐ  畠山 征宇
 子雀の庭に啄む一透忌  石野つよし
 成人の日の吾娘輝きて輝きて  西村 榮治
 あどけなき口を開きて土雛  平岡みのり
 浜名湖や日の傾きし枯真菰  宮本 立男
 春立ちてやさしき雨となりにけり  和田 一菜
 向き合ひて雛と同じ時過ごす  古賀 芳川
 奥祖谷の囲炉裏がまちの煙管きず  図子 嬰児
 帰り来て雀の御慶受けにけり  北島 美保
 着ぶくれて戦のニュース聞いてをり  ジョンズ美加子
 浮寝鳥朝日の中に揺れてをり  中矢 岳子
     選者吟
 地の底のきびしさに耐へ草芽吹く  保坂 伸秋
     (「栃の芽」誌提供)
 「栃の芽」誌をご希望の方は〈栃の芽会連絡先=仙台防衛施設局総務部・畠中草史氏 電話022・295・1281〉へご連絡下さい。

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