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   2004年1月15日号
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<彰古館往来>
陸自三宿駐屯地・衛生学校
救急車のルーツ (1)
<シリーズ24>
 陸軍衛生は、画期的なレントゲン車の開発や、患者輸送に航空機を利用するなど、時代の最先端を行く先進的な医療器材の装備化を進めていました。
 それでは患者輸送の最も身近な方法としての「救急車」の開発はどうなっていたのでしょうか?
 彰古館所蔵史料によれば、これも陸軍で研究が開始されておりました。明治24年(1891)、軍医総監の石黒忠悳によって、陸軍に所属する軍医全員に対して「野戦で負傷者を運搬するための「創意工夫を考案せよ」という宿題が出されました。この答案集が、彰古館に現存しております。これによると最も初期の患者輸送手段は、せいぜい担架に車輪を付けたり、大八車や人力車のようなものが殆どだったようです。朱書きで書かれた採点の中には「平凡なり。評価するに値せず」と酷評された物さえあります。
 13年後の日露戦争時には、一応患者輸送車と呼ばれる荷車が制式化されておりました。しかし、満州の泥濘に車輪を取られ、戦地に運ばれた201両の患者輸送車の殆どは、使用不能か修理中という有様でした。
 大正7年(1918)のシベリア出兵時には、第1次世界大戦を経験していた欧米に範を取り、イギリス、フランス、イタリアなどから各種の衛生自動車を輸入し現地に送ります。これらの輸入車両も、厳寒の地シベリアの過酷な使用条件では、その持てる性能を発揮する事は出来ませんでした。
 この時、アメリカのリバプリック社の車台に東京瓦斯電(現在のいすゞ自動車・日野自動車のルーツ)によって患者輸送車のボディを架装された車両が現地に送られています。これが国産初の救急車なのです。彰古館には実際にハルピンで活躍する患者輸送車の写真が残されています。

第46回全自衛隊ラグビー大会
陸自船岡が2連覇(Aブロック)
<秩父宮>
 第46回全自衛隊ラグビー大会が12月4日から10日までの10日間にわたって、全国から多数のチームが参加、松戸駐屯地、習志野駐屯地、秩父宮ラグビー場の各会場で行われた。
 試合形式は、A・B・Cの各ブロックに分かれてのトーナメント戦で、時間は35分ハーフ(ただし、A・Bブロック決勝は40分ハーフ)。
 A・Bブロックの決勝戦は12月10日、秩父宮ラグビー場で行われ、Aブロックは船岡(陸)と習志野(陸)、Bブロックは入間(空)と岐阜(空)がそれぞれ対戦した。冬の日差しの中、応援席の声援を背に各試合ともに手に汗握る熱戦を展開、多くの観客の感動を誘っていた。
 試合終了後、表彰式が行われ、大会会長の守屋武昌事務次官が上位チームに優勝旗や賞状などを贈呈したあと訓辞を述べ、勇気、闘争心あふれる白熱した試合内容を称えながら「今後とも、ラグビーを通じて心技体の養成に心がけるよう」要望した。
 大会結果は次のとおり
 〈Aブロック〉▽優勝=船岡(陸)▽2位=習志野(陸)▽3位=東千歳(陸)、国分(陸)
 〈Bブロック〉▽優勝=入間(空)▽2位=岐阜(空)▽3位=富士・滝ヶ原(陸)、松戸・下志津(陸)
 〈Cブロック〉▽優勝=千歳(空)▽2位=守山(陸)▽3位=上富良野(陸)、岩手(陸)

第31回全自衛隊弓道大会
渾身の集中力で熱戦展開
<明治神宮>
 第31回全自衛隊弓道大会が12月7日、穏やかな晴天に恵まれ、全国から多数の選手が参加、全日本弓道連盟中央道場(明治神宮至誠館第二弓道場)で開催された。
 午前8時40分、開会式が始まり、開会宣言、国歌斉唱、優勝杯等返還に続いて北原巖男会長(官房長)が「本日の射は、皆さん一人一人にとって新しい出発の射となるでしょう。気力充実、渾身の集中心で頑張って下さい」と挨拶。来賓を代表して稲葉至誠館長が祝辞を述べたあと、志村貞1空曹(4段)が力強く選手宣誓した。引き続き、本橋民夫2空佐(教士7段)が射手を務め、厳かに矢渡しが行われ、各競技の熱戦の火蓋が切って落とされた。
 大会結果は次のとおり。
団体戦
〈団体戦A〉▽優勝=三沢A(大田修、鈴木裕史、長澤喜代己)16中▽2位=浜松B(谷口貴男、徳田宗生、星野文男)15中▽3位=市ヶ谷A(大江明俊、大原基、松木成治)15中▽4位=浜松A(庄瀬次郎、池田進、長岡修)14中▽5位=岐阜A(佐久間勝弘、藤井茂、小林正徳)14中▽6位=島松A(高祖浩、堀内敬久、川口秀樹)13中
〈団体戦B〉▽優勝=浜松A(住瀬次郎、池田進、長岡修)▽2位=市ヶ谷A(大江明俊、大原基、松木成治)▽3位=三沢A(大田修、鈴木裕史、長澤喜代己)
個人戦
 〈称号受有者の部〉▽優勝=山田正博(千歳A、7中)▽2位=楠井康文(宇治A、6中)▽3位=長澤喜代己(三沢A、6中)
 〈3段以上の部〉▽優勝=松木成治(市ヶ谷、7中)▽2位=森俊也(防大D、7中)▽3位=石橋誠一(小平、7中)▽4位=河合徹(霞ヶ浦、7中)▽5位=内山修一(静浜A、7中)▽6位=江戸直樹(防医大C、6中)
 〈初・2段の部〉▽優勝=伊藤正樹(防大A、7中)▽2位=大田修(三沢A、6中)▽3位=丹羽伸二(東千歳A、5中)▽4位=龍島寛(東千歳B、5中)▽5位=福田慧(防大F、5中)▽6位=佐久間勝弘(岐阜A、5中)
 〈女子の部〉▽優勝=平川由佳(防医大B、4中)▽2位=宮丸光代(入間B、3中)▽3位=龍田芳子(明野A、3中)▽4位=安田美佳(松戸A、3中)▽5位=菊池美香(防医大C、3中)▽6位=浦野和加子(与座A、3中)
 〈隊友の部〉▽優勝=萩野谷綾子(茨城、7中)▽2位=山本秀雄(埼玉、6中)▽3位=松下雅邦(静岡、5中)

防衛ホーム 俳句コーナー
 寒雀群れてベンチに老一人  吉川 道男
 遠富士にありたけの布団干しにけり  榎 利美
 枯木立富士は遠くにありにけり  羽田 豊道
 裸木の天辺に先づ朝日射す  渡辺美恵子
 街沈むかとも降る雪しんしんと  小向 青穂
 初富士に逢ひたる旅の終りかな  島田 芳江
 海に向くベンチのあたり草枯るる  森 未知子
 枯木影息づく風の起りけり  稲川 征夫
 その声の和らぎ覚ゆ寒椿  神部 しげ
 散るといふあはれさ知らず冬ざくら  佐藤 美沙
 地に這ひて風に吹かるる犬ふぐり  荒井 翠峯
 酒よりも軍歌に酔ひし忘年会  紫垣 千風
 お降りに静かな夜となりにけり  相沢富貴子
 清貧の道一すぢや去年今年  青木 敏夫
 嬉(うれ)しく泣いてしまひし初笑  佐藤陸前子
 路地の雪集めて小さき雪だるま  岩崎 緑雨
 讃岐富士穏やかなりし初景色  平田 文
 寒月や夜警の道を影と行く  窪田 功
 手毬(まり)つきなれてととのふ手毬(まり)唄  越後 小吹
 雪一尺終の栖(すみか)の庭隠す  鈴木 余汐
     選者吟
 初渚踏みて怒濤の句を得たる  保坂 伸秋
     (「栃の芽」誌提供)
 「栃の芽」誌をご希望の方は〈栃の芽会連絡先=仙台防衛施設局総務部・畠中草史氏 電話 022・295・1281〉へご連絡下さい。

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