12月13日、国連大学(東京都渋谷区)において外務省主催の「G7ジェンダー平等アドバイザリー評議会(GEAC)・国際女性会議WAW! フォローアップイベント」として、「国際平和と安全保障への女性の参画促進に日本はどう貢献できるか?」と題したパネルディスカッションが行われ、WPS(女性・平和・安全保障)について活発な議論が交わされた。
初めに外務副大臣からのあいさつ(代読)があり、その後、外務省か日本のWPS行動計画の特徴についての説明と、日本が国際機関やJICA、NGOと連携しつつさまざまな国においてWPSの視点を取り入れた支援を行っていることの紹介があった。
元UNMISS司令部要員の有薗氏が発表
続くWPSの現場からの報告では、政府や市民社会など各分野からの日本ならではのWPSの取り組みが報告された。その中で元国連南スーダン共和国ミッション(UNMISS)司令部要員の有薗光代さん(元3等陸佐)が登壇し、施設幕僚として勤務していた時の経験と成果について発表。会場の多くの方から、称賛の声が上がった。
その功績は、UNMISSの施設幕僚として勤務中、実際にハラスメント現場に遭遇し、勇気を出して介入、阻止したことが模範的な行動として評価され、国際女性デーにおいてパネリストとして講演の機会を得るとともに、有薗さん自身が軍事部門司令官表彰を受賞。
「ミリタリージェンダーアドボケイター(国連平和活動局により設立され、国連の全ミッションの中で最もジェンダーの視点を平和維持活動に反映した要員に贈られる賞)」の5名の選出にも選ばれ、さらに最終選考2名のうちの1名に選出されるなど、WPSの分野でも貢献した。
加えて、女性の指揮官として現地の女性のエンパワメントにもなった行動であり、女性史月間に国連センターから紹介されている。
この功績について、近々自衛隊を定年退官する予定の女性自衛官の教官の教えがあり、行動・成果に結びついたとのことであった。
会場には大使、大使館職員、研究員、大学生、防衛省職員等の幅広い聴講者が参加しており、有薗さんの発表は「インスパイヤ-された」、「(泣きながら)励まされた」、「一番良かった。意義のある内容だった」など、これこそ、まさに素晴らしい女性の主体的な平和への関与の好事例、WPSの活動であると多数、称賛の声が上がった。
また、会場からの「WPSを推進するために必要なもの」は何かの質問に対し、専門家のパネリストからは「リーダーシップ」、「男性のエンゲージメントが大事(女性だけではいけない)」、「人口の半分の男性と女性のそれぞれの意見の反映が必要」、「(今は男性だけの現状が多いことを踏まえ)意志決定プロセスに女性の視点を」、「女性だけの問題ではない、男性も同じように被害を受けているため、男性女性ともに参画が必要」、「ビジョンを示すだけではなく「実行」に移していくことが肝要」などの回答があった。
防衛省でも推進本部を設置
今後は豪軍が進めているように『WPS(Women, peace and Security)』が女性・女児だけではなく、多様な視点による『GPS(Gender, peace and Security)』へと進化する可能性・潜在性を持っている、そんな明るい未来も垣間見られた。
防衛省においては今年度、WPS推進本部が設置され、今年度末までにはWPSに係るコンセプトを作成するとしている。今後の防衛省における真のWPS/GPSの推進に期待したい。 |