12月5日から7日の間、西太平洋海軍シンポジウム上級下士官会同2023(WPNS SELWG 2023‥Western Pacific Naval Symposium Senior Enlisted Leaders Working Group)が都内のホテル等で開催され、過去最多となる19か国約30名(日本を含む)の上級下士官がグループ討議や部隊研修および文化研修等を通じて交流を深め、各国との協力・信頼を醸成した。
先任伍長制度創設20周年事業
本会同は、西太平洋地域の各国海軍の上級下士官が一堂に介する場として、2007年、ニュージーランド海軍の提唱で「WPNS上級下士官シンポジウム」として始まった。2010年のWPNS本会議で正式に設置が決定されると、2012年に名称が今の「WPNS上級下士官会同」となった。毎年1回、WPNS加盟国が持ち回りで開催し、新型コロナウイルス感染症の影響で4年ぶりの対面開催となった本年度は、海上自衛隊先任伍長制度創設20周年記念事業として、日本が2009年以来14年ぶりに主催した。
海曹士主体で初めての国際会議
この日を迎えるまでには相当な熱意と周到な準備を要した。昨年12月に海幕総務課に「海上自衛隊先任伍長制度創設20周年事業準備室」が編成され、全国から集った選りすぐりの海曹8名を室長の末永茂和海曹長が率いた。海曹士が主体となり、大規模な国際会議を企画・運営することは今回が初めてのことだけに、その
プレッシャーは大きかった。
海自全体で指定されている先任伍長は約300名。そ
のうち約60名が当日参加し、
総合司会や討議のファシリテーター等を務めた。警備・受付・案内・通訳等全国から
支援要員も集まり、曹士が一
致団結してこの日に臨んだ。
次世代に向けたリーダーシップ
本会同のメインテーマは「次世代に向けたリーダーシップ」。海上自衛隊先任伍長の東和仁海曹長は開会式で「SELWGの在り方について改めて考え、新たな考え方や取組を知り、組織をブラッシュアップすることで、より良い形で次世代へと受け継ぐ機会としたい」と挨拶した。初日は海自による発表とリーダーシップについてのグループ討議、6日はフィリピンと英国による発表、慶應大学教授の特別講演が行われた。午後からは横須賀基地に移動し、最新鋭多機能護衛艦(FFM)「くまの」を研修。続いて第2術科学校(田浦)では海自唯一の庁内託児所「このはな園」を見学して園児たちと交流した。最終日の7日は浅草を巡り日本文化への理解を深めた。
初めて海曹士が主体で開催し、海自の存在感を各国に示す事ができた国際会議を若い世代はどう感じるだろうか。この事業の成功により、先任伍長制度が将来を担う次世代隊員の道しるべとなることを願ってやまない。
※参加国は以下のとおり
アメリカ、インド、インドネシア、イギリス、オーストラリア、カナダ、カンボジア、シンガポール、韓国、チリ、ニュージーランド、フランス、フィジー、フィリピン、ブルネイ、ベトナム、ペルー、マレーシア(線は初参加) |