2021年、あけましておめでとうございます。
本年こそ、人類がコロナ禍を克服し、日本を含む世界中の皆さんが笑顔を取り戻すことが出来ますよう、心から願って止みません。
そのためにも、各国の為政者の皆さんは、国民から信頼されなければなりません。真に国民の命を守ることを第一に自分たちに寄り添ってくれているんだと国民が感じるような、目に見える・責任ある・時機を失しないコロナ禍対策の策定・実施を、自らの言葉と行動でリードして行かなければなりません。
併せて、私たち国民一人ひとりは、用心の上にも用心し、私たちに出来る基本的な感染防止策は全て完全に実施して参りましょう。マスクの着用・手洗い・3密(密閉・密集・密接)回避は不可欠です。移動を控え、「STAY HOME」、「静かな年末年始」、「5人以上の会食の自粛」に努めることも重要です。
この瞬間にも、患者の皆さんの命を救うため、多くの医療従事者の皆さんが懸命に頑張ってくださっています。自身が感染する危険が常にある治療・看護等の医療行為は連日連夜に及び、心身ともに疲労困憊の極に達していることでしょう。しかも、もはや「日本が誇る医療制度が風前の灯になっています。本日、我々、医療関係団体は医療の緊急事態を宣言します。医療においては間違いなく緊急事態だと申し上げている。そのうえで判断するのは政府だということです」(2020年12月21日、中川俊男日本医師会会長記者会見)
すさまじい現場の切迫感・危機感。
医療現場の悲痛な叫びに応える感染拡大防止策等の断行は待ったなしです。
私たち自身は、引き続き自らの感染防止に努めると共に、医療従事者の皆さんに対する心からの感謝と慰労の気持を共有し、静かに熱いエールを送り続けて参りましょう。
日本も諸外国も感染は拡大の一途をたどり、未だ収まる気配は全くありません。猛スピードで開発されたワクチンについては、アメリカやイギリス等での接種が始まったばかりです。日本での接種時期については、ワクチンの安全が確保され次第一気に行っていくとのことですが、明示されるまでには至っておりません。緊張と不安は続きます。
そして1年延期されたオリンピック・パラリンピックも、あっという間に迫って来ました。オリンピック開会式(7月23日)までに残された日は、半年ほどしかありません。更に、コロナ禍が生起する前までは、政府が肝いりで推進してきた全国の自治体に対する各国選手団の事前合宿の受け入れや地元の皆さんとの積極的な各種交流を行うホストタウン事業。今や、どう安全を確保しながら対応して行けば良いのか等、自治体は苦慮しています。
「人類が新型コロナウイルスに打ち勝った証として開催し、東日本大震災の被災地が復興を成し遂げた姿を世界に向けて発信する場にしたい」(2020年10月23日、東京五輪・パラリンピック競技大会推進本部における本部長の菅首相発言‥時事通信)
コロナ禍という特異な危機のど真ん中にあればこそ、私たちは、安易にマスコミや世間、周囲の風評や評判、大勢の人々の流れや選択にそのまま乗ったり乗っているのではなく、「立ち止まって考える」、「本当かなぁ?」と疑ってみることも大事なのかもしれません。
こうした中、12月21日には2021年度の政府予算案が閣議決定されています。岸防衛大臣は、閣議後の記者会見にて、「着実に防衛力を強化すべく、過去最大となります5兆1235億円を計上いたしました。…真に実効的な防衛力の構築に取り組んで参ります」と述べています。
盛り込まれた内容は、いずれも平和憲法の下、専守防衛に徹し節度ある防衛力を自主的に整備するものであって、他国に脅威を与えるような軍事大国となるものではありません。また日米安保体制を堅持するうえで必要な経費が計上されているものです。
間もなく開催される通常国会等において、活発な審議・議論が行われることと思いますが、誠心誠意説明し、国民の理解と支持を得て行っていただきたいと思います。
「本当かなぁ?」といった疑念には、事実に基づく責任ある丁寧な説明あるのみです。
北原 巖男(きたはらいわお) 元防衛施設庁長官。元東ティモール大使。現(一社)日本東ティモール協会会長。(公社)隊友会理事 |