平成26年度富士総合火力演習の一般公開が「これが日本を守る力」をテーマに8月24日、静岡県御殿場市の東富士演習場で行われた。富士学校、富士教導団(団長・山中洋二陸将補)を中核に、人員約2300人、戦車・装甲車約80両、各種火砲約60門、航空機約20機、その他車両約600両が参加した。
"総火演"は陸自最大規模の実弾演習。火力装備の能力と実際の運用などを教育の一環として富士学校の学生に理解させることを主目的にして、広く国民の理解を得るために一般公開される。夜間演習を含む学校予行(19・21日)、教育演習(23日)を経て迎えた24日は、厚い雲から時折陽が覗く天候の中、小野寺五典防衛大臣をはじめ防衛省・自衛隊の高級幹部、国内外の来賓、招待者、約24倍の高倍率で当選した一般公募見学者など見学席を埋め尽くした約2万9000人が午前10時開始、前段・後段計約2時間の演習を見守った。
前段は陸自火力を装備品ごとに性能や特色を丁寧に解説しながら進行した。99式自走155oりゅう弾砲の最初の一発を皮切りに、遠距離火力、中距離火力、近距離火力を次々に展示。富士山を描く曳火射撃や、世界最高レベルの技術により旋回しながら射撃する10式戦車のスラローム射撃をはじめ、高難度の射撃に観客の歓声、溜息、拍手が止まなかった。
後段は、島嶼を敵から奪回するシナリオを、前段に出演した陸自の装備、部隊をはじめ海自P―3C、空自F―2なども出演し統合作戦で展示した。
演習終了後、戦車・装甲車などの車両から顔を覗かせ、部隊旗を誇らしげに振りながら見学者のほうを向いて帰投する隊員たちの笑顔を見て、東京から来た30代の会社員は「最後の戦果拡張で戦車やヘリなどが勢揃いした場面は圧巻でした。標的に命中させる正確さも目を見張りました。自衛隊の実力を再確認しました」と話していた。実弾演習の緊張感は言うまでもないが、大臣観閲、全国から詰め掛けた大勢の見学者、国民や世界が注視(今年度もネットで生中継)する中で行われる総火演だけに、任務完遂の言葉が相応しい、充実感に満ちた素晴しい隊員の笑顔だった。 |