10月18日、海上自衛隊厚木航空基地において、派遣海賊対処行動航空隊(派行空)第13次要員(司令・山形文則1海佐)の帰国行事が行われた。
約4カ月前の6月5日、梅雨の合間の晴れ渡る青空を抜け、ジブチへ向かった2機のP—3Cは、あの時と同じ青空に迎えられ無事帰還した。午後2時ちょうどに5031機、約1分後に5037機が着陸。家族、隊員、OB、地元の協力団体関係者らが出迎える中、格納庫前に駐機した2機のP—3Cから山形司令を先頭に派遣隊員がタラップを降りて駆け足で近付いてきた。一斉に手を振り、カメラを構える家族らの表情に笑顔の花が咲く。駆け足の隊員たちは当然表情を崩すことはないが、心なしか足取りが弾んで見えた。その後、堂々とした行進で格納庫内の式典会場に入場した。
アデン湾での警戒監視飛行は約4カ月間の派遣期間中に約73回、約560時間に及び、海上自衛隊の護衛艦をはじめ各国の軍艦などに情報提供を行う機会は約570回に上った。海自P—3Cの搭乗員・整備員(海自第4航空群基幹)、P—3Cの警衛やジブチの拠点における管理運営業務などを担った陸自隊員(陸自中央即応連隊基幹)、どの顔を見ても、日本の代表として国際社会で重責を担い、任務を完遂した誇りや充実感に溢れていた。
「非常に有意義でした。この任務の重要性を直接肌で感じる事ができた。派遣期間は夏季、乾季で、風が強い時期でもあり、気温の高さ、日差しの強さ、砂ぼこりの激しさに驚かされた。隊員の健康管理と航空機が故障しないよう、特に注意を払いました」(山形司令)
式典では山形司令の帰国申告に続き、武田良太防衛副大臣、松下泰士自衛艦隊司令官が相次いで訓示した。ともに「船舶の安全航行に大きく寄与しました。お疲れさまでした。諸君の海賊対処に対する技術の高さ、情報提供の正確さは各国から高く評価されています」(武田副大臣)などと派遣隊員の優れた働きを讃え、労った。同時に、「ご家族ご友人の方々にお礼を申し上げます」(松下司令官)などと留守を預かった家族らへの感謝の言葉を添えてもいた。また、派遣部隊に小野寺五典防衛大臣(武田副大臣が代理授与)から第1級賞状が授与された。
式典終了後、厳かな雰囲気の解けた格納庫内では、家族や同僚の隊員たちと派遣隊員が久々の再会を喜びあった。次から次に、幾らでも互いの報告があるのだろう。尽きせぬ会話はいつまでも続いていた。 |