"侍ジャパン"の4人目の監督に小久保裕紀選手(42)=元ダイエー、巨人=が就任した。現役時代2057試合に出場し2041安打のほかホームラン王、打点王まで獲得した名球会会員の一流打者だ。監督就任には「世界一の座復帰」の大きな期待がかけられていることはいうまでもない。
過去、第1回・王貞治、第2回・原辰徳監督で世界一に輝いたものの、3人目の山本浩二監督では4強止まり。それだけに、小久保新監督に託された期待の大きさがうかがえる。
小久保新監督も「気軽に引き受けていいものか、とかなり逡巡したが、引き受けた以上は、これまでの経験を全部出し切って体当たりしたい」と意気込みを語っている。任期は4年、2017年の大会に復活の可能性は十分だ。
そんなとき、中日の監督に谷繁元信捕手(42)が現役兼任監督として就任する話が伝えられた。落合博満元監督(57)でリーグV4、日本一1回を果たし、チームはAクラスに定着したものの、その後がパッとしない中日。プロ野球最年長の高木守道監督(72)に見切りをつけ「心機一転」を計ろうというわけ。球団GMには落合氏が再登場して、若い谷繁新監督をバックアップすることになったが、一部では「谷繁は隠れ蓑、落合・中日の復活」といった見方もあるようだ。
しかし谷繁監督は「オレはオレ流でいく。GMには相談しても、監督当時の作戦の請け売りをさせてもらうことはない。とにかく"負けない野球"をしたい」と強気だ。
プロ野球の過去の監督を振り返ってみると、捕手出身に成功者が目立つ。野村克也を筆頭に森祇晶、上田利治、梨田昌孝…。古田敦也元ヤクルト監督、伊東勤現ロッテ監督なども一流監督に仲間入りする人材だ。捕手はグラウンド全体を見渡し、ベンチの監督とも試合運び、投手・野手の交代などを常に綿密に打ち合わせているし、選手とは年齢的に近いこともあって、チームのことを監督以上に知りつくしているから、谷繁監督への期待もそんなところにあるのだろうか。
これに反し、投手出身の監督は成功する例が少ないようだ。10指に余る中で、日本シリーズまでコマを進める監督は数えるほどしかいない。今季の楽天・星野仙一監督はじめ金田正一、藤田元司、権藤博、東尾修、堀内恒夫、杉下茂、秋山登、村山実、稲尾和久、渡辺久信…。頭数はいるが、記憶に残る人材が少ないのは、どういうことか。
投手は自己顕示欲が強く「何であんなタマしか投げられないんだ」「あんなタマがなぜ打てないのか」…自分の現役時代と比較し、作戦なども、コーチ陣と相談なしに決めることが多いと聞く。来季、新監督で再出発するチームも出てきそうだが、どんな戦いぶりを見せてくれるのか。小久保監督の"侍ジャパン"第1戦は11月8〜10日に行われる対台湾強化試合3連戦。まずは新監督の指揮ぶりに注目してみたい。 |