今年のテーマは「愛、希望、勇気、今を越えて、その先へ」。東日本大震災の追悼、復興へ向けたメッセージを発信するため掲げられた。19日午後には「特別公演」が設定され、被災者や災害派遣への協力者、在日米軍人とその家族など東日本大震災関係者が招かれた。開演に先立ち、防衛省・自衛隊を代表して一川防衛大臣が登壇。「愛、希望、勇気」のテーマに触れ、「震災から8ヵ月、被災地の皆さまに改めて伝えたい言葉です」、「今この時を乗り越え未来へ向かって行こうという気持ちを音楽の力で表現したい」などの挨拶をした。プロローグとして『アメイジング・グレイス(賛美歌)』が演奏され、続けて、『国の鎮め』のらっぱ吹奏とともに震災で亡くなられた方々に対する黙祷が捧げられた。
例年通り、音楽まつりは3章構成。メインテーマ「愛、希望、勇気」が各章名に使われた。陸・海・空自衛隊音楽隊、第302保安警務中隊によるオープニングセレモニー、オープニング演奏に続き、第1章『愛』へ。各方面音楽隊、在日米陸軍軍楽隊、在沖縄米海兵隊音楽隊によるドリル演奏。北部方面音楽隊の『コラール・デ・ソーラン』に合わせ、北海道の各地から集まった隊員が力強くよさこいソーランを舞い踊った。在日米陸軍軍楽隊の『世界にひとつだけの花』では、男女パートに分かれ日本語で見事な歌声を響かせた。東北/東部方面音楽隊合同演奏では、2方面音楽隊の『Stand Alone』に合わせ、スペシャルゲストの宮城三女OG合唱団が美しいハーモニーを披露した。
第2章『希望』冒頭では未来への希望の象徴として防大儀じょう隊のドリル演奏。陸自中央音楽隊、海自東京音楽隊、空自中央音楽隊による単独ドリル演奏では、陸中音が重厚な『ザ・シンフォニアンズ』、『凱旋』を、海東音が人文字などを駆使し軽快に、『宇宙戦艦ヤマト』、『行進曲 軍艦』などを、空中音は華麗なカラーガードを交え『空へ』、『明日という日が』などをそれぞれ演奏した。続けて全国の自衛太鼓から12個チームが出演。単独でも迫力のある自衛太鼓がこれだけ揃う機会は他になく、魂を揺さぶる振動が館内に轟いていた。2章のラストは音楽まつり出演全部隊による『さくら』と『希望』の大合唱。『希望』は、来場者も共に大きな声を出して会場全体が一体感に包まれた。
第3章『勇気』では陸・海・空自衛隊音楽隊による演奏に続き、全出演部隊による、東北方面隊創立50周年記念曲『七彩の奥羽国』、エドガー作曲の『威風堂々』で感動のフィナーレ。全部隊が退場したあと、1人指揮台に残った陸自中音武田晃隊長は消灯らっぱの演奏に送られ、バックステージに消えた。名残惜し気な万雷の拍手はいつまでも止まなかった。 |