歴史の瞬間に立ち会ったかの印象を受ける。正しくは可能性の萌芽だ。卒業生は未来、重大な事態に臨み主役となって決断し、歴史を作るかもしれない。
本科生から陸自193名・海自109名・空自101名が曹長に任命され、幹部候補生学校に入校する。
また、大学院課程に相当する研究科の卒業生は、任務遂行に必要とされる高度な理論を修め、それぞれの専門分野で引き続き自衛隊に貢献する。
理工学研究科前期課程第41期生、総合安全保障研究科第6期生が修士号を取得。理工学研究科後期課程では5名の第1期生が誕生し、卒論の博士認定に期待が集まる。
【日本と世界のために】
午前10時、50周年記念講堂に小泉首相が臨場し、防大儀仗隊による栄誉礼を受けた。会場には厳しかった学生生活の緊張感がそのままみなぎる。引き締まった空気に隙はない。荘厳な「君が代」が場内に響いた。
壇上には21名の留学生の祖国、タイ、韓国、ベトナム、モンゴル、シンガポール、ルーマニア、インドネシア、7つの国旗が掲げられた。
西原正校長が本科学生全員と、研究科学生の代表3名に卒業証書を手渡した後、校旗と日の丸を背に式辞を述べた。
「習得した知識を活かし精神面をさらに深化させ、国防に当たること」また「任務は予期せぬ時に予期せぬところで求められる」そのための柔軟な思考と洞察力の下地として「歴史書、古典文学に親しみ、海外を旅行して異文化に接すること」「沈着さと自制心と共に、高い道義観を持った指揮官に」と希求した。
【首相、活躍と発展を】
小泉首相は訓辞でまず、平成3年以来の国際貢献活動の成果に触れ、イラクで活躍中の第27期卒業生・佐藤正久先遣隊長の「日本国民の善意の代表者、実行者として、精一杯人道復興支援に取り組まねばならない」というメッセージを紹介した。さらに36名の女子卒業生には、女性自衛官の活躍範囲の拡大に期待し、21名の留学生には「各国防衛当局の間の強い信頼の絆」となって欲しいと述べた。
最後に「過去半世紀、2万人を越える先輩達が積み重ねた実績を受け継ぎ、一層の努力により国民と共にある自衛隊、国際社会の平和と安全に貢献する自衛隊の実現を」と呼びかけ、祝いの言葉を結んだ。
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