ライバル応援団も惜しみない声援
國吉選手のクロカンは、1周5キロの周回コースを3週して競われた。瀬女高原のコースは8月に全日本選手権が行なわれた大変難しいコース。幅2メートルほどの登山道は木の階段が多く、岩も露出している。コースは直線でスピードがどんどん出る。いこの下りがコースの難易度を一気に上げているという。「最初から飛び出して前方で待機し、余裕があれば逃げ切り狙い。もし追いつかれたら、その人と勝負」というのが國吉選手の戦略。予定通り最初の登りを先頭でクリア。2位との差は10秒ほどで「しばらく走っても差が開かないので合流を決意」した。追いついてきたのは会場から歩いて5分の尾口小学校教諭である三山選手。
「彼は30歳以上のマスタークラス・ダウンヒル全日本チャンピオンで、クロスカントリーでも上位に入る実力者。このレースの最大のライバルでした。先頭を走り続けながら息遣いやちょっとした会話などで相手の様子を探りながら、どこで勝負するか考え、2周目に入り急な登りで三山選手が少し遅れたので一気に速度を上げて、ゴールまで逃げ切ることが出来ました」─総合優勝の感想は?「過去の同大会では年齢別で優勝することはあっても総合は初めて。小松から近く、いつも練習している瀬女のコースで優勝したことは嬉しかったです。ゴールの周りには小学生たちが三山先生の応援にたくさん来ていました。彼らの先生に勝ったのに、そんなことはお構い無しで私に声援を送ってくれたことが本当に嬉しかったです」
体力自慢も登りゴールで叫ぶ
茂田選手のヒルクライムは最後まで気が抜けない自分との戦い。場所によっては非常に急な11kmの林道、標高差600mのレースで一番早く山頂に着いたものが勝ちという競技だ。「ただ登るだけ」といえば簡単だが、これほど苦しい勝負はない。きつい所ほど勝負の分かれ目だ。
「あまりのつらさにいつも参加したこを後悔していますが、ゴール後の景色と、下りの面白さが最高のため、懲りずにやっています」と話す茂田2尉の本業はマラソン。体力勝負のヒルクライムは絶好の競技だ。「あくまでもクラス(20代)1位であり、総合ではまだ先に選手がいました。だから、悔しいほうが強かったです」とさらに上を意識している。─ゴール喜びの第一声は?「息も絶え絶えだったので、叫び声だけですよ」
粘り強さが勝利の秘訣
「茂田2尉はとても粘り強い走り。離されても諦めずに走ります」と國吉3曹。一方の茂田選手は「國吉3曹が自転車に乗るとそのバイタリティと積極性に驚く」と語る。2人の共通項は『粘り強さ』だろう。その秘訣は日頃の職務にあるようだ。
小松基地整備補給群修理隊・エンジン小隊。航空機整備、エンジン整備は大変忙しく、隊員は残業続き。6空団エンジン小隊が大変忙しい時期に小隊長として着任した茂田2尉、総演中は睡眠時間もままならないほどだ。仕事は常に「粘り強く」。
─整備の仕事は?「朝から夜遅くまで仕事です。これが整備幹部ですから」(茂田)「小隊長である茂田2尉以下、明るい雰囲気で働いています。これからもエンジン小隊のためにがんばります」(國吉)勝負も仕事も粘り強く。空を支える男たちのタフネス、日頃から整備で培った管理能力と切磋琢磨が今回の優勝、受賞をもたらした。
國吉正紀3曹:エンジン小隊整備員。自転車競技歴10年。練習は体調とよく相談するのがコツ。興味のある方はどんどん会場に足を運んでいただけると嬉しいです。12月14日に長野で行われるシクロクロス全日本選手権でも良い走りをしたい。
茂田慶一2尉:総括班長兼エンジン小隊長。青森のヒルクライムレースで来年は3位以内が目標。週末のジョギングは全力疾走をいれて限界能力を高めるのがコツ。本業のマラソン、山スキー、登山。チャレンジすることが好きです。
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