防衛ホーム新聞社・自衛隊ニュース 防衛ホーム新聞社 防衛ホーム新聞社
   2003年11月15日号
1面 2面 3面 5面 6面 10面 11面 12面

防衛庁 勲章・褒賞受賞者 6面

空自隊員、激戦を制す
國吉3曹(総合優勝)茂田2尉(ヒルクライム1位)
MTBワールド瀬女カップ2003年
 サスペンション調整。タイヤの選択や空気圧など。コースに合わせた微細なセッティングデータを当日まで蓄積する。走行中は息遣いや会話でライバルとかけひき、スパートをかける。勝者は息も絶え絶えに歓喜の叫びでゴール。200人の中で、勝者はたった一人。それだけに上位入賞の喜びは大きい──
 第10回全国マウンテンバイク愛好者大会「MTBワールド瀬女カップ2003」が10月4日、石川県尾口村の白山瀬女高原スキー場で開催された。当日の天候は若干肌寒い秋晴れでも、競技者には汗ばむ程の天候だった。年齢別の4部門でクロスカントリーが行われ、強豪選手も参加する中、B部門を制した國吉正紀3曹が総合優勝を飾った。さらに同部門で2位入賞の茂田慶一2尉が、翌日5日のヒルクライム男子Bで堂々の1位。2人は小松基地、第6航空団整備補給群修理隊に所属。同じエンジン小隊の隊長と隊員だ。「とにかく走行技術がすごい。後ろを走る時は自分と比較して参考にしています」茂田隊長がと部下を評すれば、國吉隊員は「初の大舞台で驚異的です。5キロ走17分台の体力は凄まじい」と上司に驚く。激務の職場が互いを高めあう。熱き整備マン、上司と部下のライダーを紹介。その魅力に迫る。<入船浩之>
ライバル応援団も惜しみない声援
 國吉選手のクロカンは、1周5キロの周回コースを3週して競われた。瀬女高原のコースは8月に全日本選手権が行なわれた大変難しいコース。幅2メートルほどの登山道は木の階段が多く、岩も露出している。コースは直線でスピードがどんどん出る。いこの下りがコースの難易度を一気に上げているという。「最初から飛び出して前方で待機し、余裕があれば逃げ切り狙い。もし追いつかれたら、その人と勝負」というのが國吉選手の戦略。予定通り最初の登りを先頭でクリア。2位との差は10秒ほどで「しばらく走っても差が開かないので合流を決意」した。追いついてきたのは会場から歩いて5分の尾口小学校教諭である三山選手。
 「彼は30歳以上のマスタークラス・ダウンヒル全日本チャンピオンで、クロスカントリーでも上位に入る実力者。このレースの最大のライバルでした。先頭を走り続けながら息遣いやちょっとした会話などで相手の様子を探りながら、どこで勝負するか考え、2周目に入り急な登りで三山選手が少し遅れたので一気に速度を上げて、ゴールまで逃げ切ることが出来ました」─総合優勝の感想は?「過去の同大会では年齢別で優勝することはあっても総合は初めて。小松から近く、いつも練習している瀬女のコースで優勝したことは嬉しかったです。ゴールの周りには小学生たちが三山先生の応援にたくさん来ていました。彼らの先生に勝ったのに、そんなことはお構い無しで私に声援を送ってくれたことが本当に嬉しかったです」

体力自慢も登りゴールで叫ぶ
 茂田選手のヒルクライムは最後まで気が抜けない自分との戦い。場所によっては非常に急な11kmの林道、標高差600mのレースで一番早く山頂に着いたものが勝ちという競技だ。「ただ登るだけ」といえば簡単だが、これほど苦しい勝負はない。きつい所ほど勝負の分かれ目だ。
 「あまりのつらさにいつも参加したこを後悔していますが、ゴール後の景色と、下りの面白さが最高のため、懲りずにやっています」と話す茂田2尉の本業はマラソン。体力勝負のヒルクライムは絶好の競技だ。「あくまでもクラス(20代)1位であり、総合ではまだ先に選手がいました。だから、悔しいほうが強かったです」とさらに上を意識している。─ゴール喜びの第一声は?「息も絶え絶えだったので、叫び声だけですよ」

粘り強さが勝利の秘訣
「茂田2尉はとても粘り強い走り。離されても諦めずに走ります」と國吉3曹。一方の茂田選手は「國吉3曹が自転車に乗るとそのバイタリティと積極性に驚く」と語る。2人の共通項は『粘り強さ』だろう。その秘訣は日頃の職務にあるようだ。
 小松基地整備補給群修理隊・エンジン小隊。航空機整備、エンジン整備は大変忙しく、隊員は残業続き。6空団エンジン小隊が大変忙しい時期に小隊長として着任した茂田2尉、総演中は睡眠時間もままならないほどだ。仕事は常に「粘り強く」。
─整備の仕事は?「朝から夜遅くまで仕事です。これが整備幹部ですから」(茂田)「小隊長である茂田2尉以下、明るい雰囲気で働いています。これからもエンジン小隊のためにがんばります」(國吉)勝負も仕事も粘り強く。空を支える男たちのタフネス、日頃から整備で培った管理能力と切磋琢磨が今回の優勝、受賞をもたらした。

國吉正紀3曹:エンジン小隊整備員。自転車競技歴10年。練習は体調とよく相談するのがコツ。興味のある方はどんどん会場に足を運んでいただけると嬉しいです。12月14日に長野で行われるシクロクロス全日本選手権でも良い走りをしたい。
茂田慶一2尉:総括班長兼エンジン小隊長。青森のヒルクライムレースで来年は3位以内が目標。週末のジョギングは全力疾走をいれて限界能力を高めるのがコツ。本業のマラソン、山スキー、登山。チャレンジすることが好きです。


空自創立プレ50周年 入間航空祭
ブルーインパルスも飛行
 航空自衛隊は11月3日、恒例の一大イベント「入間航空祭」を埼玉県狭山市の入間基地で開催した。
 国内最大規模の航空祭で、空自の発足から今日まで、積み重ねてきた成果を国民に見せ、自衛隊への理解と協力を求めてきた。昭和37年に始まって、今年で35回目。秋空の風物詩として市民権を得て、例年20万人を超える入場者を迎え華やかに行われている。
 来年7月には空自創隊50周年を迎える。今回は「プレ50周年」との位置づけから前夜祭の趣向となり、また3連休最終日とあって、ファン待望の一日となった。世界でも有数の防空能力を人目見ようと早朝から大勢の見物客と招待者が集まった。
 当日は早朝から降ったり止んだりの天候で、ほとんどのショーやアトラクションが中止となった。ときに傘をさすほどの雨の中、建ち並ぶ屋台には湯気が立ち、売店で記念品をもとめる航空ファンたちでにぎわいを見せた。人気のブルーインパルスは、霧雨の中でT−4が轟音とともに地上滑走。若干の飛行を見せてご挨拶。全国から集まったファンの足労に報い、来年へのモチベーションを高めた。

来場者の声
 長野から来たという30代の男性。2人組みのアマチュアカメラマン。三脚と望遠レンズの露を拭きながら「毎年かかさず楽しみにして来ています。今年は雨で残念ですが救難ヘリは撮れました。来年の50周年が本番。楽しみにしています」

2面へ
(ヘルプ)

Copyright (C) 2001-2014 Boueihome Shinbun Inc