繊維製品の人体に対する安全性や環境への影響に対する国際規格である「エコテックス規格100」の認証が日本でも行われ始めた。ヨーロッパ生まれの同規格は、糸や原料に至るまで人体に有害な物質を厳しくチェックすることで知られている。
各国の繊維研究所で
ヨーロッパで80年代後半に、衣料によるホルマリン中毒や染料の発ガン性が問題視されたのをきっかけに、オーストリアとドイツの繊維研究所が合同で、繊維製品に含まれる有害化学物質の規制値「エコテックス規格100」を92年に設定。同年にスイスの試験機関テステックスも加わり、「エコテックス国際共同体」(本部・スイス)を発足させた。
現在、同共同体には13カ国を代表する繊維技術研究所が加盟しており、日本では昨年、財団法人日本染色検査協会(東京)が加盟。国内での認証制度をスタートさせた。
厳しい設定値
同規格は、製品を「乳幼児用」「肌に直接触れる」「肌に直接触れない」「装飾用素材(カーテン、壁紙など)」に分類し、重金属、フェノール類、可塑剤、染料、揮発性物質など100種類以上の試験項目で、各分類に制限値や使用禁止を設定している。
農薬22種はヨーロッパの食品基準と同じ、ホルムアルデヒドは世界一厳しい日本の制限値と同じ、発ガン性のあるアゾ系染料は禁止など、各国の法規制より厳しく設定されているのが特徴だ。
規制値や試験方法は最新知識を基に定められ、各国研究所が同じレベルを保つため、年に2回、国際的規模の手合わせ試験と研修を実施する。
天然素材といえども
綿、ウールなどの天然素材は、土壌に残る農薬や重金属が混入する可能性が高いし、健康によいとされるカテキンや竹の成分を付加する場合も、それらを抽出、加工する際に有害物質を使うこともある。「自然素材なら無害というイメージが先行するが、それが危険なこともある」と、同協会エコテックス事業所の駒田展大所長は指摘する。
同協会では各企業から製品の申請を受け、検査試験に合格したものに認証ラベルを交付する。
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