午前10時20分、先導艦「むらさめ」に続いて、小泉首相、石破長官を乗せた観閲艦「しらね」が晴海から出港。岸壁を離れ、徐々に速度を上げ「しらね」は受閲部隊の待つ東京湾内会場へと向かった。出港の様子を「しらね」の観閲台から見ていた小泉首相は、厳しい表情を時おり緩め甲板などで手際よく仕事をこなす乗員にも感心した様子だった。「しらね」の乗員の一人は「国際観艦式という晴れの舞台で艦長はもちろん一同張り切ってます。訓練の成果の見せ所です」とその意気込みを語った。また会場に着くまでの間、記念撮影をする隊員の姿もあり、隊員たちにとっても記念すべき海の式典となった。 「本日天気晴朗にして浪静か。天候に恵まれ」と小泉首相の言葉にあったように、秋晴れの下、海自の各艦をはじめ11ヵ国17艦艇が湾内に整列。その受閲部隊の間を「しらね」を中心とした観閲部隊が航行した。 自衛艦だけでなく各国海軍の艦艇にも関心が集まり、中には見学者の問から歓声が上がる艦艇もあった。台計26の艦艇観閲を終えた「しらね」は再び晴海に戻りこの日の国際観艦式は終了した。 国際観艦式の開催にともない各地で様々なイベントが行われた。晴海や横浜新港、木更津、横須賀の岸壁では海上自衛隊を含む参加各国の艦艇一般公開があり、多くのファンが会場を訪れた。 10月14日、晴海埠頭で行われた一般公開は天候にも恵まれ、家族連れやカップルが迎えられた海自隊員と記念写真を撮ったり、乗員の案内をうけながら、迷路のように入り組んだ艦内の様子を見学したりと終日賑わった。この日公開されたのは護衛艦「しらね」「しまかぜ」「むらさめ」「ゆうぎり」「やまぎり」と韓国海軍の艦艇。前日の観艦式の模様をテレビ等で見た、という人も多く、小泉首相が乗艦した「しらね」には特に人気が集まっていた。 「乗艦チケットを応募したが当選しなかったのでせめて一般公開で乗れれば」と訪れる人もいて、中には「動いている艦艇にも乗りたかったけど砲弾を持てたりと楽しい」と語る人も。 また、晴海では12日の夜、停泊する艦艇の電燈艦飾も行われ、ライトアッブされた艦艇を前に見学者たちはレインボーブリッジや湾岸の夜景と合わせた光の競演をいつまでも楽しんでいた。(小川郷太郎)