防衛ホーム新聞社・自衛隊ニュース
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自衛隊ニュース   1061号 (2021年10月15日発行)
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よせがき


射撃を通じて変わった自分
第7普通科連隊(福知山) 3陸曹 佐野真己
 第7普通科連隊(連隊長・小野田宏樹1陸佐=福知山)では令和3年度4月より、豪州陸軍主催射撃競技会(AASAM)の選手を目指す隊員の練成訓練が行われ、私は初めて参加しました。
 AASAM選考会に参加するまでは、射撃についてあまり興味がなく、どうせ上手くならない、どうせ的に当てる事は出来ないと思っていました。しかしある日、先輩から細かいところまでアドバイスを頂いたのをきっかけに上達し、射撃に自信が持てるようになりました。
 そして、射撃を極めようと決めました。
 AASAMは、オーストラリア国防軍が主催する、実戦形式の射撃競技会の事で、世界数十か国が参加し、各国が射撃練度を世界に示すことができる場です。各国10名ほどの代表者が選考会に出場します。他国の射撃などを見て互いに学び高めあえる最高の舞台です。
 まずは、AASAMの師団選考会が目標でした。非実射訓練や実射訓練を積み重ね、毎日射撃予習を行い、姿勢や見出しの研究を行いました。その結果、師団選考会で合格する事ができました。私は人より筋肉質なため、射撃を行う際、被筒部を握りしめ照準がぶれてしまうので、左手は力を入れず、銃を手のひらに置くことを意識しました。頬付の位置はベビーパウダーを頬に着けて射撃予習をし、毎回どの姿勢でも同じ位置に頬がくるようにしました。武器手入れにも着意し、詳しい先輩に教えて頂きました。射撃前後の武器手入れや、様々な事を前向きに学び、自分が努力した事が、結果に結びつくんだという事を初めて実感しました。
 信太山駐屯地で1週間、師団の練成訓練が行われました。そこでは、日中実射訓練をし、課業外はメンタルトレーニングを行いました。AASAM出場経験のある教官の下で練成射撃することが出来たのでとても良いアドバイスを頂きました。自分の中での射撃への考え方や、武器手入れの考え方が大きく変わりました。特に一番学んだことは、「メンタルトレーニング」の重要性です。「どうせ俺は」や「前もこうだったし今回もどうせ」といったマイナス思考をやめることです。言霊という言葉が存在するようにマイナス思考をすることによってその方向に引き寄せられてしまい、その可能性が高くなってしまいます。同じ事象でもとらえ方を変えて、「ここまで努力した」「俺ならできる」といったプラス思考に変換することが大切だと学びました。この考えを実行するためには、毎日の努力の積み重ねと自分に自信がつくまで続けることが大切だと思いました。
 続く方面選考会当日、私はいつも通りのルーティーンで挑みました。2日間選考会の1日目に弾詰まりを起こしてしまいました。しかしながらメンタルトレーニングが活かされ、冷静に故障排除を行い限秒に間に合いました。その後も一つの失敗を気にせず、不安になることもなく射撃をやり遂げました。どれだけ毎日武器手入れを行っていても何が起こるか分かりません。そのためにも何が起きてもいいように心の準備や故障排除の動作確認が大事だと実感しました。2日目は今まで行った射撃の中で一番手応えがあり自信がありました。周りの音が澄み切っている感じがしていてとても集中できました。いわゆる「ゾーン」というのに入った感覚でした。結果も2日目は点数は高かったです。ついに方面選考会に「合格」しました。次は富士学校に入校し、ライバル達と共に練成し、競い合い、日本代表選手になろうと決意しました。
 AASAMの代表選手になって、第7普通科連隊に訓練成果を全て持ち帰り、皆が任務遂行できる実力を持つように射撃を教えていきたいと思います。以前の私みたいなマイナス思考の隊員を少しでも減らせるように後輩育成にも励みたいと思います。

大宮レンジャーの教官として
第32普通科連隊(大宮) 2陸尉 程田和光
後悔の気持ちをバネに共に成長
 この度、令和3年度第39期部隊集合教育「レンジャー」に、教官として参加をしました。私は、昨年度に幹部レンジャーを卒業したばかりであり、教官として学生を一人前のレンジャー隊員に育て上げることができるのか、とても不安を感じていました。
 しかし、レンジャー教育の準備期間が始まると、助教達の溢れんばかりの熱量を感じ、それに感化されるように教官としての使命感が芽生えました。
 主任教官の「人間味のあるレンジャー隊員を育てよう」の要望事項に応えるべく、私は2点の事を常に意識しながら教育に臨みました。
 1つ目は、レンジャー教官のプロになることです。学生時代の訓練手簿を見返したり、教範を確認して正確な情報を基に学生の模範となれるよう努めました。
 2つ目は、安全管理です。レンジャー訓練は、非常に危険な訓練ですので、常に危険と隣り合わせです。計画段階からあらゆる危険を見積もり、教育中においては学生の健康状態、また訓練場所の危険箇所等の確認に細心の注意を払いました。
 教官としてレンジャー教育に参加して、たくさんの苦労を経験しましたが、最後の帰還式で学生達が、涙を流しながら私に対して「ありがとうございます」と感謝の気持ちを言ってくれて、レンジャー教育に携わることができて幸せだと感じると共に、学生達の成長を目の当たりにして、自分自身の学生時代とは違った達成感を感じました。
 卒業した学生は、達成感と共に後悔の気持ちが少なからずあると思います。私も、後悔の気持ちがありました。想定訓練中、眠気と疲労で限界を感じ、警戒をしながら手をついて休んでしまったこと、急いで移動するべきところを歩いてしまったこと。本当にあの時は自分の限界だったのか。ただの甘えだったかもしれない。そんな後悔の気持ちが頭を離れません。しかし、左胸にレンジャー徽章を着けている以上は、レンジャー隊員として、自衛官の生涯を通じて努力しなければならないと思います。後悔の経験をバネに、これからは同じレンジャー隊員として共に成長していければと思います。
 最後になりますが、教育期間中、教育に集中できる環境を作ってくださった部隊の方々、教育を支え応援してくださった全ての方に深く感謝します。ありがとうございました。

柔道五輪金メダリスト(濱田尚里1尉)
第33普通科連隊(久居) 1陸曹 本田宗一郎
 私と濱田選手との出会いは、第12普通科連隊柔道部に所属していた時、課業後に国分西柔道クラブに指導者としている時に出会いました。家が自衛隊の近くでもあり、兄妹でクラブに入会して来ました。
 私の指導方針は、柔道の基本・基礎をしっかりと指導する事で、最初の段階は受け身、打込みと乱取りという段階で一つ一つ覚えていくことです。
 この競技は、怪我が多く基本・基礎を怠ると次の段階に進めないが、濱田選手は人よりも上達が早かったです。特に乱取りには寝技もあり、その時に指導したことは確実に覚え、また基本的な寝技で抑え込んでいました。少年柔道大会で審判の支援で参加した時も、立技で投げて寝技で抑え込み勝利する印象が強く、小学生時代はズバ抜けて強い訳ではなく、人一倍練習に励む子供で、指導した事がうまくいかず、抑え込まれて負けた時は、本当に悔しそうにしていました。
 少年柔道の練習後も、中学生との練習にも参加し、みるみる成長し強くなって行きましたが、その時に濱田選手に話しをしていたことが、「私も小学生の頃中学生達とよく練習し強くなったよ」と、その話しを覚えていて、練習に参加してくれた事は非常に嬉しく、またこの子は強くなると感じました。
 その後も中学生以降柔道を辞めたいと言う気持ちもなく、日に日に成長を感じていました。指導者は、私を含め4人居ましたが、本人に「悔しかったらもっと強くなってみろ」と言った事も覚えており、先輩・同級生・後輩と切磋琢磨しながら高校生の時には、さらに強くなり私達指導者も抑え込まれる日も近いなと思いました。
 私達指導者の思いの通り濱田選手は順調に成長し、高校は鹿児島南高に進み、インターハイ優勝、山梨学院大に進学後、全日本大学柔道選手権優勝、そして、自衛隊体育学校に入隊、全日本選抜体重別選手権優勝、平成18年には見事に世界選手権優勝し、今回のオリンピックにおいても金メダルと、本当に指導者としても嬉しかったです。少女時代から本人の成長に携わり、また努力は嘘をつかない事も教えてもらいました。
 これからも本人の良き理解者、指導者として支えていきたいと思います。

レンジャーを卒業して思うこと
第8普通科連隊(米子) 3陸曹 松尾宗修アレキサンドル
 旅団レンジャー集合教育を3カ月という長い期間を無事に卒業して思うことは、自分という存在がいかにして成り立っているのか、それを嫌というほどに痛感しました。
 自分という存在の成り立ち。それは、同じレンジャーを共に志した同期・仲間達、心を鬼にして私達をレンジャーにすべく教導してくださった教官・助教の方々、駐屯地からいつも応援してくださった上司・同僚・後輩たち、そして家族。これだけ多くの方々から支えていただいていたからこそ、自分は今ここにあるのだと、一人ではどうすることもできなくとも、仲間とであればあらゆる艱難辛苦も乗り越えられるのだとレンジャーを卒業して改めて自分が一人ではなく、皆があってこそなんだと思い知りました。

旅団レンジャー集合教育を終えて
第46普通科連隊(海田市) 3陸曹 小池柚希
 私は今回、この22期旅団集合教育「レンジャー」を終えて大きく2つの事を学びました。
 1つ目は同期の大切さです。どの局面においても同期の存在は大きく、一人では何もできないと身に染みて感じました。特に想定訓練間においては、私がくじけそうになった時に周りの同期から「いけるぞ」「全員でいくぞ」という心に響く声をかけてもらい、とても励みになりました。
 2つ目は周りの方々への感謝の気持ちを持つことの大切さです。この辛く苦しい教育を何とか修了できたのも、応援してくれた中隊の方々や、私たちがうまくいかない事や分からない事があっても、時には厳しく、時には優しく熱心に指導していただいた教官・助教の方々のおかげです。本当にありがとうございました。
 今はまだレンジャー隊員としては未熟ですが、この胸に付いているバッチに誇りを持てるようなレンジャー隊員になれるよう頑張ります。

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