防衛ホーム新聞社・自衛隊ニュース
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自衛隊ニュース   1043号 (2021年1月15日発行)
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読史随感
神田淳
<第69回>

武士の娘

 杉本鉞子(えつこ)は1873年(明治6年)、旧越後長岡藩の家老稲垣茂光の末子として生まれ、武士の娘として厳格に育てられた。26歳のとき兄の友人で米国に住む貿易商杉本松雄と結婚するために渡米。二人の娘に恵まれ12年幸福に暮らしたが、夫の事業失敗を期に帰国。その直後夫が急死。1916年アメリカを懐しがる二人の娘を連れて再渡米。ニューヨークに住んで執筆した自伝的エッセイ『A Daughter of the Samurai(武士の娘)』がベストセラーとなった。1920年から7年間コロンビア大学で日本語と日本文化の講座をもつ。1927年帰国し、1950年76歳で没した。
 『武士の娘』は単なる自伝にとどまらず、日米両文化の生活を体験した杉本鉞子の生きた比較文化論ともなっており、随所に日米両文化に関する深い考察が見られる。鉞子はアメリカ文化を理解し、成長していくが、日本の伝統的武士文化を否定せず、それに誇りと愛情をもっていることが伺える。
 鉞子は子供の頃から女が男に劣ると教え込まれ、それを疑ったことはなかった。しかし東京に出て女学校で学ぶうちに疑問をもつようになった。家では神様を祀る神棚のことはすべて男の手でなされ、女は穢れているとして手を触れることができなかった。あるとき父に、祖母でも穢れているのか、祖母は父があれほど大事にしている人だからそんなことはないでしょう、と問うた。父は、そういうふうに考えればいいんだよ、けれども、小さい時から教えられた女の道というものを忘れてはなりません。あの教えこそ、何代も何代も時が経つ中にお祖母さまのような立派な婦人を造ってくれたものなのだよ、と鉞子に答えた。
 アメリカで生活して、鉞子は日本の文化は感情を表に出さないことをよしとする文化だと強く思うようになった。日本人は過去幾代にもわたって、感情を強く表に表すことは品位を落とし、威厳を損なうと教えられてきた。感情のすべてに、礼儀作法という枷をかけており、特に妻は厳しい礼儀作法に従って身を処していくことを大きな誇りとしている。この礼儀作法に従ってこそ得られる威厳と謙遜が、最大の栄誉とされる。
 そして、婦人が自由で優勢なこのアメリカで、威厳も教養もあり、一家の主婦であり、母である婦人が金銭に関する権限と責任を与えられておらず、夫に金銭をねだったりするのが信じられないと書いている。日本では古い習慣に従って女は一度嫁すと、夫はもちろん、家族全体の幸福と責任をもつよう教育されている。妻は家の主婦として、自ら判断して一家の支出を司っていたと記している。
 祖母はアメリカに行く鉞子に、14歳でこの家に嫁いだ体験を言い聞かせたが、鉞子は武士の躾をうけた者は、どのようなことにも処してゆけるものだということを悟らされたという。
 鉞子は武士道文化に誇りをもっているが、一方的な礼賛はしていない。日本の男性は伝統の絆に縛られて、その顔に仮面をかぶせ、唇をつぐみ、動作をはばまれて、その胸にあふれる愛情を表現する機会に恵まれていないことを残念に思う、と書いている。
 鉞子はアメリカを素晴らしい、忙しい、実際的な国だと言い、アメリカが日本によく似ていることに気づいたという。そして最後に、西洋でも東洋でも人情に変わりないことを知ったと記している。(令和3年1月15日)

神田 淳(かんだすなお)
 高知工科大学客員教授著作に『すばらしい昔の日本人』(文芸社)、『持続可能文明の創造』(エネルギーフォーラム社)、『美しい日本の倫理』などがある。


化学兵器禁止機関(OPCW)による査察を受け入れ
<陸自化学学校>
 陸上自衛隊化学学校(学校長・竹内鋼太郎陸将補、当時=大宮)は、12月7月〜10日の間、「化学兵器の開発、生産、貯蔵及び使用の禁止並びに廃棄に関する条約(化学兵器禁止条約)」に基づき、化学兵器禁止機関(OPCW‥Organization for the Prohibition of Chemical Weapons)の査察を受けた。OPCWは、本条約に基づき1997年に設立された国際機関であり化学兵器の禁止と拡散防止のために査察を中心とした様々な活動を行っている。
化学学校は、これまでも本条約に基づき10回の査察(平成9年〜29年の間)を受け、全ての査察において申告内容に問題が無いことが確認されている。
 化学学校は、新型コロナウイルス感染防止対策を十分に行う中、ベアトリクス・タンプボロン査察団長以下3名の査察員に対し査察前ブリーフィングを実施し、査察員から施設の設備等に係る現地確認及び、化学物質の各種記録に係る検証等の査察を受けた。一連の査察により申告内容に問題が無いことが確認され、暫定報告書に署名し、査察は終了した。
 タンプボロン査察団長からは、「新型コロナウイルスの流行にも関わらず、被査察締約国の優れた協力により目的を達成することができた」と謝意を示された。竹内化学学校長は、化学兵器禁止条約に基づき締約国としての義務を確実に履行するとともに、これからもOPCWの活動に対し協力していくと述べた。

地域住民に日頃の感謝
<防衛大学校>
 11月7日、防衛大学校(横須賀市)は近隣においてゴミ拾いボランティアを実施した。当活動の計画、実施は学生が主体であり、毎年約3回、休日の早朝に行っている。今回のボランティアには前回の倍以上に相当する536名もの学生が参加し、学校周辺に始まり海岸や公園等様々な場所を分担し清掃を実施した。また、最後には志半ばに殉職した防大卒業生及び在校生に感謝と敬意の念を示すため、顕彰碑の清掃や殉職者に対する黙祷を実施した。当活動の企画を担当した学生隊学生長付の加藤大樹学生は「コロナ禍という情勢を踏まえ、一定地域に大人数が留まる活動の回避やマスク着用及びソーシャルディスタンスの確保を徹底した。早朝の活動であるにも関わらず参加してくれた学生や、ご理解ご協力をいただいた地域住民の方々に感謝したい。今後も日頃の感謝を示すことで、本校が地域に愛される存在であり続けるように活動していきたい」と述べた。

准曹

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USOジャパンからの表彰盾を贈呈
 11月18日、航空自衛隊連合准曹会は新田原基地において、「2020年度USOジャパン(米軍慰問協会)顕彰」を受賞した第5航空団管理隊の坂本勝典准空尉の功績を讃えるため、贈呈式を行った。
 この顕彰式は当初、9月5日に東京都港区ニュー山王ホテルで行われる予定であったが、新型コロナウイルスの影響により残念ながら中止となり、USOジャパンの代理として、連合准曹会会長・杉本孝哉准空尉並びに航空自衛隊准曹士先任 甲斐修准空尉から表彰盾等を贈呈することとなった。
 贈呈式で杉本会長は、「USO顕彰受賞に敬意を表します。今後更なる活躍を祈念します」と称え、坂本准尉は「この受賞に恥じぬよう、部隊の任務遂行と地域貢献に全力を尽くします」と応えた。
 坂本准尉は、警備要員としてイラク復興支援活動に従事。管理隊では、准曹士先任として適切な服務指導と積極的なコミュニケーションを図り、部隊長を的確に補佐する等、上司、後輩隊員からも厚い信頼を得ている。また、パワーリフティング世界大会へ出場し、アジア記録を更新する等、その実力をもって、地元の中学生及び高校生に対し筋力トレーニングの指導を行い、地元地域への自衛隊に対する相互理解と募集・広報活動にも大きく貢献・寄与をした。
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小学校にベルマークポイントを寄贈
目黒基地准曹会会長
空曹長 園田 大五郎
 私は、11月13日、目黒基地准曹会を代表し、目黒区立油面小学校へベルマークポイントを寄贈してきました。この活動は、航空自衛隊目黒基地准曹会と陸上自衛隊目黒駐屯地曹友会で協力し、不要となったプリンターインクカートリッジを回収しベルマークに交換後、そのポイントを目黒基地近傍の小学校へ寄贈する活動です。中目黒小学校、不動小学校に続く3回目の今年は、目黒区立油面小学校に16825ポイントを寄贈しました。
 岩前校長先生からは、油面の地名由来をご教示いただき大変興味深い話を聞かせていただきました。また、板井PTA会長からは、「子供たちのために有効に使います、来年もお待ちしています」と大変喜んで頂き有意義な活動となりました。
 今後も、目黒基地准曹会一同が協力し、来年の寄贈に向けて活動を継続していきたいと思います。
 最後になりましたが、この場をかりまして、目黒基地准曹会及び目黒駐屯地曹友会会員の皆様のご協力に深謝いたします。本当にありがとうございました。
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