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自衛隊ニュース   2013年7月15日号
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南海トラフ巨大地震(同時発生)初想定
平成25年度自衛隊統合防災演習

 7月1〜5日、防衛省・自衛隊は、全国の演習参加部隊所在地で「平成25年度自衛隊統合防災演習」(以下25JXR)を行った。統合防災演習は指揮所演習(25JXRでは一部実動演習)の形式で平成18年から各種の大規模震災を想定した演習を行っている。今年度は駿河湾から九州にかけての太平洋沖のプレートと日本列島側のプレートが接する境界で東海地震と東南海・南海地震が同時発生する「南海トラフ巨大地震(同時発生)」を初想定。岩崎茂統合幕僚長が小野寺五典防衛大臣の指示で3月に作成した「自衛隊南海トラフ巨大地震対処計画」(研究案)の計画検証演習として、岩崎統幕長を訓練統裁官に、内局、統幕、陸海空の各幕、情本、陸海空の各演災南海部隊から成る演災南海統合任務部隊(以下、演JTF南海、指揮官・渡部悦和東部方面総監)、在日米陸軍、米第3海兵機動展開部隊が参加した。また、15府省庁や約30都道府県が研修、参加人員は計約3000名に上った。

 25JXRで検証した「自衛隊南海トラフ巨大地震対処計画」(研究案)では、政府の中央防災会議がとりまとめた南海トラフ巨大地震の地震・津波による最大被害を引用しており、建物被害=約238万棟(全壊)、人的被害=死者約32万3千人、避難者=約950万人等の数字は東日本大震災の被害、首都直下、東海、東南海・南海の各大規模震災の被害想定を大きく上回る。
 研究案では自衛隊の対処計画案として、防衛・警備上不可欠な部隊を除く最大勢力の部隊集中と様々な地震発生形態に対応できる当初の前進目標と配属先の決定による(1)対処態勢の確立、地震動・津波による原発の被災も想定し施設立地地域の陸上自衛隊の方面隊主体の住民非難支援等を実施する(2)原子力災害対処、米軍との連携・共同対処のための日米連絡調整所の設置や政府の緊急災害対策本部・現地対策本部・自治体対策本部を通じた連絡調整を行う(3)関係機関との連携を挙げている。これらを踏まえ、25JXRでは「JTFの組織準備→組織・運用→組織後の機能発揮」、「原子力災害対処に係る指揮関係」を主要検討項目、「統幕と各幕、情本及びJTFとの調整・連携要領」、「初動対処時の統幕、各幕、情本、及び主要部隊の指揮幕僚活動」を主要演練項目とした。
 岩崎統幕長は4日の定例会見で広範囲の巨大地震対処のため方面単独ではなく「東方総監が中方も西方も海・空も指揮統制下に入れ演練を行っている事が大きな検証点」と述べた。
 25JXRは7月1日9時18分の状況開始(日向灘から駿河湾にかけM9の南海トラフ巨大地震発災)以後、24時間体制で各種災害シミュレーターによりプレーヤー(演習参加部隊の司令部等)に被害等の状況を付与、プレーヤーがゲーマ—(隷下部隊等)に命令した審判結果が報告され進められた。演習のうち、7月1日15時に防衛省第1省議室で行われた小野寺大臣出席の防衛省災害対策本部会議の冒頭と、3日には、朝霞駐屯地に設置された演JTF南海兼陸災南海東方部隊のうち、各調整所や訓練統制部、指揮所訓練支援隊などが報道公開された。
 公開時の演JTF南海は、2日13時50分に小野寺大臣が編成命令を発出、東方総監部を中心に増強幕僚、西方総監部・中方総監部等から連絡幹部等を加えて編成を完了し、機能発揮を始めた段階で、各種報告から近畿四国方面の被害が甚大である状況が把握され(2日13時30分に気象庁が「近畿四国太平洋沖地震」と発表)、日米連絡調整所等の各調整所で資源や部隊の最善の配置等について会議を行う様子等が公開された。統制部公開中の10時57分には最大余震が東海地区で発災、中部電力・浜岡原子力発電所が被害を受けた状況が付与された。浜岡原発は19mの津波、震度7の地震動により「原子炉は冷温停止中だが、外部電源、内部電源を喪失」という状況。
 25JXRは、4日14時30分時点で「順調に推移」(岩崎統幕長)、5日10時30分に終了した。今後は、25JXRによる研究案の検証を基に平成25年12月末を目途に計画を(修正)し、防衛大臣に報告する。


5年後10年後を見据えて
「現場は素晴らしいと誇りと自信を持っている」(片岡空幕長)
空自連合准曹会評議委員会開催

 第21回航空自衛隊連合准曹会の評議委員会が7月4日から、東京新宿区のグランドヒル市ヶ谷で2日間に渡って開かれた。委員会には全国の空自73基地のうち64基地から評議員(支部会長等)が参加し、各種提案等を討議した。
 連合准曹会の村田圭史副会長(開発集団司令部医務官付・准空尉)の開会宣言に始まり、同会の最高顧問でもある片岡晴彦・空幕長が登壇、「精強性の原点は現場にある。東日本大震災時、各部隊は災害派遣で本当に献身的に頑張ってくれた」と述べられた。
 そして「我々は現場に誇りと自信を持っている。この現場の素晴らしさを若い人達に伝えていくことが大切」と"隊員同士による懇親会"や"官舎でのコミュニケーション"などの小集団活動を通じた意思疎通、絆の醸成の重要性を訓話の中で強調。その上で片岡空幕長は「若い人のライフスタイルが大きく変わってきているが、皆さんの組織力で若い隊員を徹底して指導、教育する努力を今後とも是非お願いしたい」と自らの若い時代を振り返りながら笑いも交えて連合准曹会への強く、熱い期待を示した。
 その後、参加者は片岡空幕長との記念撮影を終えて、実質的な評議委員会を開始。連合准曹会の北林樹会長(空幕人計課・准空尉)が「ただの任意団体ではなく、空自という組織に貢献する組織として人を育て、人を助ける組織となりたい。そのためにも皆さんの協力が必要」と挨拶した。議案討議においては、各基地の実情を踏まえた真剣な意見交換が続いた。
 各評議員の若い隊員そして空自に対する熱意はその後の懇親会でも尽きることはなく、太い絆と信頼関係を再確認した。


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