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自衛隊ニュース   2011年7月15日号
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ハイチPKOに参加して

 昨年1月23日、ハイチで20万人以上の死者をもたらす巨大地震が発生したことに伴い、防衛省・自衛隊はすぐさま国連ハイチ安定化ミッション(MINUSTAH)へ陸自部隊などを派遣、1年半以上にわたって被災民への救援物資の輸送や、倒壊した家屋の瓦礫除去、キャンプ地の整地、道路補修、排水施設の構築などの活動にあたっている。また、他国軍とも協力しながらハイチの復興のため、懸命に支援活動を続けている。
 現地の派遣隊員(中部方面隊主力)から所感文が届きましたので逐次紹介していきます。(編集部)

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日韓共同任務を遂行
3師団3施大2中 2陸尉 今出 勝
 平成23年5月16日から6月3日までの約3週間、我々施設中隊はここハイチにおいて韓国隊と共同で任務を遂行した。
 今回の作業現場は韓国隊宿営地の近くであり、我々の宿営地から約40kmと距離的に遠くはないが、ハイチの道路事情を考えると片道約2時間半を要する。そのため、今回は共同で作業を遂行するのみならず、韓国隊宿営地に宿営しての任務となった。
 今回の任務は、病院建設予定地の敷地造成であり、その内容は韓国隊が堀開した廃土を日本隊がダンプで運搬するというものだった。内容はそれほど難しくなかったが、一つだけ苦労したのは言葉の壁であった。本任務において私は作業隊長として参加し、韓国側の作業隊長とは英語で調整することができた。しかし、隊員間では、共に英語が話せない隊員が多いため、現場での調整もなかなか進まず一苦労であった。しかしながら、隊員一人ひとりが、身振り手振りで試行錯誤しながらコミュニケーションを取る努力をし、共同で任務を遂行する積極的な姿勢が作業を少しずつ円滑にして何とか共同任務を完遂することができた。
余談ではあるが、この日韓共同の任務は、依頼がアメリカのNGO団体、警備担任がスリランカ、現場においてハイチの現地住民も作業するという、日韓のみならず5カ国共同作業の様相を呈していた。
 また生活面では、韓国隊宿営地内で韓国料理を振舞っていただくと共に、多くの隊員が部屋を行き来して、互いの国の話をしたり食物や個人の持ち物等を交換しあったりと、韓国軍の親身な接遇に感謝の気持ちで一杯であった。
 本邦において隣接する韓国と地球の裏側のハイチで、志を同じくして復興支援活動を共同で実施できたことは、大変貴重な経験となった。この貴重な経験を糧に今後もハイチの復興支援に日々邁進していきたい。
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3師団3施大3中 1陸曹 上野尊由
 私は、平成23年5月30日から5日間、日韓共同の任務に参加した。
 レオガンの韓国隊宿営地に宿営しての作業であり、出発前は生活環境・互いの文化・言語の違いからなかなか打ち解けられないのではないかという不安があった。しかし、到着してみると韓国隊の隊員は非常に友好的で、宿営地内においてもすれ違うたびに日本語を使って挨拶をしてくれる等、その不安は解消された。
 しかし、言語についての壁はすぐには解消されず苦労した。最初のうちは、現場での会話や調整が相手に上手く伝わらず、なかなか作業もうまくいかなかったが、自分の知っている知識を最大限に使い、身振り・手振りで何とか伝えようとしていると、少しずつそれが伝わるようになってきた。韓国隊の方も少しずつではあるが、日本語を交え調整をしてくれた。中には、日本の食文化に関する豊富な知識を有している隊員もいた。
 5日間で完全に言葉の壁はなくならなかったが、相手に何かを伝えようという思いや互いの文化を知りたいという思いが友好関係を生み出し、言葉の壁を越えて意思疎通を図ることも可能なのだと感じた。
 最後に、この日韓共同任務の間、公私ともに韓国隊の隊員には大変親切にして頂いた。言葉は多少通じなくても気持ちで通じ合い任務が達成出来たものと思う。今後はこの経験を活かし、より一層任務に邁進していきたいと思う。

一般公募当選者決まる
〈総火演抽選会〉
 8月28日に実施される平成23年度富士総合火力演習の一般公募抽選会が7月6日、江口直也陸幕監理部長、小野塚貴之陸幕広報室長、中央業務支援隊の隊員らが出席し、防衛省E1棟7階会議室で実施された。抽選は警務隊員立ち会いのもと厳正に行われ、一般公募合計で5900通(約2万3600人分)の当選が決まった。
 6月1日から7月1日の募集期間中、ポスターやチラシ、ホームページ、電話案内などで広くPRし、はがき1万6941通、インターネット3万7850通の応募が集まった。当選数は、はがき1600通、インターネット4300通に設定、当選倍率はそれぞれ10・9倍、8・8倍、合計では9・3倍となった。
 当選結果は、はがき公募の場合は8月上旬までに返信はがきで、インターネット公募の場合は当選者にのみメールで通知される。

空自木更津基地で8/3「盆踊り」開催
 空自木更津基地で行われる盆踊りイベントのポスターが、このほど完成した。ポスターイラストは、漫画雑誌「ヤングチャンピオン」などで連載中の人気漫画家「葉月京」さんによる描き下ろし。女性の浴衣姿で華やかな仕上がりとなっており、早くも関係者の間で大きな盛り上がりを見せている。
 今年の盆踊りは、舞踊、太鼓演舞などこれまでのイベントに加え、7月に全国CDリリースする新人歌手「岡本唯」さんを一日基地司令として招致し、ミニライブ開催を予定するなど話題性が豊富。
 担当者は、「基地内外に明るい話題を提供したいという思いで華やかなポスター作成、企画に取り組んだ。近隣住民の方など、より多くの人に空自木更津基地に足を運んでいただき、イベントを楽しんでもらいたい」とコメント。空自木更津基地盆踊りは、8月3日(水)開催される。
日時:8月3日(水)午後5時〜午後9時
(※雨天・計画停電の場合は8月4日(木)順延)
内容:盆踊り、太鼓演舞、花自動車、金魚すくい、
歌手「岡本唯」さんミニライブ、出店等 
お問い合わせ:航空自衛隊木更津基地渉外班
TEL0438—41—1111 内線284

ロンドン五輪 期待の星
オリンピックへカウントダウン
体育学校が初優勝
全日本柔道実業団女子1部
ロンドン五輪代表に近づく
〈シリーズ18〉

 5月28日、自衛隊が柔道の頂点に立った。全日本柔道実業団対抗選手権大会、女子1部で自衛隊体育学校が優勝したのだ。警察や他の実業団に比べ歴史的に後発である自衛隊にとって柔道の頂点は遠い存在だ。そういった自衛隊柔道家の長年の夢がかなった瞬間、それがこの優勝だ。その立役者こそ池田ひとみ3陸尉に他ならない。池田は対コマツ戦で、昨年世界無差別級女王の杉本美香と対戦。池田と杉本の体重差は約30kg。誰もが杉本の圧勝を予想したが、池田は徹底的に杉本を研究し試合に臨んでいた。試合中盤、池田の足技に杉本が反応し投げを仕掛けた一瞬の隙をついて、池田が燕返しをしかけ杉本が宙に浮いた。結果は小内掛けで技ありとなる。池田は、そのまま、杉本の右腕に腕ひしぎ十字固めをがっちり決め、結果的に杉本の靭帯が負傷しての勝利となった。国内外無敵と思われていた世界女王を、一回りも小さい池田が倒した。衝撃的な結末に会場はどよめいた。池田の評価が一気に高まった。
 池田は6月19日に行われたグランドスラム・リオデジャネイロ大会に出場した。ポイントを稼いでおきたい池田は必勝を期して大会に臨んだ。だが、初戦2回戦、世界ランキング4位のチュウメオ(仏)に3度も有効を奪われ敗北。池田とは裏腹に、実業団では不振だった國原頼子3陸尉は、グランドスラムではランキング的に格下の選手ばかりが参加していたとはいえ、4試合中3つの一本勝ちで優勝、このグランドスラムで300ポイントを獲得し、世界ランキングを7位から4位に戻し、日本人ナンバー1の地位を取り戻した。
 世界柔道は8月末に、フランスで行われる。この大会には日本から各階級2名が参加する。当然、國原、池田が世界柔道で優勝すれば、オリンピックが限りなく近づいて来る。逆に、もう一人の日本代表が、順位的に上にいけば、オリンピックは難しくなる。世界柔道で金メダルを取れなかった場合、最低限日本人ナンバー1は必要。國原はグランドスラムでランキングを4位にあげたので、世界柔道では、最初から比較的楽な相手からスタートの組み合わせになるだろう。國原は出だしが勝てると勢いがつくタイプなので、このランキングによる組み合わせは有利に働くであろう。逆に池田は現在世界ランキング40番台、最初から強豪と当たる組み合わせになる公算が高い。だが、池田は傾向と対策を周到に練って試合に挑むタイプなので、おそらく、最初の方で強豪と当たって、波に乗っていく展開ができるだろう。研究心旺盛な池田は、ランキングが低いことを気にする必要はないのだ。
 女子実業団で今年日本のトップに立った自衛隊だが、柔道のオリンピック日本代表はいない。國原と池田は必ずや、オリンピック代表の座を獲得してくれるだろう。2人に期待したい。
 (体校渉外広報室・佐野伸寿3陸佐)

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