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自衛隊ニュース   2011年5月15日号
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CRF隷下部隊
原発対応任務を終了
 5月3日、Jビレッジを拠点に福島第一原子力発電所の事故に対応してきた中央即応集団(CRF)隷下の放水冷却隊と機動路啓開隊がその任務を解除され、任務終了式を行った。
 放水冷却隊及び機動路啓開隊の任務解除は、原子炉及び使用済み核燃料プールの冷却のための電源及びコンクリートポンプ等のバックアップ態勢が2重・3重に確立されたこと、及び無線操縦の油圧ショベルなどの投入により、発電所内の瓦礫の除去が進展したためである。
 放水冷却隊は、3月17日19時35分、化学防護車の誘導のもと、順次、救難消防車5両をもって3号機に対して放水を開始した。同21日までの間に4日間、延べ5回、車両延べ44両により約336トンを放水するとともに、コンクリートポンプ車のバックアップのためJビレッジで即応態勢をとっていた。放水冷却隊は、陸上自衛隊木更津・北宇都宮・相馬原・霞ヶ浦・立川の各駐屯地、海上自衛隊下総・館山の各基地、航空自衛隊の百里・入間・三沢・小松・小牧の各基地からの救難消防車によって編成されていた。
 機動路啓開隊は、同20日から第1戦車大隊・第1機甲教育隊・第1後方支援連隊の戦車2両、戦車回収車1両により、福島第一原子力発電所構内の瓦礫の除去のために同じく即応態勢をとっていた。
 任務終了にあたり、中央即応集団副司令官 田浦陸将補は、「自衛隊の原発対処任務は道半ばであり、まだまだ続くわけであるが、本日ここに、一つの結節として放水冷却隊及び機動路啓開隊の編成を解組する。今般の国難ともいえるこの厳しい任務に諸官らとともに立ち向かい、ともに戦えたことを誇りに思うとともに、各人が文字通り、自らの危険を顧みず、献身的に行動してくれたことに心から感謝する。ご苦労であった、そして、ありがとう」と隊員に述べた。
 東京電力から参加したJビレッジ本部総括責任者の石田氏は、「これまでの活動・支援には本当に頭が下がる思いです。我々にとっても非常に心の支えになっていただいておりました。本来であれば、勝俣会長からこれまで来ていただいた方一人ひとりにお礼の言葉を申し上げるところでございますが、東京電力の思いを皆様にしっかりと伝えるよう申しつけられて参りました。本当にありがとうございます」と感謝の言葉を述べた。
 また、放水任務初日の同17日に放水した陸上自衛隊東部方面管制気象隊第5派遣隊所属の齋藤2曹は、「隊長の計らいで、最初に派遣された豊嶋1曹と自分を編成解組に出してくれるということで、急遽こちらに来ました。それだけ、今振り返れば、大きな任務だったんだなと思います」とそのときを振り返る。同じく陸上自衛隊航空学校宇都宮校所属の篠崎2曹は、「正直言ってまだ原発は落ち着いていない状況ですが、もし何かあれば、微力ながらいつでも駆けつける準備はできています。早く原発が落ち着いてくれることを祈っています」と任務終了に当たっての思いを述べた。同20日、21日に放水した航空自衛隊第3航空団基地業務群所属の下田中1曹は、「自分たちが出来ることはやったかなと思います。しかし、原発そのものはまだ終息していないので、一日も早く安全に暮らせる日が来ればいいなと思います」と事態の早期終息を願った。
 放水冷却隊と機動路啓開隊は、解散後、田浦副司令官・東電代表者などに見送られながらJビレッジを後にした。しかし、まだ、原発は予断を許さない状況にあるため、中央即応集団は、これまで通り、Jビレッジにおける連絡調整任務及び福島県における除染任務などを引き続き行っていくとしている。

「頑張っています」新しい職場
活躍するOB シリーズ
北日本防災警備(株) 本 間 彦 幸
本間氏は平成21年12月、新潟救難隊を空曹長で定年退職。55歳
 北日本警備(株)は、石油、天然ガス関連施設などの産業防災業務代行、原油及び液化天然ガス輸送等に関する技術支援、また関連事業所の警備及び防災機器の販売や保守点検などを実施している企業です。新潟県は、古くから原油、天然ガスなどの資源産出県であることから、これらの関連企業も多くその鉱業所は陸上だけにとどまらず海上にもあります。私の主勤務場所である「岩船沖プラットフォーム」もその一つで、新潟市から北東約30kmの日本海大陸棚にあり、原油及び天然ガスを採取する海洋生産基地です。
 私の勤務内容は、各設備の巡回点検、人員や物資空輸のために離発着するヘリコプターに対する気象通報及びプラットフォーム滞在者の人員掌握など多岐にわたります。また、特に冬季は日本海側特有の悪天候が続き、自然との闘いも大変です。入社当初は、なかなか要領がつかめず気持ちだけが先行してしまい、焦ったり失敗したりの連続でした。しかし、諸先輩の丁寧な指導や適切なアドバイスをいただいて、徐々に先行的に業務ができるようになりました。特にヘリコプターの運航支援業務については、安全第一をモットーに勤務しています。お蔭様で最近では勤務時間外に、趣味の魚釣りをしたりして緊張とリラックスのバランスもとれるようになりました。
 これから退職される皆さんへのアドバイスですが、再就職の準備として何か一つ公資格を取得することをお勧めします。あなたが一番興味のあるものでかまいません。取得した資格が直接仕事に生かせなくても「取得意欲や努力」が高く評価されます。もっと大切なことは、あなたは「新しいことに興味をもち吸収する能力がありますか?」という問いに自信を持って「はい」と回答できるようになります。退職3年前くらいになったら、忙しいからといわず、資格取得に是非挑戦してください。多くの資格は不要です。なぜなら、ただの資格マニアとの誤解を招きます。
 もう一つは健康です。たとえ絶好調でも、退職2年前までには必ず精密検査を受検して医師の指導を受けましょう。万が一入院、手術が必要と診断された場合でも2年間あればリハビリを経て再就職活動も可能になります。
 最後になりますが、あなたの再就職希望地域を担当する援護室に、早めに連絡して面談をお願いしてみましょう。幸運だけではよい再就職先は見つかりません。是非、幸運を自分の手で掴み取ってください。

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