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自衛隊ニュース   2011年1月15日号
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11カ国、50名参加
MLST開催
「国際緊急援助活動」の兵站協力について討議
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 陸上幕僚監部装備部は11月29日から12月4日の間、「第14回陸軍兵站実務者交流(MLST Multilateral Logistics Staff Talks)」を開催した。本年度は「国際緊急援助活動における兵站協力」をテーマとして、アジア・太平洋地域10ヵ国(カナダ、インド、インドネシア、マレーシア、パキスタン、フィリピン、韓国、シンガポール、タイ、米国(陸軍、海兵隊))の陸軍等から大佐・中佐級の兵站実務者11名を招へいし、統合幕僚監部、中央即応集団司令部、中央輸送業務隊、幹部学校、研究本部、補給統制本部等の参加者を含め総勢約50名で会議を実施した。
 この会議はアジア・太平洋地域の多国間において、兵站支援体制に関する情報及び意見を交換して、各国との相互理解の促進及び信頼醸成を図るとともに、陸上自衛隊の兵站支援体制に係る施策検討の資を得るもので、今年度は「国際緊急援助活動における他国との兵站協力」を議題とし、各国の教訓を共有するとともに、兵站協力の具体的事項について討議した。
 また、市ヶ谷での会議終了後、西部方面総監部、九州補給処及び西方後方支援隊を研修し、陸上自衛隊の兵站部隊等の現状を確認し、兵站体制等について理解を深めた。


精鋭レンジャー
晴れて16名誕生
北熊本
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 第42普通科連隊が担任した第42期レンジャー訓練隊は11月24日、レンジャー養成訓練の全想定終了に伴い、出迎え及びレンジャー徽章授与式を北熊本駐屯地で行った。この日、16名の精鋭たるレンジャー戦士(42連隊10名、第8特科連隊4名、第9施設群2名)が誕生した。
 この養成訓練は9月から開始され、訓練開始式で連隊長(櫻田博美1陸佐)が訓示の中で「己に勝て」「同期を助けよ」と要望、また、主任教官(中尾圭介1陸尉)の指導のもと、基礎訓練から着実にレンジャー技術・体力・気力を充実させていった。過酷な行動訓練間も、同期の絆、団結を深め、最終想定までの任務を一丸となって完遂し、レンジャー旗を先頭に駐屯地正門から帰還した。
 16名のレンジャー学生は、駐屯地所在隊員及び学生家族の栄誉を称える拍手の中、装備火器をしっかりと保持し、第8音楽隊の行進曲に合わせ前をしっかりと見据えてレンジャー呼称をかけながら堂々と行進。連隊長に対して、学生長(第8特科連隊・横山3曹)が全訓練想定の任務終了と異常なく帰還した報告を最後の気力を振り絞り実施した。
 引き続き、連隊長から一人一人に対して、何より堅い意志に裏づけられたダイヤモンドと栄誉を称える月桂冠を表したレンジャー徽章が授与され、任務の完遂が了承されたあと、敬意の込った訓示を受け、数々の苦難を乗り越えた多くの学生はその際、感激のあまり涙を流していた。
 また、式終了後、隊員食堂において隊員家族との会食が行われ、久しぶりの再会と無事に終了できた安堵感から笑顔溢れる和やかなひと時を過ごした。


ロンドン五輪
期待の星 シリーズ12
柔道女子57kg級
平井 希 2陸曹(静岡県出身、1986年生まれ)
体育学校
火箱陸幕長も応援!!
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 平成22年4月、火箱芳文陸上幕僚長から平井希2陸曹は「ここが踏ん張りどころだ、もう一踏ん張り頑張れ」と激励された。21年講道館杯63kg級で優勝しながら、冬期欧州遠征メンバーから外され、9月に東京で行われる世界選手権への出場が絶望となった時期のことだ。
 その頃、平井は、63kg級に出場していたが、体重は最大でも61kgに満たず、試合前になると、減量ではなく増量を行っていた。体育学校で平井の体組成を調べてみると、骨格的に体重が増えにくい体質で、逆に体脂肪を減らした方が、動きが良くなる。適正体重は57kgであるということが判明した。だが、階級を変えるのは簡単なことではない。63kgの方がパワーは上だが、57kgのスピードは全く違う。ただ体重を下げれば通用するものでもない。この階級にも頂点を目指して何百人何千人という選手がしのぎを削っている。すぐに結果が出なければ、オリンピックに間に合う訳がない。平井には大きな賭けだ。しかし、平井は各分野で専門家を有する体育学校の組織力を信頼し階級を下げることを決心した。
 ここから平井の肉体改造と柔道の再構築が始まった。肉体的には体幹を鍛え直し、筋力アップを図り、特に上半身の、組み合った時につぶされない芯の強化を行った。また組み手も、組んで止まるのではなく、組んで相手の中に入って圧力をかけていく組み手、そして足を使った機動力のある柔道を身につけようとした。
 平井が改造を始めて半年後、講道館杯では今年度世界選手権代表の宇高を破り3位となる。これにより、12月の東京グランドスラムに抜擢される。国内2戦でもって、メジャー国際大会に派遣されるのは異例のことだった。だが、平井はこの国際大会デビュー戦で、結果を残した。3回戦で09年世界王者のリボー(仏)を送り襟締めで絞め落とし1本を奪う。続く準決勝でも昨年世界3位のアゼルバイジャン、ガシモバを試合開始僅か1分03秒、体落しで1本を奪う。決勝でも今年度世界選手権とアジア大会を圧倒的強さで制した松本薫を相手に負けたとは言え一歩も引かない柔道を見せた。この活躍が評価され一躍日本の2番手にのし上がり、グランドスラム・パリ大会(旧フランス国際)出場が決まった。ここで結果を出し、4月の全日本選抜選手権で2位以内に入れば、平井は世界選手権出場権を得る。この世界選手権こそがオリンピック出場の可否を決定することになるだろう。
 陸上自衛隊は今、『しぶとい陸上自衛隊』を標榜し精強化に取組んでいる。平井には文字通りしぶとい戦いを見せ、最後まで粘り抜いて、オリンピックの切符を獲得し、「花」を咲かせてもらいたい。
 (体校渉外広報室・佐野伸寿3陸佐)


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