防衛ホーム新聞社・自衛隊ニュース 防衛ホーム新聞社 防衛ホーム新聞社
   2006年7月15日号
1面 2面 3面 6面 7面 8面 9面 10面 12面

<論陣>
明治時代も愛国心教育はあった
=教育基本法改正案への参考=
 国会で継続審議になった「教育基本法改正案」は、臨時国会で再び“愛国心"をめぐる論議が展開される。「国民が愛国心を抱くのは当然」「いや、愛国心論争は日本人を再び暗い道を歩かせる」など、いろいろな意見が聞かされている。確かに軍国主義教育と平行して小中学生に強要された愛国心高揚教育が行われた第2次大戦前から戦時中の愛国教育は、国民に幸いをもたらすものではなかった。だからといって日本人が愛国心とはなにか、愛国心の是非を否定していいものだろうか。この際、日本人は、過去に“愛国心"をどう感じ、それを教育の中にどんな形で織り込んでいったかを歴史的に検証してみる必要があるのではないだろうか。
 手元に明治35年、明治書院が刊行した「中学国語読本巻一」がある。落合直文著の中学(旧制)1年生向けの教科書である。定価は22銭。明治35年といえば日清戦争が終り、日露戦争開戦直前の風雲急を告げた時代である。
 その「故郷」の項に故郷愛と祖国愛が、やさしく、分かり易く書かれている。別に「国民に愛国心を強要した」くだりは1行もない。
 ――わが故郷を思う情は、われひとともに変わらぬことである。これには日本人、外国人の別はない。どこの国の人も、みなわが故郷の美を説かないものはなく、ひとたび故郷を出れば望郷の念にうたれるものである―と書き出し、かつて青ヶ島で火山が大噴火し、島民の多くが死亡した。わずかに十数人が八丈島に逃れたが、故郷忘れがたく、火山が鎮まると十数人全員が喜び勇んで火山島の青ヶ島に帰った。また千島の占守(しゅむしゅ)島は厳寒不毛の地なので、日本政府(開拓支庁)は、住民を南の色丹(しこたん)島に移住させた。色丹は緑も多く、河川には数多くの魚がいて、田園もある。いい所と考えて移住させたが占守からの移民はこの環境を喜ばず、帰心矢の如く、三々五々、全員が不毛の占守島に逃げ帰ってしまった。アメリカでもエスキモー人をシカゴに移したが、日本と同じように全員がエスキモーに逃げ帰ってしまった―など内外の例をあげて“故郷"の良さを説明している。
 そして郷里の人々とのコミュニケーションを“人の情"と説き、結論として「郷里を愛する気持ちは、やがて国を愛する心となり、国を愛する心は、やげて健全な独立国の国体を千年の後に伝えるものとなる。一国の国民は、その国をしたう情を進めて、さらにその祖国を愛する情を盛んにするのは自然の歩みである」と結んでいる。日露戦争の直前でありながら、そこには国家からの“思想の押し付け"は1行もない。祖国愛、愛国心と、ことさら声を大にして論争するよりも、この教科書のように「自然の心」として考えさせるほうがより効果的ではあるまいか。
 また、日の丸論争なども声を荒げて語るべきではないと思う。この教科書に実に興味をひく「日の丸の話」がある。話は明治5年のことである。内閣のお偉いさんが、たまたまアメリカに出張した。そこで目にしたのはアメリカでは祝祭日の前日には、個人の家、役所などで星条旗を掲げている。実ににぎやかで楽しそうな風景だった。
 帰国して4、5人の同僚と「日本でも日の丸を祝祭日には各戸、役所などに掲げて祝ったらどうか」と話し合った。お役人は「法で決めたら」とか「いや、自発的に掲げさせるべきだ」などの意見が出たが、「上意下達はだめ」ということになり、最終的には「まず、われわれが祝祭日に日の丸を自宅の前に掲げてはどうか、それが世間に広まるのが一番いい」ということになった。
 そして、お役人達は、自宅に帰って麻の布に朱で日の丸をかき、これを掲げたら、これを見習う人がしだいに多くなり、東京から名古屋、大阪、京都、九州と輪が広まり、数年後には「国旗専門店」まで現われるようになったという。その結論として「国旗でもなんでも、押し付けるのではなく、例をあげて説明し、じぶんが率先して実行すれば、そんなに苦労しなくても事は成功する」と結んでいる。愛国心論争も、角を立て、歯をむき出しての論争ではなく、歴史上のエピソードなどを例にして話し合えば自然に結論がでてくるのではないだろうか。

45期36名、新統合運用の道へ
<統幕校卒業式>
高橋学校長「積極的に任務遂行を」
 統合幕僚学校第45期一般課程卒業式が6月27日、目黒基地大講堂で行われた。
 この課程の目的は、上級部隊指揮官又は上級幕僚としての職務遂行に必要な自衛隊の統合運用に関する知識及び技能を修得させることで、昨年9月から約10ヶ月の教育を終え、陸12、海12、空12、計36名の学生が卒業した。
 午前11時、開式の辞、国歌斉唱に続いて高橋健才(たてちか)学校長が卒業生一人ひとりに卒業証書を授与した。次いで高橋学校長が式辞に立ち、我が国を取り巻く安全保障環境など国際的な問題や国内における統合幕僚監部の新設また防衛庁を省に移行させる防衛庁設置法等の一部改正案が閣議決定されたことに触れながら、今年3月、自衛隊の新たな統合運用体制移行後初めての統合幕僚学校卒業生となる学生に対して「責任感と統合スピリットをもって積極的に任務を遂行せよ」とはなむけの言葉を贈った。
 引き続き、木村太郎副長官が訓示に立ち、新たな安全保障環境における国勢平和協力活動等を本来任務に位置づけることなどから防衛庁・自衛隊における統合運用はさらに重要のなることを示しながら「本過程で培った統合運用に関する幅広い知見を十二分に発揮し、常に自衛隊全体の視点に立って職務を遂行するよう」要望した。
 また、先崎一(はじめ)統幕長が訓示の中で「より質の高い統合運用の実施のため、英知を絞り積極的に挑戦せよ」「精強な自衛隊の核心たれ」の2点を要望し、卒業式が終了した。
 卒業生の氏名、階級は次のとおり。
 〈陸〉▽鈴木直栄1佐▽田中一二1佐▽大庭秀昭1佐▽高橋武也1佐▽勝井省二1佐▽齋藤隆則1佐▽砂本伸幸1佐▽杉本嘉章1佐▽竹本竜司1佐▽森脇良尚1佐▽近藤恒史2佐▽上條成和2佐 〈海〉▽佐藤達朗1佐▽大判英之1佐▽岡田真典1佐▽池田秀人2佐▽窪田洋一2佐▽中園博文2佐▽松本和弘2佐▽荒井雅樹2佐▽内野誠2佐▽時久寛司2佐▽正寶敏彦2佐▽山脇修2佐 〈空〉▽山本方之1佐▽塩田修弘1佐▽小川能道1佐▽渡邊弘1佐▽竹平哲也1佐▽西谷正文1佐▽塩沢昌博2佐▽仲啓介2佐▽太田久雄2佐▽納富宏紀2佐▽長田国男2佐▽橋爪猛2佐

業務改善審査会に優秀76件を出展
<普教連>
 普通科教導連隊(連隊長・井上敏憲1佐=滝ヶ原)は6月6日、平成18年度業務改善提案審査会を実施した。
 審査会場の駐屯地第2講堂には各中隊から寄せられた業務改善提案(作品)76件が展示され、提案者である隊員は、連隊長や審査員に対して、改善の効果を熱心に説明していた。
 提案には、恒常業務や訓練等に直結したものが数多くあり、厳正な審査の結果、優秀な33件が選ばれ、富士教導団に上申された。

6面へ
(ヘルプ)
Copyright (C) 2001-2008 Boueihome Shinbun Inc