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   2005年6月1日号
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砕氷艦「しらせ」、全国を巡航 7面

一体感を醸成した静浜航空ショー
5万人が熱狂
家族づれやファンが殺到
美技の数々
 年1回行われ毎年多くの家族連れや航空ファンを魅了する『静浜基地一般公開』が5月15日実施され、県内外から5万人の人々が訪れた。主会場となった滑走路脇のエプロンでは目の前で繰り広げられる航空自衛隊の戦闘機や、練習機・ブルーインパルスなどが連続で繰り出す美技の数々に大空を見つめる人々からは思わず「ウォー!」という歓声や拍手が沸き起こっていた。特に突然の集中豪雨で、一時は「中止もやむなし」と覚悟された午後のブルーインパルス飛行。その後、一転して晴天を取り戻した会場では例年より多種多彩なブルーインパルスの華麗な演舞が立て続けに目の前展開された。突然のどしゃ降り雨に一度はあきらめかけた分もあってか、観衆の感動は例年にないほどの大きな歓声となって場内にとどろいていた。
今年度から導入のT−7
大勢の人々がエプロンに押しよせた
 「ずっげー楽しいよ♪」携帯電話で若者が話している、家族連れの顔も一様にニコやか。肩車で子供に最高のシートを用意する父親、長い望遠レンズを構える航空ファン――好天のもと静浜基地には早朝から多くの人々が集まった。
 自衛隊への理解を深めてもらう目的で毎年開催され恒例行事となっている静浜基地航空祭が5月15日行われた。今年度国内で最初となる自衛隊の大型航空ショーは「いつも通り」ではなく「これまで以上の」盛り上がりをみせる催しとなった。

 想定外?でも観衆の心一つに
 開催にあたっては「想定外」の出来事がいくつか起こった。
 一つは、記憶にも新しい去る5月3日の静岡県警ヘリコプターの遭難事故。静浜飛行場発の同県警機が静岡市内で墜落5人が殉職した。航空自衛隊静浜基地(司令・柳原考重1等空佐)では、この事故を重くとらえ今回は通常の「静浜基地航空祭」ではなく「静浜基地一般公開」と名称を改める配慮、イベント開催中には殉職者の冥福を願う黙祷も行った。
 もう一つは、昼時の突然の豪雨。朝から晴天に恵まれた会場に突然、バケツをひっくり返したような雨が数十分にわたって降り注ぎ、雨具を持参していなかった多数の観衆は屋根のある場所へ一時回避、午後の演目中止を予想して会場を後にする人がでる程の豪雨に見舞われた。来場者はハプニングを共に体験したこともあって、雨上がりの午後には航空ショーを心から楽しむ気持ちが一つとなりサッカー観戦のサポーターさながらの興奮が会場を包んでいた。

 ニューフェイスが国内外から見参
 恒例イベントだが、今年の静浜航空ショーは一味も二味も違った。アメリカ空軍所属の公式アクロバットチームによる「F−16C戦闘機」の飛行展示。アフターバーナーを用いた力強い機動力をみせつけた。また静浜基地に今年度から導入された新型練習機T−7もお目見え。排気音が静かな上、ターボエンジン装備により高性能な操縦性をもつ練習機の魅力を披露した。昭和53年から使用されてきたT−3との共演は、静浜基地の実力向上をアピールするとともに航空ショーに一段の彩りを添えた。
 ショーのプログラムは、T−3型・T−7型練習機共演に続きT−4練習機の飛行展示、F−15戦闘機・米軍F−16C戦闘機の飛行へ。UH−60救難ヘリコプター機が高度を保ちホバリングしながらの隊員垂直降下と救難者引き上げなども行われた。青天の霹靂ならぬ、どしゃ降りの雨による中断後は天候も一気に快晴へ回復、午後から予定されていたメインイベントであるブルーインパルスの演技はフルバージョンで行われた。
 航空自衛隊唯一のアクロバットチームである第11飛行隊の通称「ブルーインパルス」は様々な編隊や単独飛行を行ない、長野オリンピックで披露した美技や、スモークで巨大なハート型を描くキューピット≠ネどを次々に繰り出す。頭上を縦横無尽に駆け巡る迫力満点の機体飛行、描き出すスモークを使った妙技に、雨天中断から再開を待ち望んでいた多くの観衆は、妙技がきまる度に歓喜の声をとどろかせた。飛行展示の最終演目となったブルーインパルスの演技が終了した後も、地上に展示されている航空機やヘリコプターを見学。各機が帰還へ飛び立つ際には、手を振って見送るたくさんの人々、それに操縦士が応えて機体を振る姿も。魅(観)せる側と魅(観)せられた観衆のコミュニケーションが感じとれた一幕でもあった。


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