防衛ホーム新聞社・自衛隊ニュース
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自衛隊ニュース   1035号 (2020年9月15日発行)
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海上自衛隊

50年間ありがとう DECCA運営に幕
<掃海業務支援隊>
 皆さんは、自分の位置を知りたい場合、どのような方法を用いますか?多くの方は、携帯電話を使用し地図アプリ等で位置を調べると思います。
 では、電波の届かない洋上において現在位置を調べたい場合はどうしますか?船の位置(艦位)を得るためには様々な手段があり、その手段の一つとしてデッカがあります。
 海上自衛隊の掃海部隊の任務には「機雷の除去」というものがあり、これを実施するには、自分の正確な艦位を知っておく必要があります。正確な位置が分からなければ機雷により損害を受ける恐れがあり、これでは任務を遂行することが不可能です。そのため正確な位置を把握するための手段として「デッカ」と呼ばれる装置を運用してきました。装置の概要としては、アンテナ部、送受信機部及び電源部で構成され、それらの機器を指定された3つの地点に設置し、それぞれの地点から電波を送信し、洋上の艦艇がその電波を受信することにより、正確な位置を把握することができます。
 その性能としては、3つの地点で覆われる範囲(最大300km‥直線にすると東京-三重県鈴鹿市付近まで)において正確な位置測定が可能であり、その精度としては、一般に使用されているGPSと同等の性能を持っています。デッカを運用している我々掃海業務支援隊航法支援科は、指定された地点まで車両で移動し送信局を設定、運用期間中は天幕を設営し、24時間態勢で機器の監視及び調整に従事してきました。
 デッカの沿革としては、昭和19年(1944年)英国「デッカ社」で誕生し、昭和45年(1970年)に海上自衛隊掃海部隊で採用、導入され、世界中で運用されてきました。しかしながら、GPSが一般に広く普及したことにより、平成13年(2001年)には北海道にあるデッカ局が運用停止になり、民間におけるデッカサービスが終了、平成15年(2003年)にメーカーでの製造が中止、平成19年(2007年)には修理部品の供給がないため専門業者による修理、保守整備が困難となりました。
 このような状況の中、当隊隊員のたゆまぬ整備の継続により令和2年8月まで、世界中で当隊のみが掃海作業における航法支援のため、デッカ運用を継続してきましたが、本年10月1日をもって、昭和45年の運用開始から50年の長きに亘るデッカ運用の歴史が終わることとなりました。今回は、世界で唯一運用を継続してきた海上自衛隊掃海部隊のデッカについての紹介をするとともに、50年の節目にあたり廃止となることに対し、これを記念として投稿した次第であります。

絆を深める!短艇競技
<佐世保教育隊>
 佐世保教育隊(司令・柳信夫1海佐)は、8月5日に第15期一般海曹候補生課程学生及び第376期練習員課程学生の短艇競技を実施した。
 短艇は、経験者がおらず、全員ゼロから技量を修得し、強靭な体力・持久力の強化は当然であるが、何よりもクルー総員の団結力が要求される。今回は、新型コロナウイルスの影響により、ご家族を招待することができなかったものの、どの艇も、分隊員、職員等の熱き声援の後押しを受け、鍛錬の成果を遺憾なく発揮し、白熱したレース展開となった。その中で、男性分隊では安定した力を発揮し、第22分隊が総合優勝を勝ち取り、女性分隊は第2班が団結力を見せつけ第1位となった。
 学生にとって短艇競技は、シーマンシップの涵養はもとより、同期との団結及び絆を深める素晴らしい思い出となった。

基地内をONE TEAMに
<第4航空群>
 厚木航空基地家族会(会長・第4航空群司令=平木拓宏海将補)は、7月30日、厚木航空基地内の委託売店(セブンイレブン)を運営するエームサービス株式会社(東京都港区赤坂)と、「災害厚木航空基地家族会時における相互協力に関する協定」を締結した。
 協定の内容は、大規模災害発生時において、相互に協力して安全の確保に努めるものであり、厚木航空基地内に開設される「子供一時預かり所」で預かった子供たちに対して、委託売店が、食料等を無償提供するというものである。
 厚木航空基地の場合、子供たちのための食料等は、子供を預ける隊員が緊急登庁の途上において購入するなどして準備することとなっているが、大規模災害時には、食料調達が容易ではない状況も十分に考えられる。また、隊員食堂で調理している食事は、基本的には隊員のためのものであり、現在の規則では子供たちに提供することができない。本協定により、基地内に所在する委託売店から食料等の提供が可能となれば、子供を預ける隊員の出勤途上の負担は大いに軽減されるとともに、委託売店が保有する多くの在庫商品の中からの選択は、子供たちのアレルギー対策や嗜好への対応も可能となる。
 これまで厚木航空基地は、「子供一時預かり所」を軌道に乗せるために、厚木航空基地支援6団体とともに努力を重ねてきた。そして今、新たな段階に歩を進めようとしている。それは基地の中にある様々な業種の力とそれに携わる人々の知恵を活用することで、「子供一時預かり所」のサービスを更に向上させることである。これにより、平素からの不安を取り除くとともに、いざという時は、隊員の大いなる力となり各種活動の活力となる。官民を問わず「基地内をONETEAMに!」
 この協定は、そのような意義を持っている。

地域貢献に対して感謝状
<下総教育航空群>
 下総教育航空群(群司令・井上竜三1海佐)では、7月15日に千葉県自衛隊協力会連合会から所属隊員2名が感謝状を贈呈された。千葉県自衛隊協力会連合会では、毎年協力会会員等に対して感謝状を贈呈していたが、今年度から自衛官等隊員に対しても、日々勤務に精励する傍ら、地元千葉県に貢献している隊員に対して感謝状を贈呈することとなり、下総教育航空群2名が、このたび選出された。
 当日実施された感謝状贈呈式では、萩原智之海曹長と児玉祐一郎技術補佐員が、約400人の隊員が見守る中、千葉県自衛隊協力会連合会会長(千葉県知事)の代理として、副会長の臼井久美子氏から感謝状が授与された。萩原曹長は剣道7段の特技を生かし地元少年剣士の指導を通じた地域交流について、児玉技術補佐員は長年の基地施設の営繕業務の傍ら、地元児童センターで紙飛行機教室を主導し交流した実績が評価されたものである。
 感謝状を授与された両名とも、改めて長年の活動を評価されたことに感激し、今後一層地域に貢献する決意を新たにしていた。
 下総教育航空群では、引き続き隊員の地域での社会貢献活動等を推進し、任務遂行と同時に、特に基地が所在する千葉県において地域との交流を積極的に実施し、地域と共に歩んでいく所存である。

小学校にエコキャップ贈呈
<鹿児島音響測定所>
 7月3日、鹿児島音響測定所(所長・川地秀樹2海佐)は地元の国分南小学校に、エコキャップの贈呈を行った。鹿児島音響測定所では、「環境の日及び環境月間」に伴い、全所員をあげてエコキャップを集め、エコキャップ活動を実施している国分南小学校に贈呈しようと計画した。これは、測定所が初めて実施した企画で、約2週間で約2000個のエコキャップを集めることができた。
 当日は先任伍長の中川孝志海曹長(写真右)が国分南小学校を訪れ、校長先生にエコキャップを手渡した。校長先生から、小学校での環境活動への取り組みや、子供たちの活動の様子について説明を受け、近隣の小学校で、エコキャップ活動を実施しているのは、国分南小学校だけであり、今後も継続した活動への協力を提案された。
 今回は「環境の日及び環境月間」に対する季節的な企画だったが、非常に簡単で多くの所員及びその家族が参加できる上に、小学校に訪問、先生とも交流が持て、海上自衛隊への理解の促進にも繋がることを実感できた。企画から調整、贈呈までを手がけた中川曹長は「今後もエコキャップ活動を継続し、定期的に小学校に届けたい。またこれをきっかけにさらに、子供たちに海上自衛隊への関心を持ってもらえるかもしれない」と話していた。
 鹿児島音響測定所は、他にも近傍の福山小学校の運動会や錦江湾福山港クリーンアップ作戦(海岸清掃)等の地域行事に積極的に参加し、周辺の市民との交流を深めている。今後も地域交流の範囲を拡大しつつ、地元に密着した愛される鹿児島音響測定所を目指し海上自衛隊のPRに努めていきたい。

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