防衛ホーム新聞社・自衛隊ニュース
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自衛隊ニュース   1032号 (2020年8月1日発行)
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読史随感
神田淳
<第58回>

松下幸之助の叡智

 松下幸之助(1894-1989)は「経営の神様」といわれた昭和を代表する実業家である。1918年(大正7)創業した松下電気器具製作所を、一代で日本を代表するような大企業(現パナソニック株式会社、従業員数26万人、売上高7兆5千億円)に育て上げた。また戦後まもなくPHP研究所を設立して倫理教育に乗り出し、晩年は松下政経塾を立ちあげて、政治家の育成に情熱を傾けた。
 生家が破綻し小学校4年までしか行けず、丁稚奉公からスタートした松下の94年の生涯は、波乱に富んだ成功の立志伝である。松下電器産業は、戦前すでに日本を代表する企業の一つとなっていたが、戦後さらに成長した。1950年以降松下は長者番付で10回全国1位を記録している。最晩年には民間人として異例の勲一等旭日桐花大綬章を受賞した。
 松下の成功は、経営の神様といわれた松下の経営哲学の正しさを証明する。それは一見平凡にみえるが、本当の実践知であり、奥深い叡智であった。以下、そのいくつかを拾ってみる。
 寝ても覚めても一事に没頭するほどの熱心さから、思いもかけぬ、よき知恵が授かる。万策尽きたと思うな。なすべきことをなす勇気と、人の声を私心なく耳を傾ける謙虚さがあれば、知恵はこんこんと湧き出てくるものです。失敗することを恐れるよりも、真剣でないことを恐れたい。よく人の意見を聞く、これは経営者の第一条件です。私はどんな話でも素直に耳を傾け、吸収しようと努めました。逆境もよし、順境もよし、要はその与えられた境遇を素直に生き抜くことである。素直な心になれば、物事の実相に従って、何が正しいか、何をすべきかということを、正しく把握できるようになる。志低ければ、怠惰に流れる。こけたら、立ちなはれ。むつかしいことはできても、平凡なことはできないというのは、本当の仕事をする姿ではない。人の長所が多く目につく人は幸せである。叱るときは、本気で叱らんと部下は可哀想やで。世の為、人の為になり、ひいては自分の為になるということやったら、必ず成就します。百人までは命令で動くかもしれないが、千人になれば頼みます、一万人になれば、拝まなければ人は動かない。企画したことが全部成功したら危ない、3度に1度失敗するくらいがちょうどいい。鳴かぬならそれもまたよしホトトギス。誠実に謙虚に、そして熱心にやることです、等。
 松下は最晩年(昭和の終り頃)『崩れゆく日本をどう救うか』という著書で、日本の根本的問題として(イ)日本人がお互いに誰が悪い、かれが悪いと非難ばかりするようになった、(ロ)誰かが何とかしてくれるだろうと、他に頼り、自分の力でやるといった自主性、独立心が薄くなった、(ハ)福祉の向上は結構だが、政府に打ち出の小槌があるわけではなく、みな国民が営々と働き、生み出した税金によって賄うのである。国民が政府にあれこれして欲しいと要望するのは本末転倒。(ニ)日本は国民の国家意識が世界で一番といってよいくらい薄い。政治が力強い指導性をもって国民の間に正しい国家意識を培養していくことが必要。政治に指導性がないのは国家百年の計を生み出すような方針、すなわち哲理がないからではなかろうか、などを挙げ、昭和の日本が行き詰まっていると述べている。
 松下が昭和の終わりに指摘した日本の問題は、平成の30年間そのまま持ち越され、令和の今深刻化している。
(令和2年8月1日)

神田 淳(かんだすなお)
 高知工科大学客員教授
著作に『すばらしい昔の日本人』(文芸社)、『持続可能文明の創造』(エネルギーフォーラム社)、『美しい日本の倫理』などがある。


トウチとさくら
(トウチ君とさくらちゃんは東京都の鳥「ゆりかもめ」がモチーフの東京地本のマスコットです)
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ステッカーで感染防止意識を高揚
都の呼びかけ受けて各所に掲示
 東京地方協力本部(本部長・岸良知樹陸将補)は、東京都が新型コロナウイルス感染症の拡大防止に向けた取組の推進を図るため実施している『感染防止徹底宣言ステッカー』を取得し、施設内の感染拡大防止策を徹底して、各業務を実施している。
 東京地本では6月19日に東京都から出された「事業者向け感染拡大防止ガイドライン」徹底に向けた取り組みに賛同し、東京都防災ホームページに掲載されている「東京都感染拡大防止チェックシート」に基づき、本部庁舎をはじめ、都内20カ所に所在する募集事務所等の感染防止対策を再点検し、全ての項目の実施を確認した後、「感染防止徹底宣言ステッカー」を取得して各施設の入口付近に掲示した。
 また、東京地本のマスコットキャラクター「トウチ」と「さくら」が本部庁舎入口にステッカーを貼る様子をSNSに投稿し、安心して来所できる施設であることをPRするとともに、東京都の施策の普及にも一役買っていた。
 東京都の自衛隊の総合窓口である東京地本には、日頃から多くの募集対象者、関係企業及び協力団体関係者等が来訪することから、東京地本は今後も関係機関と連携し、新型コロナウイルス感染防止策を徹底して各種活動を実施していくとしている。
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東京法律専門学校で採用説明会を実施
 東京地方協力本部江東出張所(所長・江越3海佐)は6月5日、8日及び15日の3日間、墨田区に所在する東京法律専門学校において、採用説明会を実施した。
 当専門学校は公務員を志望する学生が多数在籍しており、中でも公安系公務員への関心が高く、毎年100名を超える学生が自衛隊を受験している。今回は新型コロナウイルス感染防止のため、150名の学生に対し複数回に区分して、一般曹候補生及び自衛官候補生の志願化の説明会を実施した。参加したほとんどの学生が、自衛隊について説明を受けることが初めてであったため、陸・海・空各自衛隊の具体的な任務や活動内容、どんな業務があるのか職種について重点的に説明した。参加した学生からは、「職種の多さに驚いた。更に具体的な話を聞いてみたい」「自分に合った仕事が見つけられそう」「福利厚生が充実している」等の感想が聞かれた。
 江東出張所は、今後も募集対象者や希望者に対して、広報活動を積極的に実施して、自衛隊への理解を深化させるとともに、一人でも多くの方に自衛隊に興味をもってもらい職業選択のひとつとして入隊・入校者の拡大に繋げていく。

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