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自衛隊ニュース   1032号 (2020年8月1日発行)
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うちの子は自衛官
艦長からの手紙
〜家族への深い労り〜

千葉市自衛隊家族会事務局 杉浦 敦子

 7都府県に緊急事態宣言が発令された日から10日後の4月17日のことでした。自宅に息子(20代前半)の字で宛名が書かれた封書が届きました。差出人を見ますと、『潜水艦せきりゅう』。息子の乗っている艦です。『せきりゅう』はその時、神戸で定期修理に従事中でした。心臓がドキドキしてきました。封を開けたくても開けられなくて、「何だろう。コロナ関係で息子が?それとも何か不始末?」悪いことばかり頭をよぎります。それでも思い切って封を切りました。中には一枚のお手紙が入っておりました。
 艦長の岡澤智和様からのお手紙でした。『せきりゅう』では万全の感染予防の態勢をとっていること、安全を第一に業務に取り組んでいるので、安心してほしいと書かれてありました。ただ、帰省や家族から会いに行くことに対しては制限がかけられるので理解いただきたいとのことでした。何度も読み返しました。神戸で寮生活を送っている息子のことを心配しない日はなかったので、本当にありがたかったです。
 部下の家族にこんな手紙を出してくれる職場は他にもあるのでしょうか?他府県で就職している子を持つ友人たちにも話したところ、皆、一様に感動しておりました。
 私自身、千葉市自衛隊家族会の会員として、新型コロナウイルス関係の災害派遣でのご活躍やブルーインパルスによる感謝飛行だけでなく、緊張状態の続く世界での隊員の方々のご活動を非常に誇りに思っております。近い未来、隊員の皆様が安心して訓練に励めたり、ご家族の元に帰られることができる日が来ることを念じながら家族会の活動を続けてまいりたいと思います。

勇ちゃん、いつもありがとう
第47普通科連隊第2中隊 嶽(たけ)2曹 夫人 葉子さん
 この度、部内機関紙への寄稿を機に、知り合ってからを回想してみました。結婚してから丁度10年、3人の子供に恵まれました。お互い子育てに奮闘する中で、夫婦として喧嘩など成長すべきターニングポイントも多々ありました。
 その中で、今でも尊敬しているところがあります。それは、「人を思う深さ」です。配慮でも、気遣いでもなく「その人の為にいかに深く寄り添えるか」です。今でも自分が出ない演習のお見送り等率先して出勤しています。現在の部署に異動してからは、職務上社会保障や、社会福祉に関する事項に携わる事が多く、より多様な対応を求められている事がうかがえます。(勿論個人情報を取り扱うので、推測の範疇ではあります)そんな中でも家の事をちゃんと考え、子供達に真摯に接する父親像を見て、本当に結婚出来て(結婚してもらって)幸せだなぁと感じます。
 回想する中で、2つの甚大な災害がありました。「東日本大震災」と「西日本豪雨災害」です。震災時は福島県相馬市と南相馬市に赴きました。原発もあり非常に心配でした。主人は海田に戻ってからも、報道で相馬市が出ると意識的に見ていました。その姿を見て被災地がいかに大変であったかを知りました。そして「西日本豪雨災害」は自分自身が体験した事が多く、また子供たちもいたので、主人が不在の中いかに皆の身を守るか親身になって考えました。主人が不在の中子供達と日々テレビの報道を見て、隊員の皆さんが身を粉にして職務にあたる姿を知りました。報道を見る度「お父さんいるかね?」「大丈夫かね?」「皆大変じゃね」「皆で力を合わせて頑張ってるんよ」と言った覚えがあります。その時子供達は主人の職業を把握したと思います。「人がすごく困っている時に、危なくても助けに行くお仕事なんだよ」と。
 ですから私も子供達も主人の仕事を尊敬しています。
 「勇ちゃん、いつもありがとう」

「親子の絆」国境防衛
初めての親子勤務
 対馬駐屯地(司令・山口勝1陸佐)は第304基地通信中隊湯布院派遣隊の阿部彩吹士長を7月1日から9月30日まで同中隊対馬派遣隊へ3カ月間の臨時勤務として迎え入れた。
 阿部士長は、対馬警備隊後方支援隊に勤務する阿部公裕1曹の娘であり、初の同一駐屯地での勤務となる。
 阿部士長は、商業高校を卒業後、父親の勧めにより平成29年陸上自衛隊に入隊、4年目の勤務で親子勤務となった。
 対馬臨時勤務内示の時の気持ちを聞くと「父のことより、離島勤務が上手くいくかが心配でした」と答えてくれた。
 父親の阿部1曹については「お酒と、お魚と、冗談が好きな父親です」と笑顔で答えてくれた。着隊後父親と出かけましたか?と質問すると「一緒に買い物に行きました。あと、海にも連れて行ってくれました。対馬の海は、とても綺麗でウニが見えました」とまたまた笑顔で答えてくれた。
 お父さんに料理とか作ってあげましたか?と聞くと「先日、父が暮らす官舎でプリンを作ったのですが、タッパーの耐熱温度を確認しなかったので2個溶かしてしまいました」と少し照れながら話してくれた。
 父親の阿部1曹は、新型コロナウイルス感染拡大防止のため外出を自粛していたことから暫く阿部士長と会っていなかった。久しぶりの再会を果たし、安堵とともに娘の自衛官としての成長を確認できホッとした様子であった。
 阿部1曹は令和2年度前期定期異動において別府駐屯地へ異動予定となっており、残された対馬警備隊勤務1カ月を娘さんと充実したものにしてほしいと願うばかりである。

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