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自衛隊ニュース   1021号 (2020年2月15日発行)
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読史随感
神田淳
<第47回>

平成時代の日本経済の凋落

 日本の経済力は平成時代に凋落した。日本のGDPは1995年(平成5年)5兆4500億ドルに達したのち、全く成長していない。2018年(平成30年)4兆9710億ドルである。この間、米、英、独、仏、中国といった主要国は順調に成長している。米7兆6400億ドル(1995年)↓20兆5800億ドル(2018年)、英1兆3360億ドル↓2兆8280億ドル、独2兆5880億ドル↓3兆9510億ドル、仏1兆6020億ドル↓2兆78000億ドル、中国7370億ドル↓13兆3680億ドルとなっている。1995年アメリカの70%に達していた日本のGDPは、2018年アメリカの24%にまで低下した。1995年日本の13%に過ぎなかった中国のGDPは、2018年日本の2・7倍となり、今や世界第2位の経済大国である。
 1995年世界第3位だった日本の一人当たりのGDPは、2018年第26位まで凋落した。そして28位には韓国が迫っている。1995年、日本の一人当たりGDPは、米、英、独、仏を超え、米の1・5倍、英の1・9倍、独の1・4倍、仏の1・5倍に達したが、その後再び米、英、独、仏よりも小さくなり、2018年には、米の0・62倍、英の0・92倍、独の0・82倍、仏の0・91倍となっている。より実質的な豊かさの比較ができる購買力平価ベースで一人当たりGDPランキングを見ると、日本は1995年の18位から、2018年31位にまで転落している。平成時代、日本の豊かさは、世界の中で実質ベースでも凋落したのである。平成時代は日本経済の「失われた30年」であった。日本は今決して豊かな国ではない。
 平成時代、日本経済はどうして凋落したのだろうか。エコノミストが言うように、1990年以降世界経済が大きく変化する中で、日本の産業が競争力を失ったことが決定的に大きい。日本の産業は、特にIT(情報技術)のイノベーションによって生み出される先端サービス産業の世界的競争に敗れた。
 1990年代、中国などの工業化が進展し、工業製品の低価格化が進んだ。日本の製造業は新興国との競争によって疲弊。新しい産業を生み、産業構造を変える必要があったがこれができなかった。米国のアップルなどは、水平分業型のビジネスモデルに転換し、製造工程以外に集中することによって競争力をもった。
 米国企業の時価総額トップランキングにはグーグル、アップル、フェイスブック、アマゾンといったIT関連企業が並ぶ。これらの企業は20年前には存在しなかった(存在しても小企業だった)が、ITによる新しいビジネスを創造し、急成長した。アメリカの経済がこうした新産業によって支えられた。中国にもテンセント、アリババ、バイドゥーといったIT企業が成長している。新しい産業が次々に誕生し、これが急速に市民生活に浸透して中国社会を変えつつある。
 平成時代、日本の電子産業の国際競争力は大きく低下した。今やスーパーコンピュータ、半導体、液晶、太陽光電池など、かつて世界有数のシェアを誇った日本製品は見る影もない。
 経済力も人である。ビジネスをイノベーションする力が経済力を支配する。ビジネスのイノベーションは技術革新だけでなく、制度を含むシステムの総合的なイノベーションである。それを達成する力は、芸術を含む文化の総合的な知力、感性と創造力である。日本人もその力を十分もっていると私は思うのだが。
 (令和2年2月15日)

神田 淳(かんだすなお)
 高知工科大学客員教授
著作に『すばらしい昔の日本人』(文芸社)、『持続可能文明の創造』(エネルギーフォーラム社)、『美しい日本の倫理』など。


寄せ書き

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新年の抱負
第49普通科連隊(豊川) 3陸曹 谷内 良太
 金沢駐屯地から豊川駐屯地に転属してきて早くも半年が過ぎようとしています。
 昨年は公私共に充実した年を過ごすことが出来たと思っています。
 仕事面においては中隊の雰囲気に慣れ、招集訓練で即応予備自衛官の方々との訓練にも慣れる事が出来ました。
 また、プライベートでは初の単身赴任で妻を含め私自身にも不安がありましたが、休日等を利用して家族サービスもしっかりと出来た年だったと思います。
 さて、令和になって初めての年男としての今年の抱負としまして、仕事面においては新しく係陸曹として微力ながら中隊の隊務運営に貢献していき、プライベートでは支えてくれている妻を変わらず大事にしていきたいと思います。
 最後に今年も1年、皆様にとってよりよい1年になりますよう祈念申し上げます。
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年男として
第33普通科連隊(久居) 3陸曹 高木 蓮
 私は、昨年の7月に3等陸曹に昇任することができました。陸曹教育隊入校の間は、多くの不安があり無事に卒業できるのか心配でした。ですが部隊の方や同期、助教など多くの方々から支えられ、挫けずに最後まで乗り越える事ができました。また、この入校間に時間の使い方や同期との絆など多くの事を学び、自分自身、人間的にも大きく成長できたと思います。そして半年間、どんな時にでも共に支え協力し合った大切な仲間と出会うこともできました。
 3等陸曹として半年間勤務し、令和2年を迎え、年男となりました。若手陸曹としてこれからも今まで以上に何事にも積極的に取り組み、色々な訓練、教育にも参加するとともに、若年隊員の見本となる陸曹を目指し、中隊、連隊に貢献していきます。
 私生活については、現在趣味と言えるものが無いため、今年度は様々な事に挑戦する年としていきたいと思います。また、年男となるにあたり新しい出逢いを見つけ、公私共に充実していきたいと思っております。
 日々精進してまいりますので、引き続きご指導ご鞭撻宜しくお願いします。

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