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自衛隊ニュース   1012号 (2019年10月1日発行)
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ノーサイド
北原巖男
台風15号

 今年も激しい集中豪雨や大型台風の上陸が続いています。テレビでは、「これまで経験したことの無い」とか「観測史上最高の」といった言葉が飛び交い、「命を守る行動を速やかに取ってください」と呼び掛けています。
 気候変動のためでしょうか。去年の最高(悪)記録はどんどん塗り替えられ、私たちが晒される自然の猛威は留まるところを知りません。事前の警戒や準備にも拘らず、自然は冷酷非情。情け容赦致しません。「これからどうしたらいいか分からない」想像を絶する自然の破壊力の痕跡の中に立つ被災者の皆さんの呆然とされた痛々しい姿。明日は我が身かも知れない、そう感じた人も多いのではないでしょうか。
 こうした中、特に復旧対策の遅れに違和感を覚えたのが9月8日から9日にかけて関東を直撃した猛烈な台風15号です。特に千葉県全域での被害は甚大でした。停電による情報の途絶等からでしょうか、想像以上の電柱や倒木による被災地の現場への交通手段の途絶のためでしょうか、復旧作業の前提となる被害の実態把握そのものが大きく遅れたように思えます。
 でも国民の一人として、首都圏に住む者として、今回の復旧作業の遅れをやむを得なかったとはとても思えないのです。僕自身に誤解等があるのかも知れませんが、なぜこんなに遅いのか、不思議に思いました。
 2万戸を超える屋根等の損壊は枚挙にいとまなく、雨漏りを防ぐ応急処置用のブルーシートの不足や屋根に上ってシートを設置する専門作業員の不足も指摘され、屋根からの転落事故も少なくありません。
 約2000本もの電柱の倒壊・損傷や倒木等による停電は、予想外の困難さを復旧作業に強いるものとなりました。もちろん東京電力をはじめ全国から駆け付けた電力会社の皆さんは、一日も早い停電解消に取り組まれました。しかし作業は著しく手間取りました。しかも復旧見込み時期は、幾たびも延期されました。被災者の皆さんは、その都度ガックリされ、ひたすら耐える日々だったことでしょう。
 クーラーや冷蔵庫、医療機器やウォシュレット、スマホなど無かった時代と、それらが当たり前、生活基盤の前提となっている今とでは、人々や社会の受けるダメージ・苦しみには、雲泥の差があります。いったん享受した便利さを放棄することは、不可能であるばかりか、時に命の危険にも関わって来ます。
 今回の台風15号襲来は、これまで経験したことの無い暑さや大規模自然災害の常態化が懸念される中で、改めて、国民の今ある生活基盤の速やかな復旧が、いかに難しいものであるかを見せつけるものとなりました。
 敢えて誤解を恐れずに申し上げるならば、この程度の台風被害で、このような対応をしていたのでは、年内にもあるかも知れないもっと強烈な台風の襲来や、来たるべき大地震等が生起した場合、どうなってしまうのか心配を禁じ得ません。国は、千葉県を含む県下の自治体・東京電力等の民間企業などを含む関係機関と共に、速やかに今回の検証を行うものと思います。そしてその検証結果・情報は、全国の都道府県や防災関係当局とも共有し、防災計画・復旧対策等の策定や改定等に活かして行く。
 今日もテレビでは、気象予報士が新しい台風の発生と予想進路図を説明しています。防災や災害復旧に全力で頑張っている皆さの気持ちと力が、被災地や被災者の皆さんに向けて速やかに、総合的かつ効果的に発揮出来る体制の一層の整備・充実をお願いしたいと思います。

北原 巖男
(きたはらいわお)
元防衛施設庁長官。元東ティモール大使。現(一社)日本東ティモール協会会長。(公社)隊友会理事


王者の貫禄 フィジー軍が連覇
自衛隊は仏軍と互角の戦い
国際防衛ラグビー競技会
 第3回国際防衛ラグビー競技会は、フィジー軍の2連覇で幕を閉じた。23日に行われた決勝戦は、強風の影響により、直前に試合会場を柏の葉総合運動場から習志野演習場に変更して行われた。そんなアクシデントを物ともせず、過去2試合を完勝した勢いそのままに、イギリス軍相手に5トライを決める圧倒的な突破力を見せ、31対17で勝利し、再び頂点に君臨した。イギリス軍は陸海空統合軍チームとして臨んだ今大会で、前回大会決勝の雪辱を果たす事は叶わなかった(前回大会は陸軍が決勝でフィジー軍と対戦)。決勝戦は河野防衛大臣、高橋事務次官、山崎統幕長、湯浅陸幕長ら防衛省・自衛隊の高級幹部も観戦した。
 フィジー軍の栄冠を祝うかのような真っ赤な夕焼け雲が西の空に見えた頃、そのまま習志野演習場で閉会式が行われた。河野大臣からは優勝カップと記念の楯が授与され、各選手にはメダルがかけられた。最優秀選手にはフィジー軍のレオネ・ナワイ選手が選出された。主将のイスレリ・レドゥワ選手は優勝について「ミッション完了という気持ちです」と笑顔で答えてくれた。また約2週間の朝霞駐屯地での滞在期間を「素晴らしいおもてなしをして頂いた」と振り返り、大会運営についても「本当にパーフェクトだった」と感心した様子だった。
 自衛隊チームは15日、最終的に今大会3位となった強豪フランス軍と対戦。PKで先制すると、徹底した低いタックルと相手主将が舌を巻いたスクラムでフランス軍の攻撃をしのぎ、前半は互角以上の戦いを見せるも、最後は力尽き19対3で敗れた。親善試合のトーナメントにまわった19日は、課題を修正しトンガ軍に35対26で競り勝った。23日の自衛隊最終戦はオーストラリア軍に敗れるも終盤に意地の2トライを決めて一矢報いた。

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