防衛ホーム新聞社・自衛隊ニュース
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自衛隊ニュース   998号 (2019年3月1日発行)
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ノーサイド
北原巖男
古岡秀人さん

 今年も、卒業式のシーズンがやって来ます。
 突然ですが、本紙読者の皆さんは、古岡秀人(ふるおか ひでと 1908〜1994年)さんという方をご存知でしょうか。私自身、数年前までは知りませんでした。
 実は、ほとんどの皆さんが、「使ったり読んだりしたことのある」とても身近な存在です。
 そう、古岡秀人さんは、学習研究社、学研を創業した方なのです。
 古岡秀人さんは、母子家庭で育ちました。お父さんは、5歳のときに筑豊炭鉱の抗内で事故死。お母さんは、選炭婦になって幼い秀人さんたち兄妹を懸命に育てられました。
 氏は、「一家が四散しなかったのは、母の愛情が強い絆になったからであろう。手はあかぎれで裂け、黒い膏薬を火箸で塗り込んでは、また自らを勇気づけて働きに出ていた母は、おそらく必死の思いで、自分の肉体への酷使を、子供たちへの愛情だけで支えていたのであろう」「母の愛情は、私の一生の生きざまに、強い影響を与えてくれました。"母ありてこそ私ありき"と、つくづく想っています」と述べています。
 良き恩師等とのご縁にも恵まれ、お金のかからない師範学校を卒業し、お母さんの唯一の夢だった小学校の先生になることが出来ました。その後、幾多の「流転の生活」を経て、第二次大戦直後の昭和21年(1946年)、「戦後の日本を担う子供たちの目標達成に役立つ学習図書を提供する仕事が、今、自分に与えられた使命ではないか、との運命的機縁から、学研の出版事業をスタートさせた」のです。
 そして昭和55年(1980年)には、「母親の無償の愛への感謝」と「社会への報恩感謝」を込めて、私財を基金として提供し、全国の母子家庭の高校生へ奨学金を給付する財団法人古岡奨学会(現在は、公益財団法人)を設立し、初代理事長に就任しました。
 爾後、今日まで36期7296名の奨学生が高校を卒業し、それぞれの分野で頑張っています。その中には、自衛隊員として活躍している方はもちろん、大学教授になり古岡奨学会の理事として後輩奨学生のため尽力されている方もいます。
今月卒業を迎える奨学生322名も、新たに社会や大学・専門学校・浪人等、自分の選んだ道に向けて巣立ちます。みんな頑張れ!
 生前、古岡秀人さんは、卒業生に励ましの言葉を贈って来ました。現在、古岡奨学会が全ての奨学生・奨学生OBに送付している機関紙「奨学ライフ」は、氏のかつての贈る言葉も連載しています。その最新号(46号2019年2月1日発行)。
 「…「古岡奨学会」は、義捐団体ではない。…母子家庭だから、両親のそろった人にない、母親の苦労を知っているし、また逆に、誇りをもって、特殊な環境の中に育ち得たのだという誇りを忘れずに持ってほしい。なにが一番大事かと言えば、少なくとも「古岡奨学会」の奨学生は「人のため、或いは、社会のために尽くす」という気持ちで、生き抜いてほしい。…要は、自分さえ良ければ、人はどうなっても良いという考え方を破って、一人でも多くの同士を求めるために、この奨学会が生まれたのである。私は、諸君に、この考え方を求めたい。私も母子家庭に育った。しかし、卑下するつもりはない。人の値打ちは、「人のため、社会のために尽くす」かどうかにある」
 母への感謝の気持ちを忘れることなく、人のため、社会のために尽くして行く。
 現在の宮原博昭理事長はじめ歴代理事長は、そんな人材を育成するため、時代を先取りする様々な施策を積極的に導入し、全力を尽くして来ています。
 古岡奨学会については、事務局もしくは中学校の先生にご照会なさってください。

北原 巖男
(きたはらいわお)
元防衛施設庁長官。元東ティモール大使。現(一社)日本東ティモール協会会長。(公社)隊友会理事


創立50周年記念
<高射教導群>
 1月31日、高射教導群(司令・日高芳浩1空佐=浜松)は創立50周年の記念日を迎えた。
 高射教導群の発足は、昭和44年1月31日、高射教導群の前身である教導高射隊がナイキシステムを主要装備品とし、防衛庁長官直轄部隊として新編されたことに始まる。
 平成元年3月、教導高射隊は長官直轄部隊から航空総隊直轄部隊に隷属換えになるとともに、ナイキシステムからペトリオットシステムへ換装され、その10年後の平成10年7月、千歳基地所在の基地防空教導隊が隷下部隊として新編され、高射教導隊となった。
 その後、高射教導隊は平成20年5月にペトリオットPAC-3システム、平成26年2月に基地防空用SAMシステムを導入し、同年8月、航空戦術教導団の新編とともにその隷下部隊となり、高射教導群に改名され、現在に至る。
 記念日の当日は、千歳基地所在の基地防空教導隊からも参加し、浜松基地の高射教導群敷地内で一堂に会した。整列する隊員を前に、日高司令は「高射教導群が創立50周年を迎えることができたのは、これまでご尽力してこられた諸先輩方を始め、高射教導群の部隊建設、部隊整備及び運用等に携わった方々の努力の賜物である。将来においても高射教導群の隊員が先人に感謝し、伝統継承、部隊発展の気風を持ち続け、高射教導群がさらに50年、100年と存続することを切に願う」と訓辞を述べた。
 群司令の訓辞の後、高射教導群の隊員で「50」の人文字を作り、主要装備品の前で記念撮影を行い、帰属意識の高揚を図った。

機略縦横(9)
航空自衛隊幹部学校 准曹士先任 上治忠善准空尉
 平成18年4月、航空自衛隊の准曹士先任制度試行から13年が経過しようとしています。准曹士先任としては2度目の配置となりますが、その間、航空自衛隊の准曹士先任の先達のみならず、陸海自衛隊の最先任上級曹長、先任伍長から、また米軍をはじめとする各国の下士官との交流を通じて、大変多くの事を学びました。私自身、まだまだ至らぬ身であり、日々反省することばかりですが、今、心掛けることを挙げるとするならば「不易流行」を心に留めています。解釈には諸説ありますが、私は「良き伝統の継承」と「時代に合わせた進化」を、バランスよく取り入れていくことと理解しています。日本を取り巻く環境の変化は目まぐるしく、防衛省自衛隊は宇宙・サイバー・電磁波を含む全ての領域における多次元統合防衛力の構築が求められています。我々現場レベルでも、本質を踏まえながら進化することで、真に機能する組織となる事が必要です。自身に与えられた立場で組織に貢献できるよう努力していく所存です。

平成30年度JSS顕彰授与
<陸上自衛隊曹友連合会>
 陸上自衛隊曹友連合会(会長・長山健准陸尉)は2月20日、「平成30年度JSS顕彰授与式」を行った。日々の職務を全うしながら曹友会活動に貢献した16名に「JSS顕彰」を、5名に「1級褒賞」を授与した。祝賀会においては、全国から集まった35歳以下のJSS顕彰及び第1級褒賞受賞者は曹友連合会名誉会長である小野塚貴之陸幕副長と記念写真を撮るなど、終始和やかな会であった。「自衛隊生活の中でとても貴重な経験をした」「後輩にこの賞の素晴らしさ、曹友会活動の大事さを伝えていきたい」と胸を張り自信に満ちたキラキラした顔つきが印象的だった。翌日からは、座間・沖縄研修であり様々なことを更に吸収し、一回り大きくなって部隊に戻っていくことだろう。受章者は次の通り。
▽1級褒賞
藤元春光准尉(中央業務支援隊)小林且幹曹長(北部方面総監部付隊)外崎雅丈曹長(第5普通科連隊)奥野稔国曹長(第13後方支援隊)井崎弘毅曹長(第40普通科連隊)
▽JSS顕彰
【北方】大野由太2曹(第4特科群)金田英樹2曹(第71戦車連隊)平野悠希2曹(第5通信隊)
【東北方】齋藤知栄子3曹(東北方面総監部付隊)勝村学3曹(第6後方支援連隊)高橋朋貴3曹(第9特科連隊)栗島寛明3曹(第39普通科連隊)
【東方】川上祐司3曹(関東補給処)小寺裕美3曹(小平学校)高野謙吾3曹(第101施設器材隊)
【中方】畑中剛2曹(第14施設隊)瀧本真暉3曹(第13特科隊)上田将生3曹(第10戦車大隊)
【西方】本田聖一3曹(第15高射特科連隊)押川俊行3曹(第41普通科連隊)高野恭平3曹(西部方面情報隊)

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