防衛ホーム新聞社・自衛隊ニュース
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自衛隊ニュース   948号 (2017年2月1日発行)
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10普連と申し合わせを締結
〈空自・第45警戒群〉
 1月10日、陸上自衛隊第11旅団第10普通科連隊(連隊長・関谷拓郎1陸佐=滝川)及び航空自衛隊北部航空警戒管制団第45警戒群(司令・木村真一1空佐=当別分屯基地)は、「協同訓練及び相互支援に関する申し合わせ」を締結した。
 この申し合わせは、部隊間において実施する協同訓練及び相互支援の促進及び円滑化を図ることを目的に締結されたもので、同日行われた締結式には、第10普通科連隊長の関谷1陸佐及び第45警戒群司令の木村1空佐並びに両部隊の担当者が参加した。
 本申し合わせの適用範囲としているものは、部隊間において実施する協同訓練及び同訓練に対する各種支援であり、「基地警備訓練、災害派遣訓練、国民保護訓練等」を想定している。本申し合わせの締結について両部隊長は、「同一地域に所在する両部隊にとって、それぞれの特性を活かして効果的に連携することは部隊の能力向上及び地域での活動基盤の強化に直結する。(関谷1陸佐)」「平和安全法制への効果的な対応及び統合運用の推進のために、部隊相互の得意分野を活かし、段階的に訓練を継続していくことにより、部隊の更なる能力向上につながる。(木村1空佐)」と意気込みを述べた。
 本申し合わせの内容については、必要の都度協議するものとしており、将来的に任務の変化等があった場合には、柔軟に対応していきたい。両部隊は、これまでも数年に1度、年度業務計画を根拠とした各種協同訓練等の実績があったものの、今後は本申し合わせを有効に活用して継続的な協同訓練を実施し、部隊間の更なる関係の強化及びそれぞれの部隊の精強化を図っていきたい。

新潟発「越後の絆」全国へ
〈高田駐屯地〉
 12月10日、高田駐屯地業務隊は大規模災害等発生時における家族支援態勢強化に向けて、自衛隊(高田・新発田駐屯地業務隊及び新潟地方協力本部)・新潟県全国自衛隊父兄会・新潟県隊友会協同による新潟県家族支援訓練「越後の絆2」を高田駐屯地において実施した。「越後の絆2」は、昨年6月に高田駐屯地において歴史的第一歩を歩み始めた家族支援訓練「越後の絆」の拡大・深化版である。
 前回の訓練が上越市内における自衛隊、自衛隊父兄会及び隊友会の連携・協力要領に焦点を絞ったものであったのに対し、「越後の絆2」は新潟県全域を対象とした訓練である。訓練においては、上越、中越及び下越それぞれの地域における被害想定に基づき、地域の特性に応じた家族支援要領の具体化を図るとともに、家族支援施策の実効性向上のために取り組むべき課題等を明らかにすることを目的に実施された。
 「越後の絆2」には、新潟県内外から約120名の家族支援関係者が参加し、新潟県における家族支援の取り組みへの注目度及び関心度の高さが際立った。特に、研修者として、尼子陸上幕僚監部家族支援班長、本田東部方面総監部厚生課長、大村高田駐屯地司令、二宮第2普通科連隊長、栃木・群馬地方協力本部、相馬原・松本・新町・武山駐屯地業務隊、第382施設中隊(富山駐屯地)等、方面内外の陸上自衛隊関係者、海上自衛隊新潟基地分遣隊、航空自衛隊新潟救難隊、同第46警戒隊(佐渡)等の海・空自衛隊関係者、並びに小林全国自衛隊父兄会事務局運営委員をはじめ、福田自衛隊父兄会北関東地域協議会長、小泉栃木県自衛隊父兄会長等の父兄会関係者が一同に会する高田駐屯地創隊以来最大規模の家族支援訓練となった。
 「越後の絆2」は、参加者全員の認識共有・相互理解の促進を目的とした全般説明(家族支援施策の概要、新潟県内における取り組み、自衛隊父兄会及び隊友会の現状等)に始まり、岡田高田駐屯地業務隊長の進行の下、地震発災直後における情報収集・共有及び意思決定要領(第1状況)及び地域の特性に応じた自衛隊・自衛隊父兄会・隊友会の連携・協力要領(第2状況)の2個状況について図上訓練を実施するとともに、県内外の研修者を交えた活発な意見交換を研究会(AAR)において実施し、多大な成果・教訓とともに無事終了した。
 早川新潟県自衛隊父兄会長、北條新潟県隊友会長の両会長から、「新潟県父兄会の家族支援の取り組みは日本一だと自負している。本日の訓練を通して関係者の皆様の理解がより一層深まったと思います」「第一線に立ち現役で頑張る隊員とそれを待つ家族との『架け橋』となれるよう、隊友会は今やれることを最大限やるという気構えで頑張っていきたい」との力強いコメントがあり、家族支援施策に真の意味で「魂」を込める取り組みを一層推進することで「思い」を一つにした。
 また、尼子陸幕家族支援班長より「今回の訓練における積極的な意見交換を通じて家族支援関係者の認識共有が図られたものと思料。今後は、実動訓練等を実施することにより一層実効性あるものとなるようにしてもらいたい」とのコメントを頂くとともに、大村駐屯地司令及び二宮連隊長からは「部隊自らがもっと積極的に家族支援を推進しなければならない」「地域に密着した陸上自衛隊の強みを活かした連携・協力について、自衛隊父兄会・隊友会のみならず、海上自衛隊及び航空自衛隊とも一体となって推進すべき」等、第一線で活躍する部隊指揮官の視点から、熱意溢れるコメントもあり、各部隊及び家族支援関係者が一体となって家族支援施策等の実効性向上を図っていくことの重要性が示された。
 訓練参加者及び研修者からは約5時間にも渡る熱い議論が交わされたにも係わらず「もっと話がしたかった」との意見が出るとともに、充実感や満足感に溢れた表情が伺え、「新潟県内の取り組みや現状等を理解した結果、自分の認識が非常に甘かったことに気付かされた」「今回の成果等を踏まえ、家族支援施策推進の取り組みにしっかりと貢献していけるよう努力したい」「訓練会場内で自分のカウンターパートに早速挨拶させて頂き、家族支援会同を一緒に実施することで合意した」等、「越後の絆2」への参加を通じて、様々な意識の変化が起きていることを示すコメントが多数述べられた。また、訓練準備、接遇等の訓練支援に関する部分についても、「非常に統制及び準備が行き届いており方面総監部の訓練かと思った」「高田駐屯地業務隊の『おもてなしの心』が伝わって来て感動した」とのコメントも多くの参加者から述べられた。訓練参加者、研修者及び訓練を縁の下の力持ちで支えた訓練支援関係者が一つのチームとして取り組んだ結果、自衛隊・自衛隊父兄会・隊友会関係者の「絆」を一層強固なものとする実り多い訓練となった。
 今後は「越後の絆2」の成果等を踏まえ、高田駐屯地を中心とした家族支援の「絆」の拡大・深化の取り組みが、新潟県や東部方面区内にとどまらず、全国規模の広がりとなり、「隊員が後顧の憂いなく安心して任務に邁進できる態勢」が一層強化されることに期待したい。

一年の安全を祈願
〈海自・第4航空群〉〈陸自・航空学校宇都宮分校〉
【海上自衛隊第4航空群】
 1月10日、海上自衛隊第4航空群(群司令・松本完海将補=厚木)は恒例の初訓練飛行を行った。
 第4航空群には、他の部隊に先駆けてP-1が平成27年から導入されており、松本群司令は「道の航海は困難であろうが、最初に挑戦する特権は、今ここに集う第4航空群の隊員しか得られない」などと年頭訓示をした。
【陸上自衛隊航空学校宇都宮分校】
 1月6日、陸上自衛隊航空学校宇都宮分校(校長・佐々木博茂1陸佐=北宇都宮)の航空機による年頭編隊飛行訓練が航空機11機により行われ、今年の「安全」を誓った。

安全は存在しない、リスクを下げよ
〈航空支援集団・飛行点検隊〉
 空自飛行点検隊(隊司令・吉廣敏幸1空佐=入間)は、1月24日、入間基地において、飛行点検隊隊員約70名基地所在部隊隊員約150名の計約220名を前に、安全管理に関わる部外講話を実施した。本講話は、去る4月6日に鹿児島県鹿屋航空基地の北方山中において発生したU-125飛行点検機航空事故の再発防止策の一環として実施したもの。11月に行った講話も大好評で傍聴できない傍聴希望者も多数出たため、今回は、会場となった「入間イン」の会議室目一杯に椅子を並べるという事態に。「安全管理」に対する入間基地所在部隊隊員の意識の高さも垣間みる事が出来た。
 隊員の安全意識の更なる高揚と安全に関わる考え方などについて、ヒューマン・ファクターズの専門家である自治医科大学医学部メディカルシミュレーションセンター・センター長の河野龍太郎教授を講師として迎え、「ヒューマンエラー発生メカニズムと対策-安全は存在しない、リスクを下げよ-」と題して、講師の経験談も踏まえ約2時間の熱い講話を受けた。
 講師は、防衛大学校卒で元航空管制官。航空管制業務中に航空機を衝突コースに誘導するというエラーを経験し、エラー防止を目的に心理学を専攻。東京電力〓株に入社、主に原子力発電プラントのヒューマンファクターを研究。現在、自治医科大学医学部でメディカルシミュレーションセンター長として、医療安全学の研究、および同附属病院医療安全対策部で病院のリスクマネジメントに従事している。また、日本人間工学会認定人間工学専門家で、博士(心理学)。事故におけるヒューマンファクターの研究をライフワークとしており、ヒューマンエラー発生メカニズムをベースとしたエラー事象分析手法(ImSAFER)を提案し、病院や医療安全セミナーで事例分析の実習を指導しているほか、多数の著書を執筆、全国を講演などで活躍している。
 「ヒューマンエラーを理解するには、まず行動のメカニズムを理解しなければならない。人間の行動は、人間側の要因と人間を取り巻く環境側の要因が相互に作用して行動が決定される。ヒューマンエラーとは、この決定された行動がある期待されたものから外れたものである。従ってヒューマンエラーは原因ではなく結果である。ヒューマンエラーを低減するには、エラーの起こりにくい環境の構築とエラー誘発環境に置かれてもそれに負けないだけの耐性を人間が持つことである。人間行動の理解を助けるこのモデルは、エラーの理解だけでなく日常業務における改善活動にも応用することが出来る。有効なエラー対策は行き当たりばったりではなく、科学的で、理に適っていなければならない。」等の内容を講師の情熱溢れる流暢な口調で講話され、隊員たちは聞き入っていた。
 講話実施前に講師は、飛行点検隊の概要説明を受けたのちに、YS-11の見学をされ、飛行機好きの河野講師は、興味深く質問などをしていた。また講話後に実施した隊司令以下主要幹部との意見交換会においても、更なる親睦を深めるとともに、講師の体験に基づく安全などについて更に熱弁を振るわれた。飛行点検隊は、このような悲しく痛ましい事故は二度と起こさないという誓いを新たにした。

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