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自衛隊ニュース   942号 (2016年11月1日発行)
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遺志を受け継ぐ
平成28年度自衛隊殉職隊員追悼式
 10月22日、防衛省内メモリアルゾーンで平成28年度自衛隊殉職隊員追悼式がしめやかに執り行われた。式には新遺族、殉職後10年目及び20目等の遺族、遺族会役員や協力団体のほか、安倍晋三内閣総理大臣、稲田朋美防衛大臣をはじめ、防衛省・自衛隊の高級幹部や歴代大臣、国会議員等約370名が参列した。
 昭和32年から続く当該追悼式は、任務遂行中に不幸にして職に殉じた隊員を追悼するもので、今年度は陸自7柱、海自12柱、空自10柱、防大1柱、防医大1柱の計31柱が新たに顕彰された。これにより、昭和26年の前身の警察予備隊以降今年度までの顕彰者数累計は1,909柱となった。
 安倍首相は追悼の辞で「『真に国民のための自衛隊たれ』この理念を身をもって示された皆様たちは、私たちの誇りです」「ご遺志を受け継ぎ、国民の命と平和な暮らしは断固として守り抜いていく。そして世界の平和と安定に貢献するため、全力を尽くします」と述べた。稲田大臣は「幾多の方々が旺盛な責任感のもと、身の危険も顧みず、国家国民のために、任務の完遂に務め、志半ばにしてその職に殉じられた事実を我々は決して忘れることがあってはなりません」「あらゆる事態に切れ目なく対応し、最後の砦として前身全霊で取組みます」と誓いの言葉を述べた。
 参列者による献花の後、遺族代表として、今年4月に起きた航空機墜落事故により殉職した飛行点検隊・平岡勝2空佐の夫人奈々子さんは「亡くなった家族を誇りとして、深い悲しみを乗り越え、力強く生きて参る所存です」「私どものかけがえの無い家族が果たせなかった分まで、国防という崇高な任務を全うされますよう、お祈り申し上げます」と時折言葉に詰まりながらも気丈に挨拶を行った。
 最後に参列者全員で礼拝を行った後、特別儀じょう隊による捧げ銃が、今にも泣き出しそうな曇空に放たれ、銃声が一帯に鳴り響き、式は静かに閉会した。

防衛大臣感謝状贈呈式
個人56名、団体77件が受賞
 10月22日、自衛隊記念日行事の一環として、平成28年度防衛大臣感謝状贈呈式がホテルグランドヒル市ヶ谷(東京都新宿区)「瑠璃の間」で行われた。防衛省・自衛隊の高級幹部が陪席のもと、隊員の教育訓練、防衛施設の安定使用、自衛官募集や予備自衛官雇用等で功績のあった133の個人・団体が表彰された(個人56、団体77)。
 式典では、稲田朋美防衛大臣が受賞者席を周り、「ありがとうございます」と言葉を添えて一人ひとりに感謝状を手渡した。稲田大臣は、防衛省・自衛隊に対する日頃からの支援に謝辞を述べ、「私も防衛省・自衛隊の良き伝統とともに、変化する安全保障に対応するため、相当な精神を持って取り組みます。今後とも変わらぬご支援・ご協力をお願い致します」と挨拶をした。続いて受賞者代表として、陸上自衛隊高等工科学校全国生徒育成会連合会会長の柳澤正博氏が「私達はこの栄誉を誇りに思い、今後とも我が国の防衛に協力できるよう、微力を尽くします」と挨拶を行った。
※受賞者名簿は次号に掲載

平成28年度中央観閲式
約5,000名が後方で支援
 全国から約4,000名の隊員が参加し、約20,000名の観客の前で、圧倒的な統制美と迫力を誇示した「平成28年度中央観閲式」。この防衛省最大の記念行事をバックで支え、無事に成功へと導いたのは、参加人数を上回る約5,000名の後方で支援する部隊の隊員たちの力だ。あらゆる状況を想定した準備、運営、管理を完璧にこなす彼らがいてこその観閲式だった。
 後方支援を統括する観閲式指揮所では、会場内の様々な場所に設置された監視カメラからの映像が、数台のモニターに映し出されていた。禁止されている小型無人機による撮影や、不審物等異常が発見されると、すぐに現場の隊員に指示が出される。常時100名態勢により、安全で円滑な観閲式の運営をコントロールする要となる場所だ。取材時は、行事が終った後で、各セクションから異常の有無について報告があがっている時だった。
 予期せぬトラブルにも万全を期している。観閲車両が万一故障して動かなくなってしまった際には、観閲車両全種と同じ機種が待機しているため、観閲道に入る前であれば、入場前に列に合流することができる。そのため、進行を妨げず、観覧者に気付かれることもない。
 また、故障車両を撤去するための回収車も待機している。この日公開されたのは、東部方面後方支援隊隷下の第105全般支援大隊に配備されている90式戦車回収車だ。これは90式戦車から砲及び砲塔を取り除いた車体部に回収装置を取り付けた車両で、戦車等の野外回収作業や整備作業に使用される。大きさは90式と同等で、車体後方のフックによる吊り上げ能力は約25t、牽引能力は全備重量と同じ約50tだ。戦車回収車は、新しい戦車の導入に合わせて開発され、現在78式(74式がべース)、90式、11式(10式がベース)の3車種が全国に配備されている。その中でも吊上げ・牽引能力が最大の90式は、どの戦車にも対応できる万能型だ。
 その他にも、観閲飛行部隊の円滑な飛行のために欠かせない気象情報を計測・提供する東部方面管制気象隊(立川)の気象測定装置や、ライブ映像を配信するシステム通信部隊等も公開された。

雪月花
 米国カンザス州にある米陸軍のCGSC(指揮幕僚大学)フォートレブンワースに行ってきた。敷地面積は23平方キロメートル、基地内の人口は約14000人(軍人3600人、家族6000人、国防省所属の文民2500人その他1900人)。小学校が3校、中学校が1校。基地に接続して狩猟場もある、もちろんゴルフ場も、スーパー、映画館も。ゆったりとした敷地はミズリー川の支流沿いになだらかな起伏で広がっている。ここには80を超える国から留学生が来ており、わが陸上自衛隊からも毎年1名の留学生が派遣されている。また、連絡官も2年から3年を任期として同基地に勤務している。留学生が学ぶ建物に入ると、出迎えてくれたのは3階まで吹き抜けの圧倒されそうなロビー。1881年から続く歴史と伝統を強く感じる。さらに奥に入ると各国の国旗と共に軍人の写真が飾られていた。写真の人物はここで学び帰国後、陸軍のトップになった人である、国王になった人もいる。日本人では今年の6月まで陸幕長をされていた岩田清文さん、岩田さんの前任の君塚栄治さん、26代の藤縄裕爾さん、20代の石井政雄さんの写真がみられた。留学生は日本では考えられないような素晴らしい環境を与えられてはいるが、1日のカリキュラムはなかなかハードのようだ。朝8時半から17時まで、外国の同期留学生との体力練成を含めてびっしり、しかし構内を案内していただいた日本からの留学生は随所ですれ違う各国の同期生とはまことに友好的だ、肩を抱かんばかりにジョークをぶつけ合っている。将来このつながりが必ず平和への友好な手段になるはずだ。(所谷)

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