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自衛隊ニュース   927号 (2016年3月15日発行)
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派遣海賊対処行動
航空隊 支援隊に1級賞状
 3月2日、防衛省副大臣室で派遣海賊対処行動航空隊第21次要員(指揮官・菊地秀雄1海佐=海自第5航空群(那覇基地)基幹)及び派遣海賊対処行動支援隊第4次要員(指揮官・古庄信二1陸佐=陸自中央即応連隊(宇都宮駐屯地)及び海自航空集団基幹)に対する第1級賞状授与に伴う式典が行われた。派航空21次隊は今年2月までの約4ヵ月に及ぶP―3Cによるアデン湾での警戒監視活動、支援隊4次隊は今年2月までの約半年に及ぶジブチ自衛隊拠点の警備や業務支援を行い国内外で自衛隊の評価・信頼を高めることに大きく寄与。1次から連綿と続く活動を確実に継続した21次隊は、今年2月には警戒監視飛行1500回を達成した。
 式典には、授与者として若宮健嗣防衛副大臣が出席。両部隊指揮官による総員無事の帰国・異常無い旨の報告に続き、中谷元防衛大臣名の表彰状を若宮副大臣が代読し、長期にわたる海外派遣を労い「ご苦労様でした」などの温かい言葉を掛けながら副賞の楯を添えて両指揮官に授与した。

雪月花
 前号に紹介した竹田恒泰さんが著した「日本の礼儀作法」~宮家のおしえ~は発刊3ヶ月で50万部のベストセラーになったということだ。明治天皇の玄孫という著者の出自が作用している部分も考えられるが、読み進めるうちに日本人なら貧富に関係なく生まれながらにして持っている道徳観や品性を再起動させているのかもしれない。小さいころ家族や先輩などから一度は教えられていたもののいつの間にか忘れていたことを改めて思い出させてくれる懐かしさもありそうだ。食事の作法、言葉の作法、服装の作法、敬語の作法、さらに自衛隊の45度の敬礼や10度の敬礼から神前でのお辞儀についても丁寧な記述がある。そして人の名刺を大事にすることを強調している。かなり前になるが長野県で新しい知事が就任し、挨拶周りに選挙で反対派だった県会議員のところに行ったところ新知事が出した名刺を「貰ったんだからどんなにしてもいいですね」といって本人の目の前で県会議員氏は派手に破り捨てた。このシーンは全国ネットされたので長野県出身の友人はしばらく名刺を使えなかったとぼやいていた。こんな極端なことに会ったことはないが、話に熱中したのか筆者から受け取った名刺をグルグルと恵方まきのようにされたことがあった。多分ゴミ箱に直行したことだろう。名刺は決してぞんざいに扱ってはいけない、名刺はその人の分身と思って大切に扱う、竹田さんの思いだ。一冊の本で雅の世界を少しのぞいた気になる。

沖縄の基地問題に関する要請書を受領
〈中谷大臣〉
 3月4日午後、中谷元防衛大臣は防衛省で、「沖縄県軍用地転用促進・基地問題協議会」会長の翁長雄志沖縄県知事以下、城間幹子那覇市長、稲嶺進名護市長ら5市町村の代表者の訪問を受け、「基地から派生する諸問題の解決促進に関する要請書」を受領した。
 オスプレイ配備の再検討、米軍普天間飛行場の県外移設、航空機騒音対策等が含まれた「米軍基地負担の軽減」や「日米地位協定の抜本的な見直し」「米軍施設・区域の返還及び跡地利用に係る諸問題の解決促進」について要請を受けた中谷大臣は、「早期に目に見える形で引き続き努力して参りたい」「翁長知事および各自治体の皆様方につきましても今後とも協議して御協力も頂きたい」等と回答した。
 また、普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古埋め立て承認取り消しを巡って国が翁長知事を訴えていた代執行訴訟は、同日正午ごろ福岡高裁那覇支部で和解が成立した。それを受けて、安倍晋三首相は中谷大臣に工事の中断を指示した。

〜中央即応集団〜
魁の風
Central Readiness Force
南スーダン
最先任上級曹長会合
 1月30日、南スーダンの首都ジュバ市にある国連トンピン地区派遣施設隊宿営地において、UNMISS軍事部門最先任上級曹長(ケニア軍)マトゥース・サガシ1等准尉(以下、サガシ1等准尉)以下UNMISS参加各国のうち10か国の最先任上級曹長等21名が集い、会合が開かれた。
 今回の会合は、UNMISSで初めての試みであり派遣施設隊が主動的に協力した。会合ではサガシ1等准尉が中心となり、各国の最先任上級曹長があらゆる場面を通じ団結・協力して南スーダンの発展に寄与することを誓った。 宿営地到着後、派遣施設隊最先任上級曹長(北原広樹准陸尉)の司会進行の下、参加した最先任上級曹長等は自己紹介した後、積極的に意見を交換し、各国の現状や特性の相互理解を促進した。最後に派遣施設隊隊長(相園和宏1陸佐)は、「サガシ1等准尉を核心として各国下士官の強い友好関係を築きつつ、情報の共有を図り、共に南スーダン共和国の発展に寄与することを期待する」と、これまで以上の各国間の協力・連携の重要性を述べた。
 その後行われた昼食会は、終始和やかなムードで進み、各参加者達は、「これまで以上の各国間の団結・協力により更なる南スーダンの発展に寄与していこう」と結束することを申し合わせ、会合は締めくくられた。

中国安全保障レポート2016
〈防衛研究所〉
 防衛研究所(鈴木良之所長)は3月4日、中国の軍事動向に焦点を当てた年次報告書の第6号『中国安全保障レポート2016』を公表した。拡大する人民解放軍の活動範囲とその戦略について近年の動向を分析している。以下、内容を抜粋。
 人民解放軍は情報運用能力が決定的な役割を発揮する情報化戦争に勝利することを目指し「情報システムに基づく体系作戦能力」の強化を図っている。情報システムについては、情報収集・監視・偵察(ISR)能力の向上や効率的な指揮・統制の実現、ネット・電磁対抗力の強化などを念頭に宇宙空間の軍事利用を推進している。体系作戦能力の強化については、陸・海・空・第二砲兵を統合的に運用し戦闘力を飛躍的に向上させることを目指している。
 第二砲兵は昨年末に「ロケット軍」に改編され、核戦力のみを扱う軍種から核と通常の両戦力を兼ね備える(核常兼備)軍種へと変化した。確実な第二撃能力の保持を目指し核戦力の質的向上に取り組んでいる。通常ミサイルの運用は核と異なり攻撃的な概念が提起されており、機先を制し相手の急所となるC4(指揮・統制・通信・コンピュータ)ISRや戦力投射の結節点に精密打撃を加えることが重視されている。
 海軍は作戦海域を大陸の沿岸海域から東シナ海・南シナ海、さらには西太平洋やインド洋へと拡大しつつある。今後、東シナ海・南シナ海では、領土・主権問題や海洋権益問題での優位確立を目指して海・空域でのプレゼンス強化を図るだろう。空軍も遠海における活動が活発化しており、2015年には空軍機が西太平洋で初の軍事演習を行った。
 人民解放軍が今後も東アジア地域における米軍のプレゼンスに対する挑戦を続け、奏功した場合、既存の安全保障秩序が一変する可能性もある。今後は、中国が既存の安全保障秩序を補完する大国へと向かうように、二国間、三国間、多国間のさまざまな枠組みを構築・活用して、中国との率直な対話を推進していく努力が重要となるだろう。

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