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自衛隊ニュース   919号 (2015年11月15日発行)
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遠洋練習航海部隊が帰国
初めてマゼラン海峡を通過
 10月27日、東京晴海埠頭HK岸壁で平成27年度遠洋練習航海部隊(司令官・中畑康樹海将補)の帰国行事が執り行われた。当日は藤丸敏防衛大臣政務官、武居智久海上幕僚長をはじめ防衛省・自衛隊の高級幹部、黄川田仁志外務大臣政務官、国会議員、協力会等多数が参列した。
 爽やかな秋晴れの中、お台場のレインボーブリッジをくぐり、午前9時に接岸を果たした練習艦「かしま」(艦長・小沢輝男1海佐)「しまゆき」(艦長・小圷聖一2海佐)、護衛艦「やまぎり」(艦長・橋本聖一2海佐)。実習幹部約170名(うち女性18名、タイ王国海軍少尉1名)を含む乗員約700名を出迎えたのは早朝から帰国を待ち侘びた家族・関係者の「おかえりなさい」という歓声だった。遠洋練習航海部隊は、5月21日に晴海埠頭を出発してから160日間で総航海距離は約58000キロ、北米、南米大陸方面12カ国16箇所に寄港し、幹部候補生学校で修得した知識・技能を実地修得することに加え、各国海軍との友好親善の増進・深化にも寄与した。無事に帰国した娘を「よくがんばった」と笑顔で迎える両親。涙ぐみながら恋人に駆け寄る女性。出迎えた大勢の人達と実習生・乗組員で岸壁は溢れ返った。
 式では、中畑司令官が藤丸政務官に帰国を報告。藤丸政務官は「これからの海上自衛隊の中核を成す存在として自らの職責に誇りと自覚を持ち、国民からの信頼に応えられるよう我が国の防衛という崇高な任務に全身全霊で取り組んでもらいたい」と訓示した。武居海幕長は海上自衛隊として初めてマゼラン海峡を通過した事に触れ「海上自衛隊の行動の自由を広げる意味で大きな成果だ」と評価。続けて「海上自衛隊の活動の基本が海の上であることを肝に銘じ、海の上を基本としたものの見方や考え方をもち続けてほしい」と要望した。
 実習幹部はこの後それぞれの任地に赴き幹部自衛官としての一歩を踏み出す。

国内最大のFRP製掃海艦
「あわじ」命名・進水式
 10月27日、ジャパンマリンユナイテッド渇。浜事業所鶴見工場で、平成25年度計画掃海艦「あわじ」(ぎ装員長・小林倫彦2海佐)命名・進水式が実施された(執行者=横須賀地方総監・井上力海将)。黒江哲郎事務次官、村川豊海上幕僚副長、防衛装備庁から外園博一防衛技官、ジャパンマリンユナイテッド且O島愼次郎代表取締役社長をはじめ多数の関係者が命名・進水を見届けた。
 掃海艇の名称は島の名や海峡の名を付与することが慣例で、「あわじ」型1番艦の「あわじ」は瀬戸内海で最大の有人島である淡路島に由来する。海自部隊から募集し、知名度が高く隊員の士気や艦への愛着心を高揚するに十分であると、中谷元防衛大臣が決定した。
 本艦は、掃海艦「やえやま」型の性能向上型で、同艦から機雷掃討、機雷掃海システムの性能向上等を図っている。本艦と同じく船体材料にFRP(繊維強化プラスティック)複合材料を採用している「えのしま」型掃海艇よりも約120トン大型化し、国内最大のFRP製の掃海艇となる。「やえやま」の代艦として平成29年3月に就役予定だ。
 ○基準排水量:690トン ○全長:67メートル ○最大幅11メートル ○深さ:5.2m ○喫水:2.7メートル ○機関形式:ディーゼル2基 ○軸数:2軸 ○軸馬力:2200馬力 ○最大速力:約14ノット ○主要装備:20ミリ遠隔管制機関砲1基、掃海装置:1式

魁の風
〜中央即応集団〜
Central Readiness Force

WFP道路整備完了
〈南スーダン派遣施設隊(8次)〉

 南スーダン派遣施設隊(第8次要員)(隊長・山下博二1陸佐)は、9月29日~10月2日までの間、WFP(世界食糧計画)の要請により同施設周辺の道路整備を実施した。
 WFP南スーダン事務所が所在する、同地域の道路は、市民生活に必要な道路であるものの処々崩壊し、雑木林で見通しが悪い上に、雨季を迎えて排水状況も悪く、通行が困難であったため、派遣施設隊へ整備が要請されたものである。
 道路整備は、施設器材小隊及び現地の職員と協同作業で行い、ダンプ約80台分(約200)のマラム(赤土)を使用し、長さ約400m、幅約8mの道路の路面形成、転圧を実施して完了した。
 活動終了日には、在南スーダン日本大使館の紀谷大使が視察に訪れ「本当に綺麗な道路に生まれ変わりました。WFPだけでなく近所の方々も笑顔で喜んでいます。ご苦労様でした」と労をねぎらうとともに、派遣施設隊、現地の子供達、WFP職員とともに記念撮影を行った。

 
国際任務で感じたこと
第2施設小隊2陸曹 足立 博幸
 南スーダンに派遣され、約3か月が経とうとしています。この間、日本では経験することができない出来事が沢山ありました。アフリカの気候・文化・価値観等、様々な違いに派遣当初は驚きと不安の連続でした。
 PKOを熱望した理由は「全ての国の人々が平和で安全な日々を送ってもらいたい」との思いからであり、その強い思いが驚きや不安を感じた時に、私の驚きを落ち着かせ、不安を解消させます。
 現在の私の業務は、エチオピア隊のコンテナハウスの構築が主な活動です。他国の人との調整には言葉の壁はありますが、足りない語学力は身振り手振りでカバーして、これまで日本隊が築いてきた信頼関係を更に向上できるよう頑張っています。
 また、活動地域への移動中、現地の子供達が私たちに向かって満面の笑みで手を振ってきます。それも、一日だけではなく毎日です。時には足元が悪い中でも、全力で走って近づき手を振ってくれる姿に微笑みかけながら「この子供達の未来のために全力を尽くす」と心に誓って日々活動しています。
 最後になりましたが、こうして全力で活動できるのも、色々な人達の協力・支援のお陰だと心から感謝しています。この気持ちを忘れず無事に任務完遂し、堂々と胸を張って帰国できるようにこれからの日々を大切に、最後の最後まで精一杯頑張りたいと思います。

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