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自衛隊ニュース   908号 (2015年6月1日発行)
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在日米軍司令官と会談
中谷防衛大臣
 中谷元防衛大臣は5月18日、在日米軍司令官兼米第5空軍司令官・S・A・アンジェレラ米空軍中将の表敬を受け大臣室で会談を行った。大臣は冒頭、5月12日付で発表されたアンジェレラ中将の旭日大綬章叙勲を祝福。同中将は、「過去、日本で活躍した諸先輩が日本政府から叙勲を受けたのを見てきたが、自分が同じ立場になるとは思わなかった」と笑顔で慶びを語った。
 会談では、同日に米ハワイ州で発生した米海兵隊MV—22オスプレイの事故についても言及があり、オスプレイが配備されている或いは配備予定の自治体の関心が非常に高いことから、「速やかな情報提供をお願いしたいという旨発言を致しました。アンジェレラ司令官からは、『これまでの事故と同様、本件についても、分かり次第、情報提供をしていきたい』、『安全な運用に心掛けていきたい』という発言がございました」(中谷大臣。会談後、同日の大臣臨時記者会見で)等のやり取りがあった。

ネパール大地震に国際緊急援助隊
医療・輸送等被災者支援
 4月25日11時56分(現地時間)、東南アジアのネパールに甚大な被害をもたらしたM7超の大規模な地震を受けて、防衛省・自衛隊は日本時間26日午後、被害状況の調査や支援のニーズについて情報収集を行う調査チームを現地に派遣した。翌27日、中谷元防衛大臣は国際緊急援助活動の実施に関する自衛隊行動命令を発出。28日にネパール統合運用調整所(4名、所長・吉浦健志1陸佐)、ネパール国際緊急援助医療援助隊(約110名、隊長・中川博英1陸佐)、ネパール国際緊急援助空輸隊等(約160名、ネパール国際緊急援助空輸隊隊長・内山均2空佐)を編成し現地に派遣した。
 派遣部隊は約1カ月に渡りネパールの首都カトマンズを中心に国際緊急援助活動を続けていたが、ネパール政府の意向等により5月19日、終結に関する自衛隊行動命令が中谷大臣から発出されたことを受け活動を終結。20日以降順次撤収、22日には全隊員が無事に帰国した。統合幕僚監部は、「我が国の活動はネパール首相をはじめ政府の様々な方々から感謝の意が表明されており、被災者の方々に対し効果的な医療支援等が実施できたものと認識している」としている。
▽派遣部隊の活動内容
 自衛隊派遣部隊による国際緊急援助活動は、カトマンズの多国間調整所において、ネパール政府のニーズを踏まえ、ネパール統合運用調整所が主体となり、内容を調整して行われた。ネパール国際緊急援助医療援助隊はカトマンズ市内と近傍の計5ヶ所で5月19日までに約3000名の診療を実施したほか、トリブバン大学で職員と学生に被災者のメンタルヘルスに関する講義、メラチムで防疫活動を行った。ネパール国際緊急援助空輸隊はC—130輸送機により、日本からトリブバン国際空港へ医療品等の物資の空輸を2度実施した。

著しい功績に報いる
国際的な貢献を対象に表彰
 4月22日、防衛省大臣室で派遣海賊対処行動に従事した部隊及び部隊指揮官に対する表彰式が行われた。
 表彰式では、第19次派遣海賊対処行動水上部隊(指揮官・大川努1海佐)に特別賞状(内閣総理大臣表彰)が、第17次派遣海賊対処行動航空隊(指揮官・草野信也2海佐)、第2次派遣海賊対処行動支援隊(指揮官・飯塚祥平1海佐※現在、第3次でも引き続き指揮官として在南スーダン)に対し第1級賞状が、中谷元防衛大臣から「ご苦労様です」「よく頑張ってくれました」などの労いの言葉と共に副賞を添えて授与され、大川、草野両指揮官と第2次支援隊副司令・成松真也2海佐がそれぞれ拝受した。
 また、大川1海佐には防衛功労章を添えて第1級賞詞が授与された。大川・草野両指揮官、成松副司令は部隊各表彰に先立ち、派遣部隊の無事の帰国を中谷大臣に報告した。19次水上部隊は昨年8月8日から12月10日まで、ソマリア沖アデン湾で船舶の直接護衛及び第151連合任務部隊に参加しゾーンディフェンスを、17次派行空は昨年10月12日から今年2月9日までソマリア沖アデン湾で警戒監視活動を、2次支援隊は昨年10月11日から今年2月10日まで、ジブチの自衛隊拠点で拠点運営・警備等を行った。加えて19次水上部隊は、日本への帰路にエアアジア航空機消息不明事案に関する国際緊急援助活動として諸外国と連携した献身的な捜索救助を行っており、この事も同部隊の表彰理由に挙げられた。
 同日には、同じく大臣室で、国連PKO参加各国の共通基準として全世界で活用可能かつ実用的な『国連PKO工兵部隊マニュアル』の作成に寄与した2隊員の表彰式も行われ、西部方面後方支援隊・石丸威司1陸佐、小平学校・藤井知征3陸佐にそれぞれ、防衛功労章を添え第1級賞詞が、「立派なマニュアル、ありがとうございました」等の賞賛とともに、中谷防衛大臣から授与された。
 石丸1陸佐は、同マニュアルに関わる工兵分科会議長等を務め、議長として23カ国4コ国際機関の様々な意見を取りまとめた。藤井3陸佐は、同マニュアルの編纂責任者として、国連南スーダン共和国ミッション施設幕僚としての経験を生かし、過去の教訓等を反映。また、国連オンラインシステムを活用した各国担当者との継続的で緊密な意見交換を実施して、同マニュアルの実効性向上に寄与した。

自衛隊初 多国籍部隊指揮官
CTF—151司令官 伊藤海将補
 ソマリア沖・アデン湾において海賊対処活動中の第151連合任務部隊(CTF—151)に司令官要員として、第4護衛隊群司令・伊藤弘海将補が派遣された。自衛官が多国籍から成る連合任務部隊の指揮官を担うのは今回が初めての事である。伊藤司令は5月7日に統合幕僚長室で、11日は大臣室でそれぞれ出国報告を行った。
 河野克俊統合幕僚長は、「自衛隊が連合任務部隊の指揮官を出すという事は歴史の1ページを開くことだ。検討を祈る」と述べ、伊藤司令は「国家、国民の負託に応えるべく、与えられた任務の完遂に全力を尽くして参ります」と抱負を語った。
 また11日は伊藤司令以下8名の派遣幕僚が中谷元防衛大臣を訪問。中谷大臣は「国際的な場で日本の能力、日本の資質を十分に発揮できるようにがんばってきてほしい」と期待を述べた。その後記者団に対し伊藤司令は「『和を以て貴しとなす』ではないが、各国の良さと日本人の良さをベストミックスさせながらがんばりたい」と意気込みを語った。司令官派遣隊は5月13日、中東バーレーンにある司令部へと出発し、参加各国との連絡調整任務にあたっている。

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