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自衛隊ニュース   904号 (2015年4月1日発行)
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第19回東京ディフェンス・フォーラム
アジア太平洋諸国一堂に会し議論
24カ国の防衛当局者等
多国間枠組み等がテーマ
 3月4〜5日、東京目白・ホテル椿山荘で防衛省主催の第19回東京ディフェンス・フォーラム(アジア太平洋地域防衛当局者フォーラム=以下TDF)本会合が行われ、アジア太平洋地域24カ国の局長・将官クラスの国防省幹部と国際機関の関係者(※1)が参加し、河野章防衛政策局次長を議長に、「海洋安全保障を促進するために」(第1セッション)、「多国間協力枠組みのシナジー」(第2セッション)の2テーマについて活発な議論が交わされた。5日には「ASEANとアジア太平洋の多国間安全保障協力」をテーマに公開セミナーも行われ、日本の大学教授、米国・シンガポールのシンクタンク研究者(※2)による発表と議論が満員の一般公募者をはじめ聴講者多数に好評を博した。
 本会合第1セッションでは、海洋権益を巡る緊張や海賊事案など伝統・非伝統を問わない海洋問題が話し合われた。ASEAN国防大臣間のホットラインを域外国も含め拡大する可能性について言及があったほか、当事国同士の対話・協力に加え法執行機関などを交えた協力や議論を促進することの有用性が指摘された。また、昨年締結されたCUES(※3)については、歓迎する声と共に、今後定着させるため演習などを行うことが重要との指摘もあった。第2セッションテーマ「多国間枠組み間のシナジー」では、ARF(ASEAN地域フォーラム)、ADMMプラス(拡大ASEAN国防大臣会合)が議題に上り、「二つの枠組みの役割の重複回避と相互補完が重要」などの声が上がった。
 参加者は、ASAEANの多国間枠組みが地域の安定に役割を果たしているとの評価で一致する一方、本会合、公開セミナー共に「枠組み間の相互調整が各国共通の課題」(原田憲治防衛大臣政務官の本会合冒頭挨拶)など、今後、多国間枠組みをより発展させるための現状認識や改善策が多く見られた。セミナーでは、ADMMプラスの役割を伝統的分野にも拡大する可能性や、内政不干渉「ASEAN WAY」のためにARF、ADMMプラス共に決議に拘束性がない点も改めて指摘された。大国の思惑も絡み不透明さを増すアジア太平洋地域の安保保障環境の中で、ASEANの多国間枠組みもまた岐路に立っている。
※1 オーストラリア、バングラデシュ、ブルネイ、カンボジア、カナダ、中国、インド、インドネシア、日本、ラオス、マレーシア、モンゴル、ミャンマー、ニュージーランド、パキスタン、フィリピン、韓国、ロシア、シンガポール、スリランカ、タイ、東ティモール、米国、ベトナム、ASEAN事務局、欧州連合(EU)、赤十字国際委員会(ICRC)、国際人道問題調査部(OCHA)。原田憲治防衛大臣政務官が冒頭挨拶 
※2 庄司智孝・防衛研究所主任研究官が議長を務め、東西センターワシントンDC所長のサトゥ・リメイエ博士、東南アジア研究所上級研究員のタン・シュームン博士、東京理科大学教授の大庭三枝博士、法政大学准教授の湯澤武博士がパネリスト。セミナー冒頭、石川博崇防衛大臣政務官が冒頭挨拶し、引き続き河野防政局次長からADMMプラスの現状やHA/DR分野における防衛省・自衛隊の取り組みなどが説明された
※3 洋上において海洋艦艇などが不慮の遭遇をした場合の安全手順を定める行動基準

第17期統合高級課程卒業式
〈統幕学校〉
 統合幕僚学校(学校長・高橋陸将)は、3月5日、目黒基地大講堂で、石川防衛大臣政務官をはじめ防衛省内外から多数の来賓の参加を得て、第17期統合高級課程の卒業式を挙行した。石川政務官からは、自衛隊運用の最適化を目指し統合運用の要として職務に精励して欲しい、との期待が示された。また河野統合幕僚長からは、既成概念にとらわれることなく変革に取り組むこと及び良き伝統の継承の2点について要望があった。
 本課程は、上級指揮官あるいは上級幕僚としての職務を遂行するに必要な自衛隊の統合運用に関する広範な知識及び技能を総合的に修得することを目的とする課程であり、昨年10月6日から、韓国からの留学生1名を含む48名が、約5か月にわたり、講義、国内外研修及びグループ研究を通じて統合運用について学んだ。
 卒業式に引き続き祝賀会が催され、各学生は来賓からの激励を受け、今後の抱負、教育期間中の思い出などを熱く語った。最後の見送りでは、学校長以下、統合幕僚学校全職員の見送りを受け、学生長渡邉雄一1等海佐を先頭に颯爽と行進し、学舎を後にした。
 今後、卒業生は、統合幕僚監部の幕僚や各自衛隊の上級指揮官あるいは上級幕僚として、我が国の防衛の中核としての活躍が期待されている。

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