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自衛隊ニュース   899号 (2015年1月15日発行)
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真冬の青空に落下傘の花開く
降下訓練始め
第1空挺団
13式空挺傘初参加 両扉から連続降下
 防衛省・自衛隊の新春を飾る、第1空挺団(団長・岩村公史陸将補=習志野)による恒例の演習「降下訓練始め」が1月11日、小春日和の暖かさの中、約300隊員・車両約50両・航空機約20機が参加し、中谷元防衛大臣、河野克俊統合幕僚長、岩田清文陸上幕僚長、西正典防衛事務次官をはじめ防衛省・自衛隊高級幹部、招待者、一般来場者等1万人以上が見守る中、習志野演習場(千葉県船橋市・八千代市)で行われた。
 同演習は、輸送ヘリや固定翼機等さまざまな航空機から落下傘降下を行う様子を展示する第1部、習志野演習場を島嶼"習志野島″と設定し、習志野島の一部地域を支配する敵部隊を落下傘降下による空挺作戦及びヘリボン作戦により左右から拘束、戦車等を揚陸し敵を3方向から包囲撃滅するシナリオによる第2部から構成され、1部・2部合計で優に100を越える落下傘が冬の青空を彩った。
 第1部に先駆けて高度約340mから岩村団長が指揮官降下を行い、続いて冨永健二最先任上級曹長、小野田宏樹空挺教育隊長と最年少隊員が降下、上空からその様子を見届けた中谷大臣らが地上に降り立ったあと、陸自第1ヘリ団の輸送ヘリCH-47、東部方面ヘリ隊の多用途ヘリUH-1、空自固定翼輸送機C-1、同C-130が連続して飛来し、空挺団員が次々と空挺降下した。特に、今年度は昨秋部隊配備された国産最新鋭13式空挺傘が初参加し大いに注目を浴びた。13式は傘同士の空中接触や上下接近時の安定性に優れ、旧式の仏製(ライセンス国産)696MIより航空機からの両扉連続降下等に適しており、今演習でもC-1、C-130の両扉からの連続降下による見事な"二列縦隊"を披露。更なる進化を続ける第1空挺団を強く印象づけた。
 第2部では、離島奪還作戦のシナリオの一部として、戦闘降下員が空挺降下後に速やかに展開し降着戦闘を行った。鉄条網の構築や地雷設置、降下物料を掌握・開梱して戦力化する一連の流れをよどみなく展示した。離島奪還作戦は、CH-47からのファストロープとリペリングによる降下等を展示したヘリボン作戦に続き、空挺部隊、戦闘ヘリ等を含むヘリボン部隊、海自の揚陸艦で海上輸送されたという想定で中距離多目的誘導弾、空自ペトリオットPAC-3、74式戦車、10式戦車等の揚陸部隊と三身一体となった全部隊の火力攻撃で敵を包囲撃滅して終了した。
 演習終了後の訓示の中で中谷大臣は「大変心強く、頼もしい」と第一声。続けて「これも、一年を通じ、時には深い雪の上に、時には荒波立つ海の上に降下するなど極めて過酷な条件の下で訓練に励んでいる賜物」、「統合機動防衛力の中核となってくれるものと期待している」などと第1空挺団を高く評価した。岩村第1空挺団長は、日々の訓練の中で強さを手に入れ、敵に戦う気持ちさえ無くさせる「戦わずして勝つ」信念で部隊統率を行っているという。国内外で大きく報道される「降下訓練始め」はそうした岩村団長の理想を実現する絶好の機会とも言える。演習を通じ、精強無比を掲げ、世界最強を目指し日々弛まぬ努力を続ける"第1空挺団の今"がはっきりと見て取れた。「何度見ても、やっぱり凄い」。地元船橋在住、ベテラン来場者の声が全てを物語っていた。

【お詫びと訂正】
※898号4面国際緊急援助空輸隊帰国の記事で文中「航空自衛隊小松基地(司令・南雲憲一郎空将補)」は「航空自衛隊小牧基地(司令・野中盛空将補)」の誤りでした。深くお詫び申し上げるとともに、訂正致します。

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