防衛ホーム新聞社・自衛隊ニュース
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自衛隊ニュース   896号 (2014年12月1日発行)
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総勢1000人が奏でる音楽の宴
(1面からの続き)
 第3章「to the World」では今回のために5方面音楽隊から編成されたトロンボーン奏者5人による「A SONG FOR JAPAN」が演奏された。そして3自衛隊、米海兵隊、在日米陸軍、フィリピン海兵隊、豪州陸軍の音楽隊により今年の大ヒット映画「アナと雪の女王」の主題歌「Let It Go」が演奏された。陸海空が英語で、米豪比は日本語で歌う場面もあり女性ボーカルが奏でるハーモニーは聴き応えがあった。定番曲から最新のヒット曲まで幅広く選曲されている事も人気のひとつなのだと感じた。
 第4章「for Japan」ではまず、全国の駐屯地・基地から集結した個性豊かな13個チームによる自衛太鼓が圧巻の演舞を披露。初めて観た記者は噂には聞いていたが想像を超える迫力に圧倒された。目まぐるしく陣形を変え武道館を波打つ激しい和太鼓の連弾は、前へと進む力そのものだった。そしてフィナーレの前に、裏方としてこの祭典を支えてきた東部方面隊の隊員達に盛大な拍手が送られた後、復興ソング「RESTA
RT」を全出演音楽隊で大合唱。興奮冷めやらぬ中、幕を閉じた。都内在住の音大卒の20代女性は「今まで自衛隊と音楽とは結び付かなかったけれど、独特な雰囲気で楽しかった。今度はブラスと和太鼓のコラボも観たい。学生との違いは動き。移動やセッティングの速さは、さすが自衛隊だと思った」と話してくれた。
 節目の50回目ではあるが、「過去」ではなく「未来」目線の演出だった。人の心を癒し勇気づける音楽の力を通して、国民や世界と自衛隊を結ぶ音楽まつりの果たす役割はこの先も高まっていくに違いない。

「ウーマンパワーと国の守り」
全国防衛協会連合会女性部会
 11月12日、全国防衛協会連合会女性部会(会長・江上栄子)による「平成26年度女性研修大会」が開催された。
 研修は2日間にかけて行われた。初日はシンポジウムの後に懇親会、2日目は「自衛隊音楽まつり」を鑑賞というもので全国から集まった約300人の女性会員が共に過ごし、再会を喜び、情報を交換した。
 初日の「ウーマンパワーと国の守り」を主軸にしたシンポジウムでの司会者はNHK解説主幹の島田敏男氏。パネリストは、江上会長の他、早稲田大学教授植木千可子氏・航空自衛隊OG柏原敬子氏・中方輸送隊長寺井優子1陸佐・電子情報支援隊副長大谷三穂2海佐・空幕人教部人計課制度班吉田ゆかり2空佐の5人。「ウーマンパワーを国の守りに生かす道」と「女性のリーダーシップについて」をテーマとしたパネルディスカッションが展開された。「男女区別なくそれぞれの能力適性を活かし育てて行く事が進められている」「男だとか女だとかを意識しない事や自分がどうしたいかなど、自分の意識改革も必要」「覚悟を持って仕事をしている」などの意見に、聴講者たちは大きく頷きメモを取りながら聞き入っていた。最後は、江上会長の「女性自衛官の活躍のPRをし、自衛官の地元の母となり、頑張っていきましょう」という言葉で締めくくられた。聴講者は「今も昔と変わっていない部分が沢山ある」「国の制度が子育てしながら働く事に追いついていないのではないか」「小さい子には手が掛かり、ある程度大きくなったら手が掛からなくなるから支援制度はいらないというのはおかしいのではないか」など懇親会が終わったあとも話合っているという、充実したシンポジウムだった。

第29回 防衛問題セミナー実施
北関東防衛局
 北関東防衛局(渡邉一浩局長)は11月10日、さいたま市産業文化センターで第29回防衛問題セミナー「今そこにある危機を考える 首都直下地震等の激甚災害への対応」を実施した。同セミナーは広く国民に防衛政策を周知する目的で受講者を一般公募し地方防衛局が主催している。
 当日は、甚大な被害が想定される首都直下地震について渡邉局長が概要を説明したのに続き、磯部晃一・陸自東部方面総監、宮嵜泰樹・東京都危機管理監(元第10師団長)、大江秀敏・東京消防庁消防総監、勝股秀通・読売新聞調査研究本部主任研究員の各氏が基調講演を行い、都・消防・陸自の対処・取り組み、大規模震災の取材を通じて得た教訓等が紹介された。
 磯部総監は東部方面隊の概要説明、災統合任務部隊(災JTF)の編成等首都直下地震への対処、訓練等を通じた平素からの関係機関との連携等陸自の激甚災害への取り組みを解り易く説明。昨年、磯部総監が伊豆大島災JTFの指揮官を務めた際にも先乗りした、即応態勢で全国の駐屯地等に待機しているFAST-Forceも紹介された=写真。
 勝俣氏は、阪神淡路と東日本の両大震災取材時の教訓の中でも特に、「強い家に住む、家具の転倒防止等の個人で出来る『自助』、訓練に参加する等地域や自治体と協力して行う『共助』が重要だ」と受講者に呼びかけた。自治会や消防団等、地域の共助に係る組織については続いて行われたパネルディスカッションでも主要議題に上がり、磯部総監も「大島では地元を熟知している消防団の方と一緒に行うことで捜索・救助が円滑にできた。地域の共助という部分では、今年、山梨の豪雪で情報提供を頂いた隊友会という存在もある」と自らの経験を語った。
 パネルディスカッションでは"24時間以内の対処""72時間以降の対処"と時系列を区切った各組織の対処を問われ、磯部総監は「(被災地になり、初動対処で万一市ヶ谷が機能不全に陥った場合)立川や朝霞が代替する場合も」等と、陸自があらゆる想定に備え万全の態勢を追及していることを紹介。「東方総監部では富士山の噴火も想定して準備を始めた。御嶽山が噴火したのはその直後だった。事前の計画と訓練が何よりも大切だと改めて痛感した」という言葉には、深い実感が込められていた。

部下を持つ重要性
隊内生活体験支援
〈特科教導隊〉
 特科教導隊(隊長・小野真嗣1佐)は、11月4日から6日の間で富士急行株式会社23人(うち女性5人)の隊内生活体験を支援した。
 研修生は最近、グループ又はセクションの長になった者、事務職等に配置換えになった者達で、27歳から最年長は51歳と年齢も経験も大きな差のある研修生達であった。  
 最終目標は「部下を持つことの重要性を自覚させること」を主眼に研修は進められた。
 研修生は、基本教練、野外訓練、救急法、行進訓練、服務の時間(一分間スピーチ)等、目まぐるしい予定を淡々とこなし、「キツイ」、「ダルイ」、「時間がない」と愚痴を溢すことなく、実に骨のある姿を見せてくれた。
 一方、教官達は懇切丁寧な指導を心がけ、時には鬼軍曹として厳しい指導の必要性を研修生の個々に体験させるなど、他の生活体験では見ることのない珍しい光景を見せてくれた。

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