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自衛隊ニュース   893号 (2014年10月15日発行)
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創設50周年記念行事
第1高射群第1高射隊習志野分屯基地

 前日の雨が嘘のように晴れ渡った9月21日、航空自衛隊習志野分屯基地において、第1高射群第1高射隊及び習志野分屯基地(隊長兼屯基地司令・加藤雄一2空佐)創設50周年記念式典が挙行された。式典には、前内閣総理大臣野田佳彦衆議院議員、習志野高友会涌井光惠会長、第1空挺団団長・岩村公史陸将補、第1高射群司令・田中耕太1空佐を始め、歴代隊長等総勢200人近くが参加した。
 加藤隊長は昭和39年に母体となる陸自第101高射大隊の新編からの生い立ちを振り返り感謝の意を述べた。また、田中群司令は訓示で「第1高射群の任務は首都圏の防空であり、決して失敗が許されない。加藤雄一隊長を核心として、厳しく練成し、個人・組織をさらに強くさらに高いレベルへと押し上げてほしい」と期待を述べた。
 式典の後には、航空中央音楽隊の演奏の中、ペトリオットPAC—3のレーダー装置・射撃管制装置・電源車・アンテナマストグループの車列による訓練展示が行われた。また、会場には記念塗装をした発射機が飾られ、数多くのカメラに納まった。陸自の中SAMやホークも展示されていた。「第1高射隊は陸上自衛隊第101高射大隊第1中隊出身の諸先輩のDNAを受け継ぎ、統合マインドが十分に成熟している。51年目以降の新しい歴史を加藤隊長とともに築き上げてほしい」との田中群司令の要望が体現されていることが感じられた。
 加藤隊長の「今後も首都圏防空の『最後の砦』そして、伝統を継承しつつ強靭な部隊となるよう全力を傾注したい」との決意を力強く感じた1日だった。


御巣鷹現地訓練に参加して
空自航安隊航空事故調査部 臼田 裕幸1空尉

 8月6日、航空自衛隊航空安全管理隊(司令・橋本進空将補=立川)で実施された御巣鷹山現地訓練に参加した。本訓練については、航空史上稀にみる大事故となった日航123便の墜落事故(1985年8月12日)現場を訪ねることにより航空事故調査を任務とする航安隊の隊員としての使命感と徳操のかん養を目的とするものである。御巣鷹山に登るのは今回が初めてだが、日航123便の墜落事故については当時のニュースで最大の航空機事故として大きく取り上げられただけではなく、その後の事故原因の究明も詳細に報道された事故として記憶に残っている。また、テレビに映し出される事故現場の悲惨な状況に驚愕しながら、奇跡的に生存者が陸上自衛隊のヘリコプターに救出される映像が鮮明に脳裏に甦ってきた。
 今回の現地訓練では来年30年目を迎える墜落現場を目の当たりにしたが、墜落直前の乗客・乗員の恐怖、墜落後の救出活動や事故調査の困難さを想像すると、同じような場面に遭遇した時、自分が果たして正気を保っていられるのかどうか自信がない。また、広い範囲に点在する遺体の発見場所や慰霊の観音像等を見ると、遺族の方々の悲しみや無念をひしひしと感じるとともに、最近手向けられたとみられる花はこれからもこの事故が忘れられることなく、遺族や関係者の心に深く刻まれていくことを感じた。
 航空事故は機体や持っているエネルギーの大きさから周囲の構造物も含めて破壊も激しく、乗員や近くにいた人が命を落とす確率も高いが、御巣鷹山の墜落現場は山中であったため、地上にいる人の被害はなかった。今でこそ慰霊のために整備されて接近するのには困難は感じないものの、周囲を見渡せば事故当時は決して楽な山ではなかったことはよく分かる。日航123便がコントロールを失った原因は伊豆半島東側において後部圧力隔壁が破壊されたことであったのは後の事故調査で判明したことであるが、御巣鷹山に散乱した機体の大部分を詳細に検証し、墜落の状況を明らかにしていく過程は、この山中では困難を極めたということは想像に難くない。
 航空安全管理隊は航空事故調査が主な任務であるが、その先には「航空事故防止」という究極の目的がある。事故の絶無は不可能かもしれないが、被害の大小に関わらず、事故によって苦しむ人が一人でも減るように、過去に学び、未来に継承していく努力を怠ってはならない。
 今回の現地訓練では、単に過去の事故を思い起こし犠牲者の冥福を祈るだけではなく、実際に事故の発生した現場を訪れることにより、机上では写真や文章または数値的にしか体験できない事故現場の空気を感じることができた。今は穏やかな御巣鷹山の表情とその背後に広がる青い空を見ながら、航空機を運航する操縦者が的確に操作を行うことができ、民航機においては乗客が常に無事に地上へ降りてこられるように、製造、整備、運航全てにおいて、航空機が「安全性」という最重要の性能をないがしろにせず、日々進歩していくことを望んでやまない。


空自の広報力を強化へ
空自那覇基地で
「広報担当者等巡回集合訓練」

 航空幕僚監部広報室(室長・猿渡辰也1佐)は、9月18日、那覇基地において、「広報担当者等巡回集合訓練」を実施した。
 本訓練には、沖縄地域に所在する航空自衛隊の部隊等から、広報を担当する14部隊等の各部課長等及び分屯基地司令等計33人が集合して参加した。空幕からは、訓練担当として広報室機動・研究班(班長・三輪信一1佐以下5人)が指導にあたった。
 「広報担当者等巡回集合訓練」は、広報の専門教育課程のない航空自衛隊が独自に実施しているもので、広報部署を有する各基地や部隊等が機宜に応じた適切な報道対応を実施できるようにするため、広報要員の業務遂行能力を向上させることを目的としている。
 訓練は、座学と実技訓練で構成されており、座学で、広報の規則、危機管理広報及びスチールカメラやビデオカメラの撮影要領等についての知識を付与し、実技では、模擬記者会見訓練と撮影訓練により能力向上を図っている。
 基地等の不祥事を想定した模擬記者会見訓練では、実際に記者役に扮した空幕の担当者から厳しい質問が投げかけられる中、訓練参加者は、座学で学んだ知識と想定に合わせて自分達で作成した資料を基に、真剣に対応していた。
 一方、撮影訓練では、離着陸する航空機等や整備作業を行う隊員等を被写体として撮影しながら、座学で学んだカメラの技法や構図を実践的に演練した。
 参加した隊員は「空自が独自でこのような広報に関する訓練を現場部隊に対して実施できるようになったのは、素晴らしいことだと思う。非常にためになる訓練だった」と語った。また、他の隊員からも「撮影の実技は、非常に有意義だと感じた。可能であれば、もっと多くの隊員にこの訓練に参加させ、部隊の広報能力を向上させたい」という積極的な意見もあった。
 本訓練は、今年度から空自で広報を担当する全部隊等を対象に実施されており、第1回目として6月に春日基地で行われたのに続き今回で2回目。次回は12月に小牧基地で実施される予定とのこと。また、来年度は、主に東日本の基地を巡回し、2カ年かけて対象となる全部隊を訓練する計画となっている。


「航空機基礎講座」開催
航空自衛隊浜松広報館

 航空自衛隊浜松広報館は、9月21日に「航空機基礎講座」のイベントを行った。第1術科学校の教官による航空機の飛行原理やエンジンのメカニズムなど、航空機の基礎的な概要について、動画、模型及び扇風機(揚力発生実験)の教材を活用して、小学生5年以上の多数の老若男女の聴講者に分かり易く丁寧に解説した。講座は午前、午後の計2回開催され、各講座定員45人のところほぼ満員状態となった。
 質問コーナーでは、来館者から「翼のフラップ等の機能の再質問」や「昔の飛行機の翼と現在の飛行機の翼の違い」等、多数の質問が第1術科学校の講師に寄せられた。特に揚力についての質問では「飛行機に当たるプロペラの風と自然の風が交流している状態の中での飛行機の揚力に与える影響は?」との難しい質問も出たが、講師は丁寧に分かり易く解説していた。
 講座修了後、受講者から自然と盛大な拍手が沸き起こり、盛況のなか本講座を終了した。


26年度「オータムコンサート」開催
航空中央音楽隊

 9月15日、毎年恒例となった航空中央音楽隊(隊長・水科克夫2空佐)による「オータムコンサート」(主催・公益財団法人熊谷市文化振興財団)が熊谷文化創造館「さくらめいと」において開催された。 
 開演前にはロビーにおいてアンサンブルによるミニ・コンサートが行われ、集まった聴衆はこれから始まる公演に期待を膨らませていた。開演時間になると、財団理事長である富岡熊谷市長の挨拶を皮切りに、2部構成によるコンサートが華やかに幕を開けた。
 第1部は「シンフォニック・サウンド」と題して、吹奏楽のダイナミックなサウンドを中心とした曲目が隊長の水科2佐の指揮により壮大に演奏された。 
 第2部は「ブラス・ファンタジー」と題して、映画「アナと雪の女王」の挿入歌をはじめ厳選された映画音楽やポップスが佐藤1尉の指揮により華麗に演奏された。なかでも、サクソフォン担当の藤林3曹が名曲「見上げてごらん夜の星を」を大小異なった6種類の楽器を一人で次々と演奏し、席上に降りて聴衆と交流するなどの創意工夫された音楽隊のパフォーマンスに聴衆は魅了された様子であった。 
 演奏終了後、ロビーにて見送りを行う音楽隊員に来場者は激励の言葉をかけたり、笑顔で握手を交わすなどして、満足そうにコンサート会場をあとにした。


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