防衛ホーム新聞社・自衛隊ニュース
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自衛隊ニュース   889号 (2014年8月15日発行)
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韓国空軍武官へ感謝状
 7月22日、防衛省A棟17階大会議室で、在京韓国大使館付空軍武官チョン・フェチュウ大佐に対し、齋藤治和航空幕僚長が感謝状を贈呈した。
 チョン大佐は平成22年7月の着任後、航空自衛隊との連携強化等多大な貢献をし、特に日韓空軍間の交流の実施に当たり実務者レベルでの交流を促進させ相互協力をより進展させたとしての受贈となった。韓国側からは、チョン大佐令夫人、次期在京韓国大使館付空軍武官キム大佐が出席。空幕側は、荒木総務部長、武藤人教部長、丸茂防衛部長、山田運情部長、小野装備部長、城殿監理監察官、松崎武官業務班長が出席し、和やかな雰囲気の中贈呈式が執り行われた。
 受贈にあたりチョン大佐は「武官として水面下で足を踏ん張って来た4年間。結果はどうだか解らないけど頑張った。これからも両国の架け橋となっていきたい」と喜びを表していた。

航空研究センター設立
航空自衛隊幹部学校
 8月1日、航空自衛隊幹部学校(学校長・尾上定正空将)は、航空防衛力の運用と整備に資する研究活動を主導する航空研究センター(センター長・福島睦1空佐)を編成完結した。
 編成完結式は、齋藤治和航空幕僚長をはじめとした部内外からの来賓を迎えて盛大に行われた。尾上学校長は式辞で「我が国を取り巻く安全保障環境の劇的な変化に応じて、状況に最も適した部隊運用で任務を的確に遂行する事等空自に求められる役割も多様化しています。航空研究センターは部隊のニーズに真に適合した研究を推進する所存です」などと述べるとともにセンター設立に関った各方面への感謝を述べた。
 航空研究センターは、研究企画管理室、運用理論研究室、防衛戦略研究室及び事態対処研究室などから成るシンクタンク的機能としての調査研究専門部署。内外の研究機関と協力・連携した戦略理論研究、部隊と一体となった事態対処研究、ドクトリンの開発・普及などを行う。また、適切な情報管理の下に研究成果を発信し、各種情報や知的資産の共有を図り、内外の交流を促進する研究ネットワークのハブを目指すとしている。

体験飛行抽選会
競争率は最高で15・7倍
 8月1日、自衛隊記念日行事の一環であり10月4日に開催される「体験飛行」の抽選会が防衛省で厳正に行われた。
 今年は入間、松島、新田原各基地でCH-47を、入間、小松各基地でYS-11をそれぞれ体験飛行できる。
 公募は6月9日から7月14日までの約1ヶ月間実施され、定員740人に対し応募総数は7483人、平均倍率は約10倍だった。特に入間基地のCH-47は15・7倍と狭き門だった。
 区分ごとに一定人数に束ねたハガキを番号によって抽出する方法で、航空幕僚監部総務部長・荒木文博空将補と広報室長・猿渡辰也1空佐が交互に当選者を選出した。
 また今回初めて、4月から始まった空自の公式フェイスブックやツイッター上でも告知が行われた。
 応募ハガキには自衛隊に対する熱いメッセージや航空機のイラスト等が書かれていた。当落関わらず、結果は返信用ハガキで応募者に直接送付される。

学会派遣で有益情報修得
空自・航安隊
 空自航空安全管理隊(隊司令・橋本進空将補=立川)は6月28日、教育研究部長の吉廣敏幸1空佐と2人の心理技官、資料部長の武内由則防衛技官、教育研究部主任研究官、片寄隆正防衛技官の計3人を東海大学高輪キャンパスで開かれた「航空運航システム研究会(TFOS)」に派遣した。
 TFOSは航空機の運航を業際的な面や学際的な面から総合的に調査研究する会で、年2回研究発表会を開催しており、航安隊は毎回参加している。
 今回の研究会は「技術革新と人間のかかわりあい」をメインテーマに「情報セキュリティと航空安全について」「エールフランス447便太平洋墜落事故是正対策から学ぶ」「羽田空港の安全管理と危機管理—再国際化と東日本大震災以降」などについて発表が行われた。
 このうち「情報セキュリティ」については「情報セキュリティが航空安全という観点から必須のものとなりつつあるとした上で検討してきた生じうる課題」が提示され「近い将来空自にも関わってくる問題であるとも考えられ、先んじて関連する知見を得、問題意識を持つことができたことは有益であった」としている。
 また、7月10〜11日に東京都港区の建築会館で行われた「安全工学シンポジウム」に片寄技官、航空事故調査部主任研究官兼心理調査科長の相羽清彦防衛技官、教育研究部の高城雅裕防衛技官の3人の心理技官を派遣。「サステナブル(持続可能)な社会の安全・安心」をテーマにした講演や議論に参加して、各種産業現場における安全管理やリスク管理の実践などに関わる諸問題に対する理解を深めた。
 特に一般セッション「安全の概念、安全と人間性、社会特性」では相羽技官が「航空事故調査におけるヒューマンファクター(人的要因)の調査分析要領等の標準化に向けた取り組みについて」と題して検討の方向性の概要を説明。引き続き着手している口述聴取に関して「教育内容の見直しやハンドブックの作成、実習の試行」などの検討事項という航安隊の取り組みを紹介した。
 相羽技官は「質疑内容や発表内容に対する関心は抱かれ、それなりの理解、反応は得られたと思う」としている。

有意義な特別講習
航空安全管理隊教育研究部
高城雅裕防衛技官(心理)
 私は6月2〜7月2日、奈良の幹部候補生学校で行われた、第36期新任事務官等特別講習に参加しました。この講習は、今年度の国家公務員一般職(大卒程度)試験及び防衛省専門職試験採用者を対象に行われ、総勢18人が参加しました。
 本講習の参加者は、航空医学実験隊及び航空安全管理隊の研究職技官(私を含む2名)を除く16人が空幕勤務者であり、果たして馴染むことができるかと半ば不安な気持ちで入校しました。いざ入校して居室に案内されると、同部屋のメンバーは自衛官の学生でした。自衛官の学生たちと交流を持つことを本講習での目標に挙げていた私にとって、この部屋割りは非常にありがたいものでした。彼らと生活を共にすることで、当初抱いていた不安もいつの間にか消え去り、事務官・自衛官等問わず打ち解けることができました。事務官等の学生とは特別講習の苦楽を共にすることで、お互いに支えあい、助け合って、本講習を乗り越えることが出来ました。
 幹部候補生学校では、しっかりと時間管理された生活で、座学から基本教練及び礼式までみっちりとご教示いただきました。座学では航空兵器や航空作戦、航空自衛隊の使命、文書人事関連など、今まで触れることのなかった知識を学ぶことができ、新鮮でした。また、小松基地での現地訓練では、実際にF-15のコクピットを見学する機会があり、文面や模型でしか見たことのない戦闘機を体感することができました。所属先の航空安全管理隊での業務上、航空機に関する知識は必須であり、今回、座学で各種航空機の特質及び構造等を学習した上で、現地訓練で実際に戦闘機に触れられたことは、自衛隊員生活において非常に有意義な経験であったと思います。
 思い起こせば様々な経験をさせていただいた課程生活ではありましたが、一番記憶に残っているのは、卒業謝恩会と卒業式後の会食です。私は、卒業謝恩会の実行委員長を務め、卒業謝恩会と卒業式後の会食の場で、学校長をはじめとする校内外のVIPの方々の前でスピーチをしました。人前で話すことが苦手な私がなぜこのような大役を引き受けたのか…細部は省略しますが、本当によい経験をさせていただきました。スピーチには、話す際の態度・スピード及び内容等多くの留意点が存在し、その全てが今後の業務には必要となる要素です。私は大勢の前に立つと緊張してしまいます。今回のスピーチは人の前に立つことに加え、階級の高い人の前で話すことや感謝の気持ちを表現するという要素も含んでいました。上手に話せたかどうかの自信もありませんでしたが、スピーチ後、複数の方々に声をかけて頂き、些少ながら自信を持つことが出来ました。自分の弱点を少しでも克服できたことは本講習の成果と考えています。
 1ヶ月という非常に短い期間でしたが、幹部候補生学校で、かけがえのない同期に恵まれ、またこれからの自衛隊員生活における土台部分の構築ができたと思います。大変でしたが非常に有意義な講習であったと思い、受講できて本当によかったと思っています。
 また、私の所属している航空安全管理隊での業務上、自衛官の方(特にパイロット)と接する機会が多いのですが、本講習を通じ、将来的に幹部自衛官になる方々の考え方や心情に触れることができ、少しですが自衛官について分かった気がします。今回の交流を基に、机にしがみつく頭でっかちな研究職技官ではなく、自衛官の方たちとの交流を密にした、現場にも踏み込んでいける研究職技官になりたいと思います。
 最後になりましたが、基幹隊員及び教官の方々をはじめ、幹部候補生学校での生活でお世話になったすべての方に感謝申し上げます。本講習で得た知識を活かし、人脈を大切にし、航空安全管理隊での任務に邁進したいです。

レッド・サラマンダー
搭載検証を実施
小牧基地
 7月25日、今年一番の猛暑となったこの日、小牧基地において全地形対応車両(以下、「レッド・サラマンダー」という)のC-130Hへの搭載検証を実施した。参加者は、総務省消防庁国民保護防災部防災課広域応援室・根本様以下4名、愛知県防災局消防保安課・太田様以下2名、名古屋市消防局・纐纈様以下2名、岡崎市消防本部・井藤様以下5名、金沢市消防局・川縁様以下3名、そして航空自衛隊小牧基地の中村1尉以下2名(司令部防衛部)、森山曹長以下4名(第401飛行隊空中輸送員)、小久保曹長以下2名(管理隊輸送員)。このレッド・サラマンダーは、全国で唯一1台のみ岡崎市へ専用搬送車両とともに、配備されたもので、今年2月の小牧基地オープンベース(航空祭)でも初めて展示した。通常は、専用搬送車両にて幹線輸送を実施し、災害現場付近で運用する。連結式のゴム製クローラ方式車両で、あらゆる災害現場への人員・物資の搬送及び救助救援活動等を鑑み、荒地、不整地、段差、溝、土砂上、瓦礫等の一般車両では走行不能と思われる災害現場や、水溜り等の障害に対しても特別な装備品等を装着することなく走行が可能な、全地形対応型の災害現場活動対応車両である。出動実績は、昨年3月に配備された以降、幸いな事に一度もないそうだ。
 今回の搭載検証で、C-130Hに搭載・空輸可能であることが確認でき、これにより、C-130Hが運用可能な離島等での災害派遣活動が実効性のあるものになった。今年の11月に石川県内に大規模地震が発生したことを想定した平成26年度緊急援助隊中部ブロック合同訓練が総務省消防庁主催で開催され、参加協力部隊の一つとしてレッド・サラマンダーを小牧基地から能登空港へ空輸予定だ。今後は、こういった各種訓練の機会を積極的に捉え小牧基地として関係機関とのシームレスな連携を確保していきたい。

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