防衛ホーム新聞社・自衛隊ニュース
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自衛隊ニュース   888号 (2014年8月1日発行)
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スポーツよもやま話
根岸直樹
アジア大会に勝負をかける
川内 優輝
マラソン・埼玉県庁
 川内優輝選手(27)といえば、スポーツ好きのファンなら「ああ、あのマラソンの…」と頭に名前が浮かんでくるでしょう。埼玉県庁に所属する市民ランナー。話題を提供してくれるランナーなら、大抵は一流大学、一流企業の陸上部に所属して、最初から新聞、テレビを賑わしてくれるものだが、川内は大学時代も社会人になってからも、最初はほとんどウワサの端にものぼってこない普通のランナーだった。
 学習院大学時代も、そんなランナーがいるのか、と相当の"通"でさえ首をひねったはずだ。有名な大学対抗箱根駅伝には、関東学連選抜として2回、出場しているが「川内」の名前を記憶している人は少なかったろう。
 その川内が急に有名になったのは、埼玉県庁入りしてからだ。しかも42・195`の長丁場を走り抜くマラソンでだった。最初は、何しろ走り終わると、ゴールインした途端ぶっ倒れた。タンカで医務室へ運び込まれることも度々のこと。それだけで有名になったものだ。
 それなのに、川内は懲りることなく走りまくった。最初にマラソンに挑戦した川内を見たのは、09年の冬だった。別府大分マラソンに出て、2時間20分くらいで走り抜いたと記憶している。順位は確か20位ぐらいだったろう。私が埼玉県出身だったこともあって、注目していたのだが、応援もカラ周りし続けた。
 以後、あまり気にも止めずにいたのだが、マラソンと名がつけば、どこへでも出掛けていき出まくって、次第に記録を上げ始めた。それにしても1年間に12回も13回もマラソンに出るなど「狂気の沙汰」といわれるほど川内は走りまくって、ついに2時間10分を切り、「すごいランナー」に変身してしまったのだ。
 何しろ自己ベスト10の平均が2時間9分22秒。日本陸連の宗猛マラソン部長(旭化成総監督)は「最大の長所は、マラソンへの情熱だ。反復練習でマラソンの感覚をつかんだのだと思う。何回も何回も走って"これなら(2時間10分台は)いける。9分台も8分台も…"と身体でマラソンのコツをつかんだ。大崩れしない自信ができ上がっている」と話している。
 川内は次男・鮮輝(よしき、23才)=埼玉陸協=3男・鴻輝(こうき、21才)=高崎経大=の3人兄弟。鴻輝選手は「四六時中マラソンのことを考えている。練習量を簡単に減らすこともあるけど、とにかくマジメでガンコ。ファンからの手紙には必ず返事を書いています。最近は"30才までにいい人を見つけて結婚したい"なんていっていますよ。いままでは自分しか見ていないところがあったけど、このごろはいろいろな人の意見もまじめに聞いているようです」と話してくれた。
 あとは「勝負をかける」アジア大会(9月19日~10月4日=韓国・仁川)待ち。「勝てなかったら1年間、休んで考えてみる。五輪に挑戦するかどうかは、それから結論を出す」といっているが、これからも走りまくって、さらに記録を上げていってもらいたいものだ。

HOME's English Class(防衛ホーム英語教室)
I know but it's OK!
アイ ノウ イッツ オウケイ
 だよね。でもいいじゃん。

 Hi!How are you doing?皆さん、お元気でしょうか。関東地方は、梅雨が明けました。これからますます暑くなりそうですね。蝉の声もかなり騒がしくなってきました。夏は自然のエネルギーが一番強くなるときでもあります。そのエネルギーの少しでも取り組むことが出来るような技術があればいいですね。まあ、朝早く起きて、ラジオ体操が一番手軽で確実かもしれません。その早起きが一番苦痛だったりしますが。笑
 さて、今回の表現は、"I know but it's OK!"「だよね。でもいいじゃん」です。日本語ではあまりくだけた言い回しはしないかも知れませんが、直訳は、「わかっています。だけど、それでも大丈夫です。」という感じです。日本語の、「でも~」とかのニュアンスに近いです。英語では、でものあとに自分の意思をしっかりと表明します。また、butは、それに続く表現を強調する役割もありますので強く伝わります。
 関東地方が梅雨明けをしました。熱射病、熱中症にも気を付けて水分を十分にとる習慣を付けることが大切ですね。あまり人間の感覚はあてになりませんし、喉が渇いたと感じる時には遅いわけですから、コマめに水分をとることを身に付けることが最善ですね。
 暑い時は温かい物をいただく。日本人の知恵です。健康で陽気でストレスの少ない生活を楽しんでください。
それでは皆さん。See ya!
〈スワタケル〉


話題の新刊
エドワード・ルトワックの戦略論
―戦争と平和の論理―

武田康裕・塚本勝也 訳
 「戦争は巨大な悪かもしれないが、大きな美徳もある」「過去において繁栄はしばしば戦争を助長した」「(第2次世界大戦で)日本が勝利を確保できる一つの作戦は、カリフォルニアへの侵攻であっただろう」などの逆説的で刺激的な言葉は本書を貫く「汝、平和を欲するなら、戦いに備えよ」という一貫した「戦略の逆説的論理」を裏付ける文脈で読み解くことで得心する。
 ナポレオンの時代からドイツのビスマルク、ベトナム戦争、第2次世界大戦から地域紛争、国連の活動まで幅広い「戦いの事例」から「戦略」をその「論理」、「レベル(技術、戦術、作戦)」など独自の手法で紐解き、逆説的論理から導き出した戦略の一般理論を「大戦略」として示している。
 1999年のコソボ紛争でNATO軍側に戦闘での死者がなかったことを「人命重視戦争の真の勝利」として近年の戦争における「人命重視の時代の到来」の脈絡で描くなど、NATO軍の空爆による犠牲者への視点にやや欠けるものの、最近の中国を「自己抑制を怠るという新興大国の典型的な過ちを繰り返している」(日本語版への序文)と断じるなどグローバルな視点と豊富な事例研究に基づく分析は興味深い。
 冒頭に「戦略は、常に私の仕事であり、情熱の対象である」と述べ、その理由を「私が最大かつ最悪の戦争の最中に、(ルーマニアの)トランシルヴァニアという国境紛争地で生まれたからだろう」と出自に求める著者は、英陸軍、イスラエル陸軍での軍歴があり、米シンクタンク「戦略国際問題研究所(CSIS)」のシニアアドバイザー。専門は軍事史、軍事戦略研究、安全保障論で「クーデター入門―その攻防の技術」「ペンタゴン―知られざる巨大機構の実態」など多数がある。
▽毎日新聞社 定価2600円(税別)

防衛ホーム俳句コーナー

稲妻に浮かびし街にかつて棲み 鈴木芳江
新盆の読経の僧は同級生    谷 勝美
腰おとし忍び足して阿波踊   脇田登志子
香を焚き法然絵伝曝しけり   小田智佳
卓袱台に麦湯と富山の常備薬  小熊和子
潮騒の浜辺に確と虫の声    藤原恋水
杣小屋の屋根石照らす盆の月  宮本立男
客殿の広間に迷ぶ鬼やんま   岩城節子
夏萩の盛りと眺め門を入る   篠田初枝
追伸に病匂はす夜の秋     東 秀文
門火焚き我より若い父母迎え  氷川杜夫
捨畑の虫の声増し闇深む    立川美佳
老鶯や熊除け鈴とすれ違ふ   田中雅巳
喪服脱ぎ坪庭聞くつづれさせ  谷 勝美
石仏の蔭より蔭へ黒揚u    長尾花子
合掌の我が手の老いぬ門火焚く 三根香南
落暉今一村包む吾亦紅     鮎瀬 汀

選者吟
蓮池の風を夏行の堂に入れ   成川雅夫
(「栃の芽」誌提供)


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