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自衛隊ニュース   888号 (2014年8月1日発行)
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海賊対処水上部隊
通算3,500隻護衛
ソマリア沖アデン湾

 防衛省・自衛隊が平成21年から実施しているアフリカ東部ソマリア沖・アデン湾での海上警備行動、海賊対処法に基づく護衛活動は、7月12日に現在派遣中の「派遣海賊対処行動水上部隊」18次隊(海上自衛隊護衛艦・いなづま、うみぎり)により通算護衛回数580回、通算護衛隻数3500隻の活動実績を達成した。
 海賊対処については、21年3月に海上警備行動が発令され、護衛艦2隻(さざなみ、さみだれ)が日本関係の船舶の護衛を開始。その後P3C哨戒機による警戒監視任務、新たに成立した海賊対処法に基づく民間船舶の護衛活動の開始、23年にはジブチの自衛隊活動拠点の運用開始と着々と実績を重ねてきた。
 今年3月に呉を出港した18次隊の指揮官、第8護衛隊司令・立川浩二1海佐は「引き続き現場部隊指揮官として、水上任務部隊一丸となってソマリア沖・アデン湾における海賊に対処し、船舶の運航安全を確保すべく任務を確実に遂行する所存です」とコメントした。


国民に寄り添う自衛隊
平成25年度災害派遣及び不発弾等処理実績

 6月30日、統合幕僚監部は「平成25年度自衛隊の災害派遣及び不発弾等処理実績」を発表した。不発弾処理等を除く災害派遣の件数は554件で最近5カ年の平均並みだった。派遣人員数や装備数など規模で比較すると人員は24年度の約1万2000人から9万人と大幅に増加した。これは昨年10月の台風26号による伊豆大島への災害派遣、今年2月の豪雪による南東北〜静岡への災害派遣によるところが大きく、伊豆大島災統合任務部隊(JTF椿)には陸海空合計で約6万4、000人が派遣された。

◇身近に眠る不発弾
 終戦から70年近く経った今日でも全国で発見される不発弾。その種類や年代、発見場所は様々である。統幕の発表によれば25年度、陸上において発見された不発弾の実績は全国で1、560件(前年度比130件増)、重量は約57・1t(前年度比11・0t増)だった。そのうち沖縄県では、754件(前年度比8件増)、約22・9t(前年度比4・0t増)で全体の5割弱を占める。重量については一昨年に引き続き増加傾向にあった。25年度は市街地で発見される不発弾が多かったのが特徴だ。住民避難を伴う不発弾処理の実施は合計37件、このうち32件が沖縄県内での実施だった。
 また、海上における実績は、機雷が1個(増減無し)、魚雷、爆雷、爆弾等の「その他爆発性の危険物」が332個(前年度比1、190個減)、重量約4・8t(前年度比8・9t減)、うち沖縄では151個(前年度比133個減)、約1・7t(前年度比5・9t減)だった。「その他爆発性危険物」の個数、処理量が過去5年間で最も少なかったのは、大量発見の可能性がある湾港等の浚渫工事の件数が少なかったためと見られる。
 陸上において不発弾を適切に処理、除去するのが陸上自衛隊にある不発弾処理隊だ。隊員は専門教育訓練を修了し、処理資格者に授与される不発弾処理徽章を着用する。
 不発弾が発見されると、警察から該当地域の師団長又は旅団長に処理が要請される。その後、各方面後方支援隊の不発弾処理隊に依頼されるか、不発弾処理隊のない北部方面隊と東北方面隊は師団または旅団隷下の部隊に処理が命じられる。そして緊急性の有無により、不発弾処理隊等が現場に急行し識別や調査を行うか、警察の一次保管後、後日回収処分されるかが判断される。また、不発弾の運搬が不可能であれば、現地での処理方法を地方公共団体と協議し、処理日時や役割分担等の協定を結んだ後、爆破処理や信管除去等の処理を行う。

◇大規模住民避難も
 25年度の主要な実例としては沖縄県宜野湾市で1,600人規模、静岡県浜松市で12,000人規模、東京都北区で7,000人規模等の多数の住民避難を伴う不発弾処理が行われた。
 なお、海上で発見された場合は海自の各地方総監部と沖縄にある水中処分隊及び各地方総監部を基地とする掃海艇が回収・処理を行う。水中処分員は隊員の中から志願者を選抜し海自第一術科学校で訓練を受ける。25年度で唯一発見された関門航路における米国製機雷の水中爆破処理は、佐世保地方隊下関基地隊の第43掃海隊・掃海艇「うくしま」とその水中処分員達によって行われた。

 7月9日午前9時45分、沖縄県知事から陸自第15旅団長・小林茂陸将補に災害派遣要請があり、台風8号の影響で渡嘉敷村と座間味村で発生した停電を復旧するため第15ヘリコプター隊のCH—471機が浦添市から慶良間諸島へ沖縄電力の人員と車両を輸送した。


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