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自衛隊ニュース   887号 (2014年7月15日発行)
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航安隊、関連学会へ派遣
飛行安全などに係る知識・技能向上へ
 航空安全管理隊(司令・橋本進空将補=立川)は6月5日~6日、資料部長の竹内由則防衛技官と航空事故調査部の仲村彰防衛技官の2名を神戸国際会議場(兵庫県神戸市)で開催された第55回目の日本人間工学会に派遣した。 
 日本人間工学会は、人間工学に関する諸研究と応用及びそれに関連する事業を促進することを目的としている総合学会で、人間工学に関する国内最大規模の学会。下部に支部会及び研究部会を持ち、年1回の大会では、安全工学、事故分析、交通工学等に関する研究発表等がなされるもの。本大会は、学会設立50周年記念大会で、講演、シンポジウム、口頭発表などが実施された。特に、ヒューマン・エラー体験・体感型安全教育プログラムの開発やプロアクティブ行動促進に向けたマネジメント、「他山の石」置き換え支援ツールの効果に関する研究など今後の調査研究に参考となることがあり、継続的に各種研究内容の把握及び今後の研究動向を注視していきたいとしている。
 また6月20日には、竹内資料部長と教育研究部主任研究官の片寄隆正防衛技官の2名を国立オリンピック記念青少年総合センター (東京都渋谷区代々木)で開催された航空人間工学部会第96回例会へ派遣。航空人間工学部会は、日本人間工学会を母体とした部会の一つで、航空分野に特化した部会であり、例会では、航空における人間工学及び飛行安全に軸足を置きつつも幅広いテーマを取り上げている。産官学の航空関係者が参加しており、航安隊からも毎回参加している。
 部会では、航空自衛隊航空医学実験隊による航空生理訓練および訓練装置の最近の動向、救難飛行艇US―2型航空機の概要、空港周辺のウィンドシアー/乱気流の検知・情報提供などについての講演及び質疑応答が実施された。
 竹内資料部長らは、航空生理訓練装置、飛行艇の極低速飛行・離着水技術及び運航支援システム等の動向などについて飛行安全に関連する知見を深めることができたとともに、最近の航空関連技術の動向並びに飛行安全及び航空事故防止に関連する情報を収集できた模様。
 今回の例会も、航空運航に関連する産官学等から多数の参加があり、飛行安全等に関する情報を得られることから、今後とも継続的に積極的に参加し、調査研究や教育、航空事故防止などに反映させたいとしている。
 航安隊は、学会等に技官を派遣させるだけではなく、各企業等へ訪問しての研修も行っている。6月4日には、宇都宮の富士重工業(株)航空宇宙カンパニーへ航空事故調査部長廣島美朗以下7名を派遣し、錬練成訓練の一環として航空事故発生時の関連会社の特に初動における支援態勢についての理解と、航安隊が実施する現地調査実施要領の理解を得て来た。
 航空事故発生時の支援態勢について直接説明を受け、初動連携が必要な担当者間が顔合わせでき、初動態勢等に係る意見交換が出来たことは、非常時に円滑な調整に直結する、と成功裏に終わった。
 航安隊では、このような関連する他の企業等の研修を積極的に行い、航空事故調査の支援態勢に反映させたいとしている。

鯨捕りの歴史
驚くべきクジラ肉の栄養とは
 クジラには素晴らしい栄養素がたっぷり詰まっています。健康にも美容にもぴったりな食材です。今回はクジラの栄養についてお話したいと思います。
 クジラの赤肉はとてもヘルシーで、そのカロリーは牛肉の約1/5、豚肉の約1/3程度しかありません。その理由は赤肉100g中にタンパク質は24・1gと高く、脂質は0・4gしか含まれていないためです。お肉を食べたくてもカロリーが気になる…という方でも安心です。また、女性に不足しがちな鉄分も吸収されやすい形で多く含まれており、貧血の予防に役立ちます。
 そしてクジラの皮にはDHAやEPAが多く含まれています。デンマークでイヌイットを対象に行われた研究で、デンマーク人の死因の40%が心筋梗塞であるのに対し、61歳以上のイヌイットの冠動脈疾患罹患率はたったの3%でした。この理由として注目されたのがイヌイットが主食としていたクジラやアザラシに含まれるDHAやEPAだったのです。その後の研究でEPAは血液をサラサラにして血栓を作り難くし、コレステロール値を下げ、DHAは脳を活性化する働きや動脈硬化の予防や改善などに効果があることが分かっています。さらにクジラにはEPA・DHAの他に海洋哺乳類に多く含まれるDPAとされ、動脈硬化や血栓を予防する機能がEPAやDHAの10倍以上の効果があると報告されています。DPAは生活習慣病の予防に期待できる成分なのです。
 そして女性にとって嬉しいのは、美容成分として有名なコラーゲンが豊富に含まれていることでしょう。クジラの畝須(うねす=アゴ下の皮)にはコラーゲン含有量が28%という報告もあります。
最後に「バレニン」の機能性に関する最新の研究結果についてご紹介します。バレニンとはアミノ酸が2つ結合した物質で、クジラの筋肉中に多く含まれています。クジラは子供を産むために南極の冷たい海から暖かい赤道付近の海まで5000qもの距離をほとんど休まずに泳ぎ続け、この驚異的な力の源がバレニンにあるのではないかと言われていました。昨年、(一財)日本鯨類研究所と椛麹医科学研究所の臨床研究から、ヒトに対して「日常の疲労感の軽減」、「激しいスポーツの疲労軽減」、「精神的な乱れを整える」機能があることが分かりました。
現在ではこのバレニンを含有した疲労回復サプリメントも発売されており、手軽にバレニンを摂取することもできます。
 これから梅雨が明けると、うだるような暑い夏がやってきます。夏バテをしないためにも、クジラを食べて元気に過ごしてみてはいかがでしょうか。美味しく食べてキレイに元気になれるのならばこれ以上のことはありませんね。
(三平梢)おわり

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