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自衛隊ニュース   886号 (2014年7月1日発行)
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関係深化、平和貢献で合意
1カ月で3度目 日豪防衛相会談
 6月11日午後、小野寺五典防衛大臣は東京都内のホテルでジョンストン・オーストラリア国防大臣と日豪防衛相会談を行った。
 この1ヵ月余りで3回目となる両大臣の会談に小野寺大臣は「まるで家族のようだ」と笑顔であいさつ、和やかな雰囲気で会談は始まり、様々な共同訓練、防衛装備の協力についてさらなる関係の深化、東アジアを含めた世界の平和への貢献などで合意した。
 会談当日の午前11時頃から正午頃にかけて、東シナ海の公海上で通常の警戒監視活動中の海上自衛隊OP—3Cと航空自衛隊YS—11EBに対し、中国の戦闘機Su—27が異常接近する事案が5月24日に続いて発生。会談冒頭に小野寺大臣が同事案の事実関係を説明するとともに「このような繰り返しの危険な行為は決してあってはならないこと。政府として改めて外交ルートを通じて中国側に厳重に抗議をした。防衛省・自衛隊としては引続き日本の領土・領海・領空を断固として守っていくという考え方の下、警戒監視を引き続き続けていきたい」との日本の立場を豪国防大臣に伝えた。
 防衛相会談後、飯倉公館で小野寺、ジョンストン両大臣に岸田文雄外務大臣、ビショップ豪外務大臣が加わって外務・防衛担当閣僚協議(2プラス2)が開かれた。協議では、日豪首脳会談で確認された両国の戦略的パートナーシップを新たな特別な関係に引き上げる意思を再確認し、防衛装備品及び技術移転に関する協定締結で実質合意した。具体的には、政府が4月に閣議決定した「防衛装備移転三原則」に基づき、日本の潜水艦技術の提供を見据えた船舶の流体力学分野の共同研究を来年度に開始することで一致した。
 豪州側は日本の最近の「積極的平和主義」への取組を歓迎し、集団的自衛権の行使や国連PKOへの積極的な参加に係る検討、防衛移転三原則の策定に支持を表明した。

OSCE総長らと会談
小野寺大臣
 6月16日、小野寺五典防衛大臣は防衛省でラージャパクサ・スリランカ国防・都市開発省次官、ザニエル欧州安全保障協力機構(OSCE)事務総長と相次いで会談した。
 ラージャパクサ次官との会談では、4月の海自艦艇とスリランカ海軍艦艇の合同演習や、会談にも同席した河野克俊海上幕僚長による5月のスリランカ訪問が話題に上り、今後もあらゆるレベルでの人的交流をはじめ両国間の防衛交流の更なる推進を確認した。
 ザニエル事務総長との会談では、昨夏にオーストリア・ウィーンのOSCE本部を訪問した小野寺大臣が「加盟国が恒常的に安全保障分野について対話を行うOSCEのような組織がアジアでも必要と感じた」と述べた。欧州情勢についても意見を交換し、小野寺大臣はウクライナ問題について「力による現状変更は認められない」と改めて強調した。

航空機捜索と海賊対処
派遣部隊を大臣表彰
 6月13日、防衛省・大臣室で小野寺五典防衛大臣が出席して、3月上旬〜4月末まで実施された消息不明のマレーシア航空機捜索に係る国際緊急活動への派遣部隊、昨年11月〜5月まで西アフリカのソマリア沖アデン湾で活動した派遣海賊対処行動水上部隊(第17次隊)指揮官への表彰と帰国報告が行われた。
 まず、マレーシア国際緊急活動に派遣された現地支援調整所(所長・杉本洋一1海佐)、海国際緊急援助飛行隊(指揮官・岩政秀委2海佐)、空国際緊急援助飛行隊(指揮官・杉山仁3空佐)に第1級賞状が小野寺大臣から授与され、杉本所長ら3人は各部隊の無事の帰国をそれぞれ報告した。
 続いて派遣海賊対処行動水上部隊(第17次隊)指揮官・田尻裕昭1海佐へ第1級賞詞と防衛功労章が授与され、田尻1海佐が帰国報告を行った。
 マレーシア航空機捜索では海自P—3Cと空自C—130Hが海上捜索を行った。航空機の捜索救助活動に防衛省・自衛隊が国際緊急援助隊を派遣したのは初めてだった。
 派遣海賊対処行動水上部隊(第17次隊)は、アデン湾で各国の商船やタンカー護衛で、従来の個別のエスコート方式に加え、初めてCTF151(第151連合任務部隊)に参加、ゾーンディフェンスを行った。

防衛生産技術基盤
戦略決定
 6月19日、防衛省で総合取得改革推進委員会が開かれ「防衛生産・技術基盤戦略〜防衛力と積極的平和主義を支える基盤の強化に向けて〜」を決定、公表した。
 同戦略では、防衛装備品の国外移転を原則禁止していた武器輸出三原則に基づき昭和45年に策定された「自衛隊装備品の国産化方針」を44年ぶりに見直し、今年4月に閣議決定された防衛装備移転三原則による従来の国内開発・ライセンス国産と共に新たに国際共同開発・生産に選択肢を広げることを明らかにした。
 戦略案を武田防衛副大臣(総合取得改革推進プロジェクトチーム長)から渡された小野寺防衛大臣は「我が国の防衛技術がガラパゴス化してしまう強い危機感がある。国際競争力のある防衛生産・技術基盤の構築に向け全力で取り組む」と述べた。
 同戦略には防衛生産・技術基盤の強化に向け様々な施策が盛り込まれている。研究開発関連では、概ね20年後の将来装備品の中から将来戦闘機・無人装備・将来誘導弾等の個別の対象装備品について「研究開発ビジョン」を策定する。また、防衛産業関連についても、随意契約や更なる長期契約(複数年度長期契約)、共同企業体を活用していくとしている。
▽企業トップと意見交換
 小野寺大臣は6月12日に三菱重工、NEC、三菱電機、IHI、島津製作所、ジャパンマリンユナイテッド各企業の経営トップと意見交換会に出席。防衛生産技術基盤強化に向けた防衛省の取り組みを説明した。企業側からは「海外進出には防衛省のサポートが必要」、「長期の見通しや材料のまとめ買いには10年程度の長期契約が必要」等の意見が出され、今回決定された戦略に反映された。

行政事業レビュー
効率性、透明性
 6月17日、防衛省が実施する事業の無駄を削除し効率的かつ透明性を高めるため外部の意見を踏まえて自己点検を行う「行政事業レビュー公開プロセス」が防衛省で行われた。外部有識者の前横須賀市長・蒲谷亮一氏ら防衛省が指定する3人、行政改革推進本部事務局が指名する3人の計6人が防衛省の事業担当者に対象事業について改善の余地がないかなど厳しい質問や提言が出された。
 今年度の対象事業は「指揮管理通信システムの整備」「潜水艦の主蓄電池の換装及び購入」「騒音防止事業(一般防音)」「特別借受宿舎」の4項目で、「国民に対しコスト削減の姿勢を示す必要がある」「発注方法の改善ともっと踏込んだ交渉が必要」等も意見が出された。
 その結果、3事業に「事業の一部改善」1事業に「事業の抜本的改善」の評価が下された。
 行政事業レビューの統括責任者・伊藤盛夫経理装備局長は審議終了後に「効率的な業務運営に対する努力を行い、事業の見直しや予算要求等に反映させたい」と述べた。

コンプライアンス講習会
防衛監察本部
 防衛監察本部(梶木壽防衛監察監)は5月27日、海上自衛隊大湊地方隊(大湊地方総監・槻木新二海将)と共催で「地方コンプライアンス講習会」を開催した。
 地方コンプライアンス講習会は、コンプライアンス意識の普及・啓発を目的に防衛監察本部が、陸海空自衛隊及び各機関と共催で実施しているもので講師には部外の講師を招き専門的見地からの講演を行っている。
 海上自衛隊大湊地区での講習会には、四五六法律事務所から田中保彦弁護士を講師として招き、「コンプライアンスへの戦略的取組みとその戦略的活用」と題し、約2時間の講演を行った。田中弁護士は、講演において、防衛省・自衛隊におけるコンプライアンス及び内部統制の必要性及び在り方について具体例を挙げつつ解りやすく説明。続いて、組織において、不正の隠ぺい等を始めとする非合理な意思決定がなされてしまうメカニズムと「考え抜くこと」こそがその防止策であると解説、職員一人ひとりがコンプライアンスの本質を理解し、当事者意識をもってその実現に参画することの必要性を力説した。さらに、防衛省・自衛隊におけるコンプライアンス実現の究極の目的は国民からの信頼獲得、国際社会での信頼獲得であることを強調、おわりに「自衛隊のリーダーは組織をコンプライアンス・内部統制の観点から再考することが必要である」と総括した。
 また、防衛監察本部から齊藤敏夫副監察監が防衛監察本部の活動について説明し、防衛監察本部の活動に対する理解と普及を図った。

雪月花

 久しぶりに韓国ソウルに行った。日本の新聞が書くほどには反日の雰囲気はなかった、むしろ親しみが感じられた。しかし韓国一の繁華街ミョンドン(明洞)のムードは一変していた、日本人が劇的に減っているのだ。「冬ソナ」の頃はすれ違う人は韓国人よりも日本人の方が多かったのではなかっただろうか、元気な関西弁のおばちゃんグループが「ここは日本?」と思うほどに目立っていた。店員さんは昔のように日本人にいっぱい来て欲しい、中国人の国民性に付いていけないからとも言っていたが商売上背に腹は変えられない、街の看板も日本語から中国語優先に書き換えられていたところも結構目に付いた。韓国の人からも聞かされたように筆者のわずかな滞在中に目撃した中国人の素行に驚かされたことがいくつもあった。路上で平気で痰を吐くところは中国で見慣れていたが、ヒルトンホテルの高級絨毯にガムや痰を吐くのにはさすがにびっくりした。思わず筆者が彼を睨み付けたが逆に睨み返された。もう一つ、店員さんにショウケースの前で品物の説明を受けているとその狭い間に若い女性がぶつかって割り込み通り過ぎた。店員さんと顔を見合わせたがみんなこんなんですよと彼女は苦笑していた。通路、廊下で突き当たっても向こうからは絶対に避けない、大声で傍若無人なわめき……。サッカーの試合に敗れてもスタンドのごみを片付ける日本人にはチョット考えられないマナーの違いだ。


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