防衛ホーム新聞社・自衛隊ニュース
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自衛隊ニュース   885号 (2014年6月15日発行)
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「法の支配」重視強調
アジア安保会議
小野寺大臣
 5月30〜6月1日にシンガポールで開催された『第13回アジア安全保障会議』(シャングリラ会合)に安倍晋三首相、小野寺五典防衛大臣、岩崎茂統合幕僚長が出席した。
 日本の首相として同会議に初めて出席した安倍首相は30日の基調講演で、中国を念頭に「国際法に照らして正しい主張をし、力や威圧に頼らず、紛争は、すべからく平和的解決を図れ」と訴えた。小野寺大臣も31日の第2セッション「軍同士の協力を促進」の冒頭で、「関係国は『法の支配』を重視すべきで力による一方的な現状変更を試みるべきではない」と訴えた。また、4月に新たに策定された防衛装備移転三原則に基づき、東南アジア諸国連合(ASEAN)諸国などへの装備・技術協力を積極的に進める方針を表明した。
 会合の会期中、小野寺大臣は日米豪、日米韓、日米、日ベトナム、日豪、日仏、日英、日シンガポール、日ニュージーランドと防衛相会談に臨んだ。岩崎統幕長も米のデンプシー統合参謀議長、豪のディンスキー国防軍副司令官など7ヶ国1組織と(NATO)会談した。
 小野寺大臣は各個別会談で、集団的自衛権を巡る日本国内の議論の状況を説明したほか、地域情勢や防衛協力について意見交渙した。日米韓会談では北朝鮮の核・ミサイルの脅威に三カ国が緊密に連携、情報共有し、検討を続けるとの内容の共同宣言を出した。

サヨナラ国立
陸海空揃い踏み
 5月31日、ブルーインパルスが上空を飛行した国立競技場での催し(1面参照)は、2020年の東京五輪・パラリンピックに向けて解体され、「新国立競技場」として建て替えられる「国立」の最後を飾るイベントだった。国立の名場面を再現し、当時を知る人には懐かしい記憶を思い起こさせ、知らない世代にも知ってもらい、未来にその記憶を伝える目的でイベントは行われた。
 国立の歴史で1964年の東京五輪は欠かせないことから、当時開会式で上空に鮮やかな五輪を描いたブルーインパルスの飛行のほか、海自東京音楽隊の三宅由佳莉3海曹が国家を独唱し、往年の五輪メダリストらと共に、ロンドン五輪レスリング金メダリストの小原日登美1陸尉も聖火を手にトラックを走った。
 50年前の東京五輪では大会運営を自衛隊の多くの部隊、隊員が縁の下で支えた。開会式ではブルーインパルスのほか、自衛隊音楽隊がファンファーレや選手入場の行進曲を演奏、神宮外苑では陸上自衛隊が祝砲を担当。入場行進する各国選手団の前を国名のプラカードを持った防衛大学校学生が歩き、五輪旗は海上自衛隊の8人が保持、ポールに掲揚した。こうした「国立」と自衛隊の歴史を改めて想起させるラストイベントでの3自衛隊の揃い踏みだった。

P・P2014
日米豪が協力
くにさき
 5月27日、「パシフィック・パートナーシップ2014」に参加するため米海軍横須賀基地に入港中の輸送艦「くにさき」(艦長・笹野英夫2海佐)が公開された。
 パシフィック・パートナーシップとは、2007年から、米海軍太平洋艦隊が計画・実施している取り組みで、アジア太平洋地域を艦艇等が訪問し、各国政府、軍、NGO等の協力を得て、医療活動、土木事業、文化交流を行い、参加国の連携強化や国際被害救援活動の円滑化等を図る活動。
 自衛隊は初年度から参加し、今年度は陸海空自衛隊医療要員の約40人、「くにさき」の乗員約150人、空自輸送機C—1の乗員約30人、陸自施設要員約10人、NGOの12人がベトナム、カンボジア、フィリピンへそれぞれ派遣される。
 米海軍の約130人、豪陸軍の約10人が乗艦する「くにさき」は5月29日に横須賀を出港し、各国で医療活動、施設補修、文化交流等の任務にあたり7月24日に呉に帰港する。
 公開された艦内では、日米豪3ヵ国の隊員が医療品等を中心に搬送や検品を協力して行っていた。
 米海軍第21護衛隊ブライアン・シップマン大佐は「海上自衛隊の『くにさき』に乗って共に密接に任務に従事することは3ヵ国の親密さを示すものだ。そしてこれは3ヵ国の柔軟性の強化につながる」と述べた。また、笹野艦長は「船の運航を預かる者として、現地でもプラットフォームとしての役割を果たし、しっかり活動をサポートしたい」と決意を表明し、豪第1師団幕僚のジョン・クローニン陸軍中佐も「より多くの国が参加するようになると良い」と期待を示した。

期演奏会で聴衆魅了
陸自中央音楽隊
 6月1日、陸上自衛隊中央音楽隊(隊長・武田晃1陸佐)の創隊63周年記念第142回定期演奏会が東京芸術劇場(豊島区)コンサートホールで開催された。
 同日午後2時半に「君が代」の演奏で開演、「序曲『謝肉祭』(アントニン・ドヴォルザーク作曲、リースタイガー編曲)」、「メキシコの祭り(ハーバート・オーエン・リード作曲)」と続く演奏は武田隊長の指揮で満席の聴衆を魅了した。
 今回の演奏会では、楽譜が入手困難なため演奏の機会が極めて少なく、今回はパリ警視庁の特別な計らいで直筆譜を写真データで送信してもらい、それを楽譜に書き起したという「民衆の祭りのためのコラール(シャルル・ケクラン作曲)」の全楽章が日本で初めて演奏された。アンコール曲を含めて全ての演奏が終わると会場からは、割れんばかりの惜しみない拍手が音楽隊に送られた。
 学校の吹奏楽部在籍の中学3年生の女子生徒は「学校の案内でこの演奏会を知った。演奏にまとまりがあってすごかった。親からは、将来自衛隊の音楽隊を勧められている」と話した。また今回が初めという他の生徒は「女性隊員がかっこよかった。皆が楽しそうに演奏していて隊員の人達を少し身近に感じた」と語った。

開設41周年記念行事
スカイホーネット最後の演技
北宇都宮駐屯地
 北宇都宮駐屯地(司令・大西正浩1陸佐)は5月25日、約14000人の来場者を迎えて「開設41周年記念行事」を盛大に開催した。
 祝賀飛行展示や警察ヘリなどの官公庁各種ヘリの飛行展示に人気の高い北宇都宮駐屯地のアエロバティック飛行チーム「スカイホーネット」(OH6D×6機)が大空狭しと華麗な飛行を披露、記念行事に華を添えた。「スカイホーネット」は使用しているOH—6Dが機種転換されるため今回のフライトが最後の演技となり、その勇姿を惜しむ声と感謝の拍手が来場者から送られた。
 「羽ばたけ!地域と共に」をスローガンに抽選によるCH47ヘリの地上滑走体験搭乗やミニ制服の試着、記念撮影、高軌道車試乗に加えて12旅団音楽隊や鬼怒飛行太鼓の演奏など地域密着型のイベントに来場者は楽しい時間をすごした。

PS—1事故慰霊
海自31航空群
 海上自衛隊第31航空群(群司令・眞木信政海将補)は5月16日、野外訓育の一環として高知県高岡郡梼原町において対潜哨戒飛行艇PS—1(5812号機)航空事故殉難者の慰霊を行った。
 事故は昭和53年5月17日、四国沖に出現した国籍不明潜水艦の識別のため岩国航空基地を離水した第31航空群第31航空隊所属の同機が午後9時34分、梼原町「一の谷山」山腹に墜落、機長(故小笠原3海佐)以下13人の搭乗員総員が殉職したもの。本慰霊は事故現場を望む5812機の慰霊碑で、御霊を慰霊するものであり、眞木司令以下20人の隊員が参列した。
 慰霊前日の15日にはすでに慰霊碑には真新しい生花がから36年が経過した現在も梼原町地域住民はじめ関係者の厚意により慰霊碑が脈々と守られている様子に隊員は心を打たれたようだった。

雪月花

 夏も近づく八十八夜。節分から数えて88日目、昔からこの日に摘んだお茶が一番美味しいと言われている。ことしは連休中の5月2日だった。筆者は毎年この時期に生家に帰るので新茶を作る。朝露の上がるのを待って家人と二人で鶯の声を真じかに聞きながら新芽を摘み始める。生垣を兼ねたお茶の木は1メーターくらいに揃っている、これを植えたときの祖父の言葉を思い出す。「おじいさんの時代には摘むほどにはならないけどお前の時代には美味しいお茶が飲めるからね」。祖父の遺産の一つである。当時はどこの家でも茶摘みは年中行事だった。家族総出で摘んだ新芽を大きな釜で煎り、手で揉んで柔らかくする、この工程を5回ほど繰り返し、むしろに広げて天日で乾かす。あっちからもこっちからもお茶の香りが漂っていたものだった。この製造方式をことしもそっくり再現した。大釜の代わりにステンレス製の手鍋、薪はプロパンガスになり随分楽にはなったが、それでも5時間も煎って手もみをするとかなりの重労働になる、4、5日は手首が痛い。老夫婦の作業だからまことに静かである、昔のような賑わいや威勢はもちろんない。昨年飲んでもらった人に美味しかったと言われたことを励ましにもくもくと続ける。お茶の名産地では摘むのも機械になり乾燥も電気になっているようだが、手作りのうちのお茶が一番美味しいねと言う嫁いだ子供たちの分もあわせてこれだけあれば充分1年のお茶になる。


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