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自衛隊ニュース   879号 (2014年3月15日発行)
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防衛省シンポジウムを開催
新防衛大綱をテーマにディスカッション
 2月26日、東京都千代田区で「平成25年度防衛省シンポジウム」が開催された。防衛産業関係者や学生など招待者のほか一般募集の聴講者など計約400名が聴講した。シンポジウムのテーマは「日本の防衛〜新たな防衛計画の大綱〜」。森本敏氏(拓殖大学特任教授・前防衛大臣)、齋藤隆氏(防衛省顧問・元統合幕僚長)、増田好平氏(防衛省顧問・元防衛事務次官)、神谷万丈氏(防衛大学校教授)が参加したパネルディスカッションでは、新たな防衛計画の大綱(25大綱)について評価する点や課題が語られ「日本を取り巻く安全保障の変化に対しより現実的で実効性の高い防衛力の方向性を示している」(森本氏)「マンパワーを戦力の一つとして重視する方向が色濃く出されたことを評価する」(増田氏)などの意見があった。
 パネルディスカッションに先立つ主催者挨拶では、小野寺五典防衛大臣が大綱見直しのきっかけについて、北朝鮮の核、中国の海洋進出などを挙げ、「離島防衛のための装備も部隊も充実していきたい」などと述べた。また、従前の陸海空個別の防衛力整備を改め、「初めて統合した形での能力評価を行い、それに対し何が必要かを整備する態勢を取った」と25大綱の特色を説明した。
 基調講演では徳地秀士・防衛政策局長が25大綱・中期防について概略を説明した。民間の聴講者に向け、訓練・演習、防衛生産・技術基盤、再就職支援など「防衛力の能力発揮のための基盤」の項目に多くの時間を割いた。これについては小野寺大臣も挨拶で武器輸出三原則に言及し、多国間での装備の共同開発・生産という世界の潮流に「現在の仕組みでは日本は入れない。世界の技術に置いていかれる。大変危惧すべき問題だ」と述べた。

リトアニア国防大臣と会談
小野寺防衛大臣
 小野寺五典防衛大臣は2月25日、リトアニア共和国のユオザス・オレカス国防大臣の表敬を受け防衛省で会談を行った。リトアニア国防大臣の来日は初めて。
 会談では双方が防衛政策を説明し防衛交流が話し合われた。小野寺大臣からは北朝鮮の核、中国の軍事力台頭・海洋進出などの懸念について発言があったほか「国際協調に基づく積極的平和主義」の考えの下、UNMISSへの要員派遣、ソマリア沖アデン湾における海賊対処行動、フィリピン台風被害に対する支援を行っており、災害分野における各国の能力支援も積極的に取り組んでいきたいと述べた。また、昨年から今年にかけ米ロ仏との相次ぐ2+2などを例示し、「各国との協調関係の中で世界に貢献したい」とした。
 オレカス大臣は、リトアニアは10年前のNATO及びEU加盟以後、地域の安全保障改善のための取組みを進めており、このことで得られた知見を日本とも共有したいと発言したほか、「グローバルセキュリティについて我々には共通した課題がある」とし、サイバー防衛やエネルギー安全保障を挙げ、サイバー防衛については「情報交換が出来れば」と述べた。
 リトアニアの隣国エストニアは07年にロシアが関与したとされるサイバー攻撃の被害を国家レベルで経験しサイバー防衛が議論される端緒となった。また、リトアニアは日本と同様エネルギー資源に乏しく原発について国論が二分されている。首都ヴィリニュスにはNATOエネルギー安全保障センターがある。

薩摩川内で市民17名と車座トーク
木原政務官
 2月21日、木原稔防衛大臣政務官は、鹿児島県薩摩川内市の川内文化ホールで開催された「車座ふるさとトーク」に出席し、地域住民と対話を行った。「車座ふるさとトーク」は、政務三役が地域に赴き、地域住民と少人数で車座の対話を行い、生の声をつぶさに聞いて政策に生かそうという安倍内閣の取組。当日の出席者は県庁や市役所、地区コミュニティ協議会、社会福祉協議会、学校、漁協や、自衛隊父兄会など自衛隊と関わりのある市民17名。「南九州エリアの『守り』をどうするか〜自然災害・多くの離島・重要施設〜」をトークテーマに政務官と意見交換を行った。
 鹿児島県薩摩川内市が開催地域として選定された理由として、台風等による風水害被害が多く防災意識が高いこと、県内に605の離島を有し離島面積・人口が全国1位であること、市内に弾道ミサイルを追尾するレーダーサイト、原子力発電所等重要な施設があることが挙げられる。このように、防災や離島への緊急搬送などを通じ自衛隊と深い繋がりがあるため、出席者からは「原発の近くに駐屯地があるのは心強い。今後もいい関係をお願いしたい」「自然災害が多く重要施設もある。駐屯地の隊員をもっと増やしてほしい」など自衛隊への更なる期待を込めた意見があった。
 木原政務官からは出席者に対し、東日本大震災を超える震災を想定し「皆様は地方自治体と連携し日頃から危機対応をお願いしたい」との要望とともに、「防衛省・自衛隊についてもっと知っていただき、自衛隊の良き理解者・良き応援団となってより一層深い交流を続け、いざという時はしっかり連携を取りたい」などの呼びかけがあった。
 なお、20〜21日にかけ、木原政務官は薩摩川内市に所在する陸上自衛隊川内駐屯地、航空自衛隊下甑島分屯基地をそれぞれ視察した。

大島高校から感謝伝えに来省
若宮政務官に桜の苗木等贈呈
 2月22日、防衛省は、都立大島高等学校の生徒会役員9名と引率の教諭2名の訪問を受けた。これは、昨年10月に発生した台風26号による伊豆大島土砂災害に対し、災統合任務部隊を組織して災害派遣を行った防衛省・自衛隊へ感謝の気持ちを伝えるためのもの。お世話になった各機関に感謝を伝える企画が持ち上がったところ、生徒たちから真っ先に希望の訪問先として名前が挙がったのが自衛隊だったという。
 生徒たちは、お礼の手紙、伊豆大島の全小学校・全中学校・全高校の児童・生徒が自衛隊への感謝を綴った色紙や模造紙、大島高校の生徒が接ぎ木した、大島桜と寒桜の交雑種である「夢待桜」の苗木を若宮健嗣防衛大臣政務官に贈呈。
 引き続き、若宮政務官、贈呈式に陪席した統幕運用部運用第2課国際地域調整官・實藤聖1陸佐、陸自第1普通科連隊長・菅股弘信1陸佐ら5名の自衛官などを交え生徒たちとの懇談が行われ、その後、市ヶ谷地区内の市ヶ谷記念館そばに政務官、陪席者、生徒の手で苗木の植樹が行われた。
 お礼の手紙の中では、「自衛隊の方々は昼夜を問わず、行方不明者の捜索や土砂の撤去作業等を行ってくださいました。雨が続く中での作業はとても大変だったと思います。皆様が一生懸命大島のために作業してくださる姿を見て、自分たちも頑張ろうと励まされました」との言葉があり、懇談の中でも、行方不明の知人の捜索に加わった生徒から、自衛隊が発見してくれたことに対する感謝の言葉や、ボランティアで家屋に流入した泥を撤去する作業に従事した生徒から、自らの経験をもとに「凄く大変な作業でした。翌日は筋肉痛になりました。自衛隊の方々に改めて感謝しました」などの言葉があった。
 これに対し若宮政務官は一行が船旅で遠路はるばる訪ねてくれたことに深く感謝し、若い力で大島の復興を実現するため「次の時代は自分たちが作るんだ、という気持ちを強く持ってぜひ頑張って頂きたい」などと生徒を激励した。
 植樹の際には、陪席者と生徒が親しく会話し作業を進め、終了後には、陪席した5名の自衛官に対し、生徒全員が整列し「ありがとうございました!」と改めて感謝の言葉を述べていた。

雪月花
 母が娘の健やかな成長を願って飾られる3月3日のひなまつり。ことしは10年分くらいの人形に出会った。家族でドライブに出かけた伊豆の稲取温泉では偶然に「すさのお神社」の雛壇飾りに行き当たった。歴史を感じさせる小さな神社ではあったが下の鳥居から続く石段50段にはおなじみの人形が真っ赤な毛氈にお行儀よく座っている。その両サイドには、ご当地が発祥と言われる吊し雛が100連ほど飾られていた。ため息の出るような可憐さと華やかさである。連れてきた1歳半のひ孫に見せていると見知らぬカメラおじさんが彼女をお内裏様の隣にチョコンと座らせてくれた、地元の人たちや観光客もカメラを向けひ孫が表情や動きを変えるたびに笑い声があがる。稲取駅のパンフによれば福岡県柳川市の「さげもん」山形県酒田市の「傘福」と並んで日本3大つるし飾りというらしい。都内のホテルやデパートでも雛飾りのオンパレード。目黒の雅叙園では「百段雛九州ひな紀行」が開かれていた。元料亭の旧館には、板張りの百段階段が続き1フロアごとの部屋に九州7県の人形がいっぱい、臼杵 人吉 八女 飯塚などの人形。藁で作った質素なものから大名や炭鉱王の贅を尽くしたものそれぞれから人の思いが伝わってくる。京王プラザホテルでも吊し雛がロビーから通路に満艦飾、外人さんたちの絶好の被写体になっていた。この日は蔵や段ボールから飛び出してきた雛たちの晴れの舞台である。

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