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自衛隊ニュース   876号 (2014年2月1日発行)
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第1空挺団『益々重要に』
小野寺大臣
統合機動防衛力の構築に向け高まる期待
 (1面から続き)まず、海自下総教育航空群のP―3C哨戒機、第1ヘリ団のLR―2偵察機が演習場に飛来。P―3Cが洋上で収集した情報により空自の支援戦闘機が洋上の敵艦船を撃破、続いて沖合数10qから海自護衛艦隊の艦砲射撃、支援戦闘機の対地攻撃で習志野島の事前制圧を行ったという想定で、LR―2の収集した情報に基づき敵の位置を確認、いよいよ空挺作戦が開始された。
 主力に先んじてCH―47から事前潜入部隊が螺旋状の旋回行動「スパイラル」で自由降下。続いてC―1、C―130から空挺団主力の戦闘降下員が次々と降下した。島嶼部における降下を想定し隊員の一部はウエットスーツを着て、また、救命胴衣を膨らませ水上着地に備えた。空挺団主力は降着後、速やかに部隊を展開して降着戦闘。鉄条網、地雷による応急障害を構成し敵警戒部隊に備え、また、CH―47により投下された4梱の軽物料を掌握、開梱して81o迫撃砲等を戦力化、敵警戒部隊を撃破した。
 空挺作戦に続きヘリボン作戦。まず、観測ヘリである東部方面ヘリ隊のOH―1、同じく第1ヘリ団のOH―6が進入し新たな敵情を偵察した。続いて攻撃ヘリである航空学校霞ヶ浦校のAH―64、第4対戦車ヘリ隊のAH―1、ドアガンを装備したUH―1の火力により敵増援部隊の装甲車を撃破した。CH―47に搭載されたオートバイ部隊の潜入・状況報告、UH―1からの狙撃チームの飛び降り等に続き、2機のCH―47から主力のヘリボン部隊がファストロープ、リペリングと異なる技術を披露しながら降下した。CH―47により120o迫撃砲、軽装甲機動車をスリング輸送し、進入した対戦車小隊、特科中隊が戦力化。UH―1による地雷散布などを終えヘリボン部隊の戦闘準備が完了、戦車を含む重装備の部隊が揚陸する準備が整った。戦車などの敵機動打撃部隊の進出に攻撃ヘリや対戦車小隊の火力で、下車徒歩兵へは迫撃砲で対処。海自の揚陸艦で海上輸送されたという想定で中距離多目的誘導弾、空自のペトリオットPAC―3、中距離地対空誘導弾、10式戦車、74式戦車、155o榴弾砲が進出した。PAC―3と中距離地対空誘導弾の対空防護を受けながら、降下始め初参加の10式戦車を先頭に揚陸部隊が突撃。
 空挺部隊、ヘリボン部隊、揚陸部隊による全部隊の火力攻撃で敵は包囲撃滅され、作戦の目的を達成、目標を奪取した部隊により大隊旗が掲げられ、空挺作戦が終了した。作戦の開始から終了まで約30分。実戦さながらの緊張感に満ちた状況の連続は息苦しささえ覚えるほど。全てが終わった瞬間、見守る1万2000人の深い溜息がさざ波のように演習場に広がっていた。
 一昨年12月の就任以来、2年連続で最精鋭を誇る第1空挺団の訓練展示を目にした小野寺防衛大臣は、訓練終了後の訓示の中で、厳しい訓練に裏打ちされた高い士気と技量を示した第1空挺団を「誇りに思う」と評した。また、統合機動防衛力の構築を明文化した新防衛大綱の下では、「航空部隊と連携した機動展開を任務とする第1空挺団の役割はこれまで以上に益々重要になる」とし、「たゆまぬ努力の積み重ねによって誇り高き第1空挺団の即応態勢が高いレベルで保たれ、新しい時代の防衛力の中核を担っていくことを確信している」と並々ならぬ期待の言葉を寄せた。我が国を取り巻く安全保障が厳しさを増す中で、最精鋭部隊の第1空挺団2000人は、いや増す期待を胸に、これからも世界最強の頂きを目指し続ける。

1輸空隊、2輸空隊、3輸空隊へ消防庁から感謝状
航空自衛隊
 1月17日、航空自衛隊第1輸送航空隊(司令・上ノ谷寛空将補)、第2輸送航空隊(司令・赤峯千代裕1空佐)、第3輸送航空隊(司令・野中盛1空佐)は、昨年発生した伊豆大島における土砂災害に際し、緊急消防援助隊の迅速な出動を支援する等、地域の安全確保に貢献した功績で、消防庁長官から感謝状を授与された。
 「災害における人命救助は時間との闘いで、消防庁など関係機関との日頃からの緊密な連携が万全な初動対応に直結する」と上ノ谷司令。消防庁側からも、航空自衛隊の迅速かつ柔軟な対応への感謝の言葉と共に、将来の南海トラフ巨大地震(同時発生)や首都直下地震を見据え「自衛隊との連携を深めていきたい」(消防長官代理・室田哲夫国民保護・防災部長)という挨拶があった。式典後には防衛省・航空自衛隊と消防庁の出席者が親しく歓談する光景も見られ、省庁・機関を超えた結びつきが今回の経験を踏まえ更に深まった様子が伺えた。

バイアスロン5選手が防衛省訪問
いざソチ五輪へ!!
 1月14日、防衛省で第4回防衛省・自衛隊2020年オリンピック特別行動委員会が開催された。委員会冒頭では、ソチ五輪に出場するバイアスロンの5選手(陸上自衛隊冬季戦技教育隊)が、小野寺五典防衛大臣、西正典事務次官、統合幕僚長、陸海空幕僚長ら出席者を前に挨拶を行った。
 井佐英徳2陸尉はソルトレーク冬季五輪以来4大会連続出場。「前回のバンクーバーでは悔しい思いをして、4年間トレーニングに励み代表1枠を獲得しました。自分の力を出し切り最後まで頑張りたい」。小林美貴2陸曹は五輪初出場。「経験と悔しい思いを胸に精一杯頑張りたい」。鈴木芙由子3陸曹はバンクーバー五輪に続く2度目の五輪出場。「10位以内に入る目標を必ず達成するため小さなチャンスも逃さないよう心の体の調整をしっかり行い臨みたい」。鈴木李奈陸士長は五輪初出場。「緊張や不安はありますが自分の力を出し切り挑戦する気持ちを忘れず臨みたい」。中島由貴陸士長は五輪初出場。「スタートからゴールまで元気良く最後まで諦めず強い気持ちでレースを行いたい」とそれぞれソチ五輪に臨む抱負を述べた。
 小野寺大臣は五輪出場選手へ「防衛省・自衛隊だけでなく日本の国民の期待、日の丸を背負って活躍していただきたい」と激励の言葉を贈った。また、冬戦隊が日頃練成を行っているバイアスロン競技の重要性、意義について触れるとともに、東京五輪で防衛省・自衛隊が担う大会警備等の任務に「(将来)オリンピック代表選手としての経験を生かしてほしい」と期待を寄せた。

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