防衛ホーム新聞社・自衛隊ニュース
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自衛隊ニュース   2013年10月1日号
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台風にも森林火災にも即応
陸自部隊

 9月13日に小笠原諸島近海で発生、16日午前8時前に愛知県豊橋市付近に上陸し、山梨県や福井県などを通過して三陸沖に抜けた大型の台風18号。これに伴う災害派遣要請が各道府県知事からあり、陸上自衛隊から部隊が派遣された。
 各県における活動状況は、京都府では16日7時に第7普通科連隊長(福知山)が京都市伏見区の桂川の増水による水防活動に係る要請を受け、7普連・第102施設機材隊(大久保)・中部方面後方支援隊(桂)・関西補給処(桂)が人員約250名・車両約40両で対応した。福井県では同7時5分に第14普通科連隊長(金沢)が美浜町の土砂崩れによる行方不明者捜索に係る要請を受け、14普連・第372施設中隊(鯖江)・第10戦車大隊(今津)が人員約100名、車両約30両で対応した。滋賀県では同9時に第3戦車大隊長が高島市での大雨による孤立者の救助に係る要請を受け、3戦車大隊が人員約10名・車両約5両で対応し計13名を救助した。新潟県では同17時12分に第12旅団長(相馬原)が妙高市及び上越市の矢代川の増水による水防活動に係る要請を受け、第2普通科連隊(高田)が人員約10名・車両約5名で対応した。同19時40分に第9特科連隊長(岩手)が盛岡市玉山区の大雨による孤立者の救助に係る要請を受け、9特連から人員延べ約80名・車両延べ約20両で対応、孤立者12名全員を救助しその安否を確認した。北海道では17日20時に第27普通科連隊長(釧路)が厚岸町の大雨に伴う給水支援に係る要請を受け、27普連・第5後方支援隊(帯広)が人員延べ約110名・車両延べ約40両で対応した。
和歌山で森林火災
 9月19日、和歌山県東牟婁郡古座川町付近の山林で発生した火災に伴う消火活動に係る災害派遣要請が同16時20分に和歌山県知事から陸上自衛隊第3師団長(千僧)にあり、陸自第3飛行隊(八尾)・中部方面航空隊(八尾)が航空機延べ6機で対応した。


南海トラフ巨大地震に備える
守山35普連が岐阜と愛知の総合防災訓練に参加

 第35普通科連隊(連隊長・田丸正勝1陸佐=守山)は9月1日、岐阜県主催の総合防災訓練(岐阜県庁、下呂市、中津川市の3ヵ所で実施)に参加した。南海トラフ巨大地震による県内最大震度7を想定したこの訓練に、35普連からは3つの訓練地域に合わせて75名が参加。関係機関や地元住民との関係強化を図った。
 35普連は倒壊家屋からの人命救助をはじめ、瓦礫の除去、炊事車を使用した炊き出しを担任。また軽装甲車や指揮通信車等の展示・説明などを行いPRに努めた。このうち下呂市で訓練に参加した第1中隊(中隊長・池田3陸佐)54名の隊員は、前進経路寸断による車両移動不能という想定に基づき、夜間下呂市内と周辺で約30キロの徒歩行進訓練を併せて実施。その後、速やかに警察、消防などと合流して救出活動などの訓練に移行した。
 山崩れによる土砂の除去では、他の機関が操縦する重機と共同してスコップ、チェーンソーなど人力主体の器材で臨み、見事な連携と迅速な作業を行った。
 また、この日は愛知県稲沢市で行われた愛知県総合防災訓練にも第3中隊長・長門1陸尉以下28名が参加。南海トラフ巨大地震に伴う津波の発生、地域住民の孤立及び家屋の倒壊など複数の想定が組込まれ、過去にない複雑かつ大規模なものとなった。
 瓦礫に埋もれた被災車両からの人命救助、空自ヘリから投下された救援物資の輸送、炊き出し支援を行ったほか警察、消防と合同で被災家屋からの人命救助、地域住民による土のう積みの指導を実施。各機関などとの関係強化を図った。


県知事から感謝状
ゲリラ豪雨から住民を守る
17普連・13飛行隊

 第17普通科連隊(連隊長・山口真司1陸佐)と第13飛行隊(隊長・北山隆茂2陸佐)は8月27日、山口県知事から感謝状を贈呈された。これは7月28日に発生したゲリラ豪雨により土砂崩れや土手決壊などで孤立した住民の避難支援と、倒壊家屋から要救助者を救出し民生の安定に寄与したことによるもの。
 17普連は山口市阿東嘉年で倒壊家屋の人命救助にあたり、阿武郡阿武町では行方不明者を発見、29日には萩市の特別養護老人ホームの孤立者救助の避難支援や、山口県十種ヶ峰青少年自然の家に孤立した小中学生ら204名の救助を13飛行隊と協力し行った。
 山口県の藤部副知事が山口駐屯地と防府分屯地を訪れ、17普連と13飛行隊に感謝状を贈呈。藤部副知事はそれぞれの感謝状伝達式で「避難支援や捜索活動に対応してもらい本当にありがとうございます」と感謝の言葉を述べた。
 前日の26日には第13旅団(旅団長・掛川壽一陸将補=海田市)の司令部を山口県の池内総務部長が訪れ、掛川旅団長に感謝状を贈呈。池内部長は県知事の感謝の意を伝えるとともに、今後の更なる自衛隊と各官公庁および防災関係機関との連携強化を要望した。


緊急登庁支援態勢の実効性の向上を図る
今年も「子供を預かる訓練」
健軍駐業務隊

 健軍駐屯地業務隊(隊長・木上英輔1陸佐)は9月4日、緊急登庁支援態勢の実効性の向上を図るため、業務隊防災訓練の一環で緊急登庁支援訓練を厚生センターで行った。駐屯地で実際に子供を預かる訓練は昨年度に続き2度目。
 「午前6時、西方管内の日向灘沖にて震度7の南海トラフ巨大地震が発生し、駐屯部隊から緊急登庁支援の要請があった」との想定で訓練を開始。
 非常呼集を受けた業務隊員が速やかに登庁し約30分後に受付を開設。50分後には最初の子供が受付に到着した。参加した子供は19名。受付では事前登録票記載事項(緊急連絡先など)をチェックリストにより確認を行った。その際、8月末に実施した熊本病院庁内託児所西方ハロー保育園)研修の際、加島理佐子園長からアドバイスのあった当日の体調、アレルギーの有無の確認を特に重視して行い、背中にシールで氏名、親の内線番号などを表示する際、アレルギーの有無を記載するなど、預かり間に万が一にも事故などのないよう注意した。
 訓練は施設の開設、子供の受付、一時預かり、食事支援、引き取りの一連の流れで実施し途中、永井昌弘駐屯地司令が訪れ、訓練の様子を視察し、勤務員や子供たちにも声を掛けた。
 隊員が扮した予定外の「祖父が引き取りに来た」との状況の想定には、受付勤務員が親隊員に連絡を取り身元を確認するとともに、引き取り役の身分確認などを入念に実施するなど、対応に追われた。また今回初めて食事支援訓練を実施。食事は子供を預ける隊員が持参したものを提供することを原則とし、平素から準備する事項の一つとして徹底しているが、非常時に食事を持参できない隊員も存在することが想定されるため、売店内委託食堂に子供向けメニューの検討を依頼し、今回初めて希望者に有料で提供した。小さな子供のために、おかずを小さく切り、カレーを甘めにするなど工夫がなされ、子供たちは「おいしい!」と喜びながら完食した。デザートのプリンも大人気だった。
 昨年度も参加した子供もいたため、受付後は緊張することなく、すぐにうち解け、隊員から提供された絵本やおもちゃで和やかに遊ぶ様子が見受けられ、訓練場所となった厚生センターは、昨年度に引き続き子供達の元気な笑い声につつまれていた。


未来の防災リーダー育てる
兵庫地本が県立大学を支援

 兵庫地本(本部長・服部正1陸佐)は9月4日、兵庫県立大学「人と防災未来センター」内サテライトキャンパスで同校の「防災実践講座」を支援した。この講座は防災士や市民救命士の資格取得を目指す学生が受講、資格の取得に必要な知識と技術を学び、災害時に個人で様々な判断ができるようにすることを目的としている。この日は52名の学生が参加。最初に渉外広報室の隊員が人命救助システムを紹介し実習、防災と救命に係わる知識と技術を教育した。その後、服部本部長が「東日本大震災から学ぶ」と題した講話を行い、学生たちは体験談や教訓などから防災リーダーとして必要な知識を学んだ。
 参加者は「実際に使用している人命救助セットを見てどのように捜索や救出されるのかイメージができた」「テレビや新聞でしか知ることのなかった捜索活動だったが、実際に活動した話を聞き、どのような思いで救助活動が行われていたのか分かった」「将来防災リーダーとして活動する時は教えていただいたことを活かし活躍したい」「災害時、地域のために活動するためには『あきらめることなく自分たちが生き残ることが大前提』と改めて感じた」などと話した。
 また、普段見慣れない迷彩服の隊員たちに「女性も男子と同じ仕事をするんですか」など、自衛隊についても興味津々の様子だった。


災害で困っている皆さんを
「自衛隊は必ず助けます」
山形地本がラジオで防災を啓蒙

 山形地本(本部長・武野浩文1陸佐)は9月4日、地元コミュニティーラジオの「防災特別番組」に出演、番組の収録を行った。
 このラジオ番組は一般市民に対し防災意識の向上を図る目的で毎年「防災の日」特集として、地本長がインタビュアーとなり、第6師団からゲストを迎え対談形式で行なうもの。今年は6師団司令部幕僚長・森脇良尚1陸佐をゲストに迎え、災害派遣活動などについて話を聞いた。
 最初に森脇幕僚長から今年度6師団が派遣された災害派遣活動として「7月に発生したゲリラ豪雨により泥水の浄水能力が追いつかず、給水がストップした天童市・河北町における給水支援」について紹介。過去の6師団の災害派遣活動の種類・規模、災害派遣活動の要請要領、自衛隊の能力、即応体制などについても説明があった。
 最後に森脇幕僚長から「自衛隊はあらゆる災害を想定し、日頃から準備しています。万が一、災害が発生した場合、自衛隊はできるだけ多くの方々を助ける態勢を整え、準備しています。私たち陸上自衛隊は必ず災害で困っている皆さんを助けます。普段から私たち陸上自衛隊を信頼していただきたい」と力強く語った。


来場者から感謝の声
NPO支援で災派活動パネル
和歌山地本

 和歌山地本(本部長・青木泰憲1等陸佐)は8月31日と9月1日の両日、市内公共施設で、NPO法人「震災から命を守る会」実施の「防災・防犯まちづくり」を支援した。
 このイベントは毎年「防災の日」に災害に強いまちづくりを目指して開催されているもので、自衛隊ブースでは災害派遣活動パネル展示、携行糧食、隊員が災害派遣時に携行する個人装備品を展示した。
 来場者からは「パネルに実家が写っていてびっくりした。台風で被災したときは『どうなることか』と思ったが、現在の私たちがあるのは自衛隊の献身的な復旧作業のおかげ。自衛隊の訓練を見かけるといつも拍手をしている」など感謝の言葉が寄せられた。


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