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自衛隊ニュース   2013年7月15日号
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東ア情勢意見交換
引き続き緊密に強力
防衛省で約1時間の日豪防衛相会談
 小野寺五典防衛大臣は7月5日、防衛省でオーストラリアのスティーブン・スミス国防大臣と約1時間にわたり会談を行い、地域情勢や日豪の防衛協力の進展状況を確認するとともに、今後の日豪の防衛協力や日米豪3カ国の防衛協力について意見交換を行った。
 その中で防衛協力と交流について、今後は日豪2ヵ国、日米豪3ヵ国での共同訓練強化に向けた検討を進めていくとともに、装備技術協力については引き続き議論を深めていくことで一致。また今月1日から能力構築支援分野での協力の一環として、人材交流が開始されたことを歓迎するとともに、この分野における協力を推進していくことで一致した。
 地域情勢および防衛政策に関しては、北朝鮮など東アジア地域における情勢について意見交換。日豪・日米豪が連携して地域の平和と安定に取り組んでいくこと、また米国のリバランスを支持するとともに、引き続き緊密に協力していくことで一致した。
 このほかスミス豪国防大臣から今年5月に発表された豪州の国防白書でインド洋・太平洋地域を重視し、この地域を戦略的焦点として優先する旨の説明があった。

今秋に再び日米で災害救助訓練
トモダチ作戦さらに強力に
在沖米海兵隊司令官と会談
小野寺大臣
 7月5日、小野寺五典防衛大臣は、防衛省を表敬した米第3海兵機動展開部隊司令官・ケネスJ.グラック海兵隊中将と大臣室で会談した。在沖縄米軍の四軍調整官でもあるグラック中将は離任が決定しており、7月19日に交代式が行われる。会談では冒頭、グラック中将の在任期間中の在沖縄米海兵隊の活動、特に東日本大震災発災時のトモダチ作戦に言及。当時、被災者の一人として郷里・気仙沼に在った小野寺大臣は米海兵隊のトモダチ作戦について改めて感謝を述べた。
 小野寺大臣は、「日本は今、首都直下型あるいは南海トラフといった大きな地震に対する対応が必要となっている。この秋にもぜひ日米で災害救助の訓練を再びやらせていただきたい。トモダチ作戦をもう一度、強固な物にさせていただきたい」と要望。先日、米国カリフォルニアで自衛隊が統合部隊で参加した米軍の「ドーン・ブリッツ」における米海兵隊MV—22オスプレイの発着艦訓練にも触れ、「自衛隊が行っている水陸両用の訓練、あの能力が人命救助にいかに役立つか。私は(震災発災当時)大島で、この目で見た」と述べ、水陸両用戦能力向上が島嶼防衛だけでなく災害救助に大きな役割を果たすとし、今後も米海兵隊の引き続きの支援を要望した。

4幕の代表が参加
通算10回目の日仏スタッフトークス
 6月25日、空幕特別会議室で第10回日仏4幕合同スタッフトークスが行われた。日仏制服実務者レベルにおける交流の重要性に鑑み、防衛省統合幕僚監部と仏統合参謀本部の幕僚間の率直な意見交換と文化交流などを通じ、防衛交流の深化・促進を目的に実施されているもので、1997年に東京で初開催以来、東京—パリで定期的に交互に開催され、今回は、平成22年2月の第8回・東京開催以来の4幕合同での協議となった。
 日本側代表の統幕防衛計画部長・尾上定正空将補をはじめ4幕の代表、仏側代表・仏軍統合参謀本部地域課長・フランク・レニエ陸軍准将以下の仏各軍種の代表を交えた今回の合同スタッフトークスでは、主として地域情勢、防衛政策、自衛隊・仏軍の主要な活動及び防衛交流等について意見交換。ソマリア・アデン湾における海賊対処行動に関してこれまでの成果と今後の協力について議論されるなど、地域とグローバルな安全保障課題に日仏両国がどのように取り組むかに焦点を当て協議が行われた。
 また、今回のような協議のほか、各自衛隊・軍種間の人的交流、部隊間交流を引き続き継続していくことで合意した。

NATO主催 SMPCに出席
統幕総務部長・荒木淳一空将補
各国参謀総長等と意見交換
 統幕総務部長・荒木淳一空将補は、6月24日から28日まで、北大西洋条約機構(NATO)主催の2013戦略軍事パートナー会議(SMPC)に統合幕僚長代理として出席するため、スウェーデン王国を訪問した。同会議は、スウェーデン王国がホスト国となり、「パートナーシップの見通し」というテーマで実施され、NATO加盟国及びパートナー国等から56ヵ国が参加した。我が国は2010年からSMPCに出席しているが、将官級幹部が出席するのは今回が初めて。
 全体会議では3つのセッションと2つのパネルディスカッションでNATO新戦略概念の核である協調的安全保障とパートナーシップ、NATOの地域的枠組み強化について取り上げられ、パートナーシップをより進化する可能性について、各国参謀総長等から発言があった。さらに、各国参謀総長等と意見交換を実施。特に、NATO加盟国の参謀総長等との意見交換においては、グローバル化された世界でアジア太平洋地域と欧州大西洋地域とがそれぞれ国境を越えた安全保障上の問題に影響を受け、また与えうることから、日本とNATOとが新たな安全保障上の課題に対処するため、より協力関係を強化していく必要があるとの意見で一致した。また、会議に先立ち、スウェーデン国防軍司令部を訪れセールストランド・スウェーデン国防軍参謀総長と懇談を行ない、地域情勢や防衛交流などについて意見交換を行なった。
 荒木統幕総務部長は「NATO加盟国をはじめ世界各国の代表あるいはスウェーデン国防軍参謀総長との会談機会を多く得られたことで、相互の安全保障環境等に関する認識を共有することができ、極めて有意義だった」と述べた。

魁の風
〜中央即応集団〜
子供達の笑顔見て今迄の苦労吹き飛ぶ
歩道橋が完成UNMISS
 6月12日、現地支援調整所長・土屋晴稔1陸佐はムヌキ簡易歩道橋整備完了に伴うムヌキ地区議長主催の引き渡し式に参加した。同地区簡易歩道橋は4月上旬に着工し約1ヵ月で住民が待ちに待った歩道橋が完成した。ムヌキ地区は雨季になると降水のため自然に小川ができるため子供達は川向うの学校に通学することができない状況だった。地区住民から、雨季でも子供達が川を渡って学校に通うことができるようUNMISSに対し歩道橋設置の強い要望があり、日本隊が任務を引き受けた。
 簡易歩道橋の完成で小学校に通う学童らは「この時期(雨季)でも学校で友達と会えるし勉強もできる」と笑顔一杯で喜んでいた。同地区議長は「日本隊の建設した歩道橋は信頼でき非常に感謝している。子供達も年間を通し通学できる」と土屋1佐に挨拶した。第3次現地支援調整所・調整(武藤技官)は本歩道橋の設計者。「子供達の笑顔を見ることができ、今までの苦労が吹き飛んだ一瞬だった」と話した。
36名が国際活動能力を高める
伊崎隊長「自ら考える力を」
国際活動協力隊

 国際活動教育隊(隊長・伊崎義彦1陸佐=駒門)は、国際平和協力活動を担う陸上自衛官の育成を主任務とし、要員育成のための課程教育及び派遣される部隊の訓練支援を行なう陸上自衛隊唯一の部隊。同隊では5月9日から30日までの間、第22期上級陸曹特技課程の教育を行い、36名の隊員が国際活動に係わる自らの知識・技能を高めて修了し、各々の部隊へ帰隊した。
 卒業した隊員は、入校の早い段階から総合実習の準備の一つとして、個人課題で警備計画を作成し、次に幾つかのグループに分かれて学生同士で討議を行い、本課程としての警備計画・不測事態対処計画を立案した。教育の集大成として実施した4日間の総合実習では、国際活動の現場で直面することが予期される状況として、地元部族の所有する牛による部隊の通行不能時の対応や現地住民からの苦情対応などを行ない、各状況への対処後は、その場でグループ討議を行い、改善策を捻出、そして、再び訓練を繰り返し行なうことで、国際活動に必要な知識・技能を修得した。
 修了式では伊崎隊長から「本教育で培った『自ら考える力』を、今後も引き続き研鑽して、来るべき派遣に備えるとともに、原隊での勤務においても『自ら考え、実行する』ことを継続してもらいたい」との訓示があった。これを受け、ある隊員は「海外における活動は日本とは異なり、派遣国の特性をよく理解しなければならない。今後、国際活動で海外に派遣されたなら、本教育において学んだ事をしっかりと反映させていきたい」と述べた。
 卒業した隊員は部隊において、いつ派遣命令が発令されても直ちに任務に就く事ができるよう、本教育で学んだ事項を部隊訓練に活かし、将来の海外派遣に備えている。


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