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自衛隊ニュース   2013年7月1日号
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将来の統合運用の在り方中心に活発な意見交換行う
「実力を試されている時代」
岩崎統幕長
第10回「歴代統幕会議議長・統幕長会同」

 統合幕僚監部は6月12日、「歴代統合幕僚会議議長・統合幕僚長会同」を行った。この会合は制服トップとなる統合幕僚会議議長、統合幕僚長を務めたOBに対して「最近の統合運用に係る事項を説明し、意見を求め今後の統合運用の資とする」ことが目的。平成9年度から行っており、今年度で10回目。第12代統合幕僚会議議長で92歳を迎えた竹田五郎元空将、同16代の森繁弘元空将をはじめ、第3代統合幕僚長の折木良一元陸将ら11名の参加を得た。
 まず統合幕僚監部が自衛隊の運用の現状などについて説明を行い、続いて「将来の自衛隊の統合運用の在り方」を中心に、活発な意見交換が行われた。
 岩崎茂統幕長は挨拶で「東日本大震災以降、平成24年の2回にわたる北朝鮮による、いわゆる人工衛星と称する飛翔体の発射への対応や、南西諸島周辺をはじめとする日本周辺の警戒監視任務など自衛隊の統合運用の実力を試されている時代であるとの認識でいる」とした上で、「このような厳しい環境下、各部隊は防衛大臣の方針・命令のもと非常によく任務を遂行している。きょうは皆様に自衛隊の統合運用の現状を説明して、豊富なご経験に裏打ちされたご意見を賜り、更なる統合運用の充実を図っていきたい」と述べた。


防衛交流さらに深化
日独スタッフ・トークス開催

 第7回「日独スタッフ・トークス」が6月4日、統幕防衛計画部長・尾上定正空将補とドイツ連邦軍総監部戦略・作戦局第2部長ルーター海軍准将を代表としてベルリンで行われた。
 この会合は「日独制服実務者レベルにおける防衛交流の深化・促進」が目的。統幕と独連邦軍総監部との間で、2002年に第1回がベルリンで行われ、東京と交互に開催されている。
 今回は、主として地域情勢、防衛政策、自衛隊・独連邦軍の主要な活動および防衛交流などについて意見交換。「地域およびグローバルな安全保障課題に両国がどのようにして取り組むか」に焦点をあて、双方が互いの活動—例えばソマリア・アデン湾における海賊対処行動—に関し、これまでの成果と今後の協力の可能性について議論した。
 終了後、尾上防計部長は「相互の信頼醸成と相互理解は着実に深化している。日独は地理的にはユーラシア大陸の東西に分かれるものの、基本的な価値観を共有する国家であり、双方とも米国との同盟関係にある重要なパートナー。ルーター准将とは初対面ながらも、立場を同じくする者同士として忌憚のない率直な議論ができた。今回の協議を通じて独および独連邦軍の我が国自衛隊との関係強化に対する意気込みと期待感を実感した」と述べた。
 続いて尾上部長は6月6日、ドイツ・シュトゥットガルトにあり、アフリカを作戦地域とする米アフリカ軍司令部を訪問。戦略計画・プログラム部長フーパー少将と、アフリカの情勢について議論し「同地の平和と安定が、日米を含む国際社会の平和と安定に必要不可欠である」との認識を共有。またアフリカにおける自衛隊と米軍の活動について意見交換するとともに、アフリカの平和の安定のために今後も活動を継続し、同地における日米協力を深化させていく必要性について認識を共有した。


議論に緊張感あり
「行政事業レビュー公開プロセス」

 防衛省は6月19日、「行政事業レビュー公開プロセス」を行った。外部有識者として、行政改革推進本部事務局が指名した公認会計士・大久保和孝氏ら3名ほか、防衛省指定の元横須賀市長・蒲谷亮一氏ら計6名が参加。同省の事業担当者に疑問をぶつけ意見を述べた後、その場で評価を用紙に記入。集計して結果を発表するまですべて公開され、インターネットでの動画配信も行われた。
 冒頭、統括責任者の経理装備局・伊藤盛夫局長は「それぞれの事業のあり方、予算の執行状況に関して国民目線に立って率直、活発に御議論いただき、提言を事業の見直し、今後の予算要求に、しっかりと反映させていきたい」旨を挨拶で述べた。
 今年度の対象事業は「将来戦闘機システムの研究」「固定式警戒管制レーダー装置の整備」など4つ。事業レビューでは、外部有識者が"納税者の立場から"と前置きした上で「原価監査」「コスト削減に向けての努力」などについて鋭く切り込む場面もあり、緊張感ある議論が行われた。


武装工作員から首都、千葉を守れ!
1師団1普連と警視庁・千葉県警が共同実動訓練

 6月12日、陸自第1師団(師団長・反怖謙一陸将=練馬)司令部、師団隷下の第1普通科連隊(連隊長・菅股弘信1陸佐=練馬)、警視庁警備部・第7機動隊、千葉県警警備部・警備部第1機動隊による共同実動訓練が行われた。訓練内容は緊急輸送訓練、共同調整所運営訓練、検問訓練。
 同訓練は、小銃などを所持した武装工作員などの不法行動に際し一般の警察力による治安の維持ができない事態が発生、内閣総理大臣による治安出動の発令を受けたとの想定の下、自衛隊と警察で対処する共同連携要領の確認と実効性の向上を図るためのもので、自衛隊・警視庁・千葉県警併せて190名(うち自衛隊90名)、車両計26両(うち自衛隊9両)が参加。自衛隊からは師団司令部と第1普通科連隊長以下、本部要員を訓練統裁部、1普連第3中隊(中隊長・長尾和彦3陸佐)を訓練部隊として参加した。
 訓練は10時30分、共同調整所や3組織それぞれの指揮所が設営された朝霞駐屯地CTS(方面指揮所訓練センター)野営地域で訓練開始式が行われ、菅股1佐をはじめ3組織の訓練統裁官(警視庁=警備部警備第1課長・千代延晃平警視正、千葉県警=警備部長・小山巌警視長)が参加部隊に訓示し、訓練の目的を果たせるよう要望した。一斉に時計を合わせ11時00分に状況開始。白バイとパトカーの先導で1普連隊員を乗せた高機車などが移動する緊急輸送訓練の模様が報道陣に公開され、車両はCTS野営地域の周囲を2周回したのち共同検問訓練を行い、15時00分に全訓練を終えた。

※第1師団管内1都5県の警察共同訓練の実績。年は全て平成▽東京都・千葉県=第1普通科連隊(練馬)。19年に初実施以来計2回▽埼玉県=第32普通科連隊(大宮)。18年に初実施以来計4回。今年度は26年2月に予定▽山梨県=第1特科隊(北富士)。19年に初実施以来計2回。今年度は予定なし▽静岡県=第34普通科連隊(板妻)。19年に初実施以来計2回。今年度は25年12〜3月に予定▽神奈川県=第31普通科連隊(東部方面混成団=武山)。18年に初実施以来計4回。今年度は25年12月に予定


大震災の被災地で「隊員から勇気」
さかなくんが防衛省環境月間で講演

 「防衛省環境月間」のイベントとして東京海洋大学の客員準教授さかなくんが省内講堂で6月17日、「海と環境」をテーマに講演を行った。
 さかなくんは魚類の生態などについて、スライドを用いながら、身振り手振りを加え、時々ダジャレも交えて分かりやすくユーモラスに話した。魚のイラストを描きながらのクイズの出題もあり、正解者へ描き上げたばかりの鮭や鯵、タツノオトシゴのイラストをプレゼント。会場からの質問にもマイクを持って近くまで行き、気さくに答えた。最後に、環境のため"今日からできること"として「石けんを使いましょう」「食べ物を感謝していただきましょう」「物を大切に使いましょう」の3つを挙げた。
 講演終了後には小野寺五典防衛大臣を表敬訪問。小野寺大臣は、さかなくんが準教授を務める東京海洋大の前身の一校、東京水産大を卒業後、県の職員として海洋資源に関する仕事に携わり、元魚類学会員。「お互いに元々、魚の研究者。片方は博士になり、片方は防衛大臣になった」と笑わせた。
 出迎えた小野寺大臣が、さかなくんへ迷彩服と迷彩帽をプレゼントするサプライズがあり、さかなくんは照れながら大臣に迷彩服を着せてもらった。
 懇談の席では小野寺大臣が、さかなくんのクニマス再発見を賞賛。さかなくんは東北大震災後に被災地を訪れたときのことにふれ「自衛隊の皆さんが笑顔を絶やさず汗まみれで救援活動している姿を見て、小さな男の子が『自衛隊のお兄ちゃんのようになりたい』と言っていた。ぼくも自衛隊の皆さんに、たくさんの勇気をもらった」と話した。


雪月花
 何年前頃からだろう講演会や研修会でパワーポイントを使う人が随分多くなっている。薄暗い会場で赤い指示灯がぴこぴこ動き回るのには眼まいが起きそうになる。年寄りだけの悩みかと思ったら若い人たちも同様に感じることがあるらしい。自衛隊では図上演習などでよく使われており地図やルートを説明するのには最適、部外者への自衛隊の状況説明にも有効だ。これは大いに利用すべきだ。一般の講演会でもパソコンを駆使して画面を作りぴこぴこ赤い灯がスクリーンを走り回っている。受講者は講師の人柄に一番の興味を持っている、平素会えない講師であれば特にそうだろう。アシスタントにハイ次ぎ、ハイ次ぎと画面を移動させて説明するだけでは聞くほうも熱が入らない。自宅に帰って会場で配られた資料を読んだ方がいいかもしれない。講演会は一種の戦場でもあるのだから対決するくらいの迫力がなければなるまい。これでは歴史にのこる演説が生まれることは到底無理だし印象も感動も残らない。パワーポイント方式、「百聞は一見に如かず」言葉で表現しにくいものには有効だが最初から最後まで頼りっぱなしでは手抜き講演といわれても仕方あるまい。講演会でもう一つ悩ましいのが時間オーバー。本人は熱心にやっているつもりだろうが「最後に一つ」「それからもう一つ」とやられると講話がどんなに素晴らしくても興醒めになる。ただ早く終わってくれることを願うだけになる。時間の配分も話術のうちである。

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