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自衛隊ニュース   2013年6月15日号
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危機管理体制構築に向け
周辺国との早期の協力が必要
小野寺防衛大臣がシャングリラ会合のスピーチで

 小野寺五典防衛大臣は5月31日から6月2日、第12回「IISSアジア安全保障会議」(シャングリラ会合)に出席した。1日に第2全体セッション「国益の防衛・紛争の予防」でスピーチを行い、(1)強い日本の復活に向けて(2)ASEANとの協力(3)米国のアジア太平洋への関与と日本の国益(4)紛争の予防に向けた取組の4点を掲げた。
 (1)では「我が国の防衛力の態勢強化が地域の平和と安定の強化に不可欠」とし、防衛費の増額、大綱の見直し、集団的自衛権を含めた憲法をめぐる議論などの取り組みを説明。(2)(3)では価値観や利益などを共有する各国との協力を深め、「自由と民主主義、そして法の支配に基づく国際秩序の創造に向けた取組を強化していく」と述べた。
 セッションのテーマである(4)では、日本と周辺国との間に生じている緊張について、事態のエスカレートや不測事態の回避・防止を強く望むとし、具体案として「海上連絡メカニズムのような、周辺国との危機管理体制の構築に向けた早期の協力が重要」とした。
 期間中は開催国のシンガポールのリー首相を表敬、日米韓・日米豪、日豪、日英、日シンガポール、日仏、日インドネシアの各国国防大臣と3ヵ国間・2ヵ国間会談を相次いで行った。


"地勢上の観点"からも関係強化は非常に重要
岩蕪摶拠キがブルネイ初公式訪問

 岩楓ホ統合幕僚長は6月2日から6日の日程で、東南アジア諸国連合(ASEAN)議長国のブルネイを公式訪問した。幕僚長級の往来はこれまで実績がなく、今回の統幕長の訪問が初となる。
 岩蕪摶拠キは「IISSアジア安全保障会議」(シャングリラ会合)に参加後、引き続きブルネイへ移動。2日の深夜到着にも関わらず、国軍司令官以下多数のスタッフに出迎えられ、歓迎を受けた。
 3日にアミヌディン・ブルネイ国軍司令官と懇談を行い、アジア太平洋地域の安全保障情勢や日ブルネイ防衛協力・交流などについての意見交換を行った。
 両者は、拡大ASEAN国防相会議(ADMMプラス)における協力の重要性を確認し、今年6月17日から20日の間、ブルネイで行われるADMMプラス「人道支援・災害救援及び防衛医学専門家会合」の実動演習にあたり、共同議長国である日本の自衛隊とブルネイ国軍が緊密な協力を進めていくことで一致した。
 懇談後、ブルネイ国防大学を訪問し、アジアを中心とした各国からの留学生を含む指揮幕僚課程学生などの聴講生50人に対し、日本を取巻く安全保障環境、日本の防衛政策および日本の国際貢献活動などに関する講演のプレゼンを行い、学生の質疑応答を交えながら、ブルネイ軍の将来を担う学生と交流した。また同日、ボルギア国王を謁見し、防衛協力の深化拡大を祈念した。
 4日は、ADMMプラスの実動演習の実施場所となる演習場と調整所の視察を行うとともに、海・空軍部隊、翌5日は陸軍部隊を訪問した。
 岩蕪摶拠キは「ブルネイは、我が国にとって安全保障上重要な海上交通路である南シナ海に面するという地勢上の観点からも、防衛面での関係の強化は非常に重要である」と述べた。


部隊訪問
精力的に2日で6ヵ所
ニュージーランド空軍司令官が空幕長など表敬

 ニュージーランド空軍司令官・ピーター・J・ストックウェル空軍少将が5月29日から31日まで訪日し、この間に防衛省、空自小牧基地、空自岐阜基地、海自厚木航空基地、空自目黒基地を相次いで訪問。相互理解と信頼関係の醸成が図られた。
 ストックウェル少将は30日に防衛省を訪問。自衛隊殉職隊員慰霊碑に献花、両国国旗が翻る儀じょう広場で栄誉礼・儀じょうを受けた後、岩楓ホ統合幕僚長、画像枠片岡晴彦航空幕僚長を表敬訪問。和やかな雰囲気の中で意見交換などが行われた。
 同日に小牧、岐阜、翌31日には厚木、目黒で部隊訪問を行い、小牧で第1輸送航空隊、航空機動衛生隊、岐阜で飛行開発実験団、厚木で第3航空隊、第51航空隊、目黒で空自幹部学校、防衛研究所を訪問した。
 訪問先部隊では第1輸送航空隊司令・上ノ谷寛空将補、第5術科学校長・渡邊博史空将補、第2補給処長・山倉幸也空将補、飛行開発実験団司令・安川隆廣空将補、航空集団司令官・重岡康弘海将、第4航空群司令・森田義和海将補、空自幹部学校長・吉田浩介空将、吉見澤將林・防衛研究所所長と会い、KC—130H空中給油・輸送機、KC—767空中給油・輸送機、"空飛ぶ集中治療室"機動衛生ユニット(以上小牧)、国産次期輸送機のXC—2(岐阜)、P—3C哨戒機、新型で部隊配備されたばかりのP—1哨戒機(以上厚木)など、自衛隊の誇る航空装備を見学した。


練度向上と関係強化図る
陸自が豪州軍主催の射撃大会に参加

 陸上自衛隊は5月1日から18日まで、オーストラリア・メルボルンで行われた豪州軍主催、平成25年度「豪州射撃競技会」に参加した。「各種小火器射撃の練度向上を図るとともに、アジア太平洋諸国などとの関係強化を図る」ことが目的。
 「小銃・機関銃・拳銃」競技に初参加の中国をはじめ米(陸軍・海兵隊)、英など17ヵ国、「狙撃銃」競技に12ヵ国が出場した。陸自は昨年度に続き2度目の参加で、狙撃銃の競技は初出場。富士学校長・武内誠一陸将を担任官として各方面隊、中央即応集団、富士学校から射手を選抜してチームを編成した(昨年度は第1空挺団から編成)。小銃要員が8名、機関銃要員(拳銃兼務)は4名、狙撃銃要員2名で射手は計14名。このほか陸幕などからの支援要員などを加え総勢40名で一丸となり競技に臨んだ。
 陸自の競技成績は以下の通り。▼小銃射撃団体総合10位/17ヵ国▼機関銃射撃団体総合8位/15ヵ国▼拳銃射撃団体総合9位/15ヵ国▼国際射撃競技会9位/17ヵ国▼国際軍用射撃選手権大会10位/17ヵ国▼狙撃銃団体総合11位/18コチーム(14ヵ国)

日米豪陸軍種が初の3ヵ国訓練

 また陸自は5月18日から25日まで、豪陸軍主催「日米豪射撃訓練」(通称サザン・ジャッカルー、豪州英語でカウボーイの意)に、富士学校教育課火器班長・蔵野隆洋2陸佐を訓練部隊指揮官として各方面隊、中央即応集団などの人員17名で参加した。
 戦術技量の向上と豪州、米国との信頼関係の強化を図ることが目的で、陸自として初の日米豪3ヵ国訓練となった。
 豪陸軍は約15名、米軍は太平洋陸軍など約15名が参加。8日間にわたり市街地実弾訓練、移動状態でのペア射撃、停止状態での上級実弾射撃などを行った。


厳しい現場で懸命に
10師団が行方不明者捜索

 第10師団(師団長・松村五郎陸将)は5月29日、鈴鹿山系釈迦ヶ岳(三重県菰野町)で5月25日から行方不明となっていた男性会社員捜索の災害派遣要請を受け、第33普通科連隊および第10飛行隊を派遣した。
 直ちに現場に進出した33普連の隊員は、起伏の激しい地形と植生を克服しながら、延べ386名による懸命の捜索活動を行った。また地上捜索と併せて、第10飛行隊のヘリコプターによる空からの捜索を延べ6回にわたり行った。
 捜索は地元警察・山岳連盟などと連携しながら6月1日まで継続し、同日夕、三重県知事からの撤収要請により活動を終了した。


医療と輸送の技量を向上へ
PP13に参加

 防衛省はトンガとパプアニューギニアで行われる「パシフィック・パートナーシップ2013」に参加する。「関係国との間の相互理解と協力の促進、民間団体との協力促進を図るとともに、自衛隊における国際平和協力業務と国際緊急援助活動に係る医療および輸送に関する技量の向上を図る」ことが目的。
 派遣部隊等は、陸海空自衛隊医療要員約40名(調整要員を含む)、海自人員約180名、護衛艦「やまぎり」1隻、搭載航空機(SH—60J)1機、空自人員約30名、空中給油・輸送機(KC—767)1機。また民間からはNPO法人国際緊急医療・衛生支援機構の10名とNPO法人アムダから1名が参加する。
 活動場所と期間はトンガで6月12日から22日まで、パプアニューギニアで6月25日から7月6日まで。


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