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自衛隊ニュース   2013年3月15日号
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水陸両用作戦遂行能力が更に向上
陸上自衛隊
米海兵隊と実動訓練「アイアン・フィスト」を実施
カリフォルニア州キャンプ・ペンデルトン上陸作戦で
オスプレイに陸自訓練初搭乗

 陸上自衛隊は1月15日から2月22日まで、米国カリフォルニア州で米海兵隊と、島嶼部防衛対処能力の向上を目的とした実動訓練「アイアン・フィスト(鉄拳)」を実施した。「鉄拳」は平成17年に始まり今回で8回目。陸自からは、尖閣諸島を含む南西地域を担任地域に持つ西部方面隊から、島嶼防衛を主任務とする西部方面普通科連隊(西普連)を主体に、総監部の幕僚など約280名が参加した。米側の主体は第1海兵機動展開部隊隷下の第13海兵機動展開部隊(13MEU)。陸自の参加要員が昨年比100名増、水路及び空路で敵占領地域へ上陸し制圧する訓練を2度(前回は1度)行うなど、過去最大規模となった。上陸訓練では西普連がV—22オスプレイに搭乗、空路上陸を行った。同型機に自衛隊が訓練で搭乗するのは初。

 陸自部隊は米国入国後、訓練準備を経て、2月3日までは指揮機関訓練及び、水路潜入訓練・LCAC(エア・クッション型揚陸艦)/LCU(汎用上陸艇)訓練・ヘリキャスト訓練・戦闘射撃訓練・統合火力誘導訓練(※注1)の各機能別訓練を行った。指揮機関訓練では、「鉄拳」後半に行われる総合訓練(上陸訓練)の訓練計画を担当する日米の幕僚が情報・意見交換を重ねて当該計画を立案した。今回は陸自の参加幕僚の人数が前回比で大幅に増えている。また、機能別訓練では主要訓練地キャンプ・ペンデルトンの北東150キロに位置する29パームス(※注2)において、小隊、中隊、大隊規模の日米共同の戦闘射撃訓練と、統合火力誘導訓練を行っている。
 これらを経て、2月7日からは、2度に渡る総合訓練(上陸訓練)がサンクレメンテ島、C・ペンデルトンで行われた。西普連中隊主力約50名は、9日のサンクレメンテ島上陸訓練ではCH—532機、13日のC・ペンデルトン上陸訓練ではV—22オスプレイ4機に分乗して、上陸地点の沖合いに進出した米強襲揚陸艦ボクサーから発鑑し、空路上陸を行った。米側の13MEUは、どちらの訓練においても、自衛隊が購入を検討している水陸両用車AAV7に分乗し水路から上陸を行った。空路及び水路から上陸したこれら人員に加え、LCACを使用し水路から車両が上陸(陸自は高機動車やパジェロ、大型車が参加)、日米が連携して島嶼部を支配する敵を排除、地域を確保するシナリオで、2度の上陸訓練を完遂した。
 君塚栄治陸幕長は2月21日の会見で鉄拳の成果を問われ、「水陸両用作戦の資を得ることを目的に実施しましたが、十分にその目的を達成することができたと思います。今回は特に充実した指揮機関訓練を実施するとともに、日米間の実射を含んだ統合火力調整の訓練等を行うことができました」などと訓練を講評している。
 「鉄拳」は、今年度2度目の陸自—米海兵隊の米国での実働訓練だった(※注3)が、水陸両用作戦において、米海兵隊と自衛隊の相互連携の強化、及び、米海兵隊が持つノウハウを導入するため、国内外の様々な訓練や研修の機会を通じ努力が続けられている。南西地域をはじめ島嶼防衛の重要性が高まる中、自衛隊の水陸両用作戦遂行能力は着実に向上している。
※注1 攻撃目標へ発煙弾を発射、そのマーキングに向け統合火力(航空火力や艦砲)で射撃する訓練
※注2 米海兵隊空地戦闘センター。「鉄拳」初使用
※注3 昨夏に米国・北マリアナ諸島などで陸自—海兵隊の実働訓練が行われた


15回目の地方コンプライアンス講習会
「全ての職員が談合の加担者になり得る」

 防衛監察本部(梶木壽防衛監察監)は2月19日、海上自衛隊呉地方隊(総監・山口透海将)と共催で「地方コンプライアンス講習会」を開催した。同講習会は、平成21年度から各機関と共催で実施しており、今回で15回目を迎えた。
 講習会には、海上自衛隊呉地方隊及び呉警備区所在部隊等の職員約110人が参加し、開会に当たっての挨拶で中西正人呉地方総監部幕僚長が、入札談合に係る防衛省・自衛隊の最近の状況をふまえて、本講習会開催の意義を強調した。
 講習会では、公正取引委員会近畿中国四国事務所中国支所総務課長の松原慎二氏が「入札談合の防止に向けて」をテーマに講演、入札談合の定義を独占禁止法と関連付けながら、「入札談合を発見・防止する方策」と「入札談合に加担しない方策」の二つに大きく区分して、その問題点及び実態について詳しく説明した。また、入札談合を起こす原因として、(1)「事業者側の事情」(2)「発注機関の事情」(3)「発見・摘発の難しさ」を挙げて、全ての職員が談合の加担者になり得ることを強調するとともに、過去の官製談合の事例について、背景をふまえてわかり易い説明が行われた。
 さらに、入札談合等の関与行為に対する措置として、公正取引委員会における事件処理の他、刑事罰の適用についてふれるとともに官製談合の根絶を訴えた。
 本講習を受けて、齊藤敏夫防衛監察本部副監察監がさらに防衛省における最近の事例を詳しく説明し、防衛省・自衛隊としての対応について防衛監察本部の取組と併せて強調し、盛会のうちに講習会を終了した。


普通科教導連隊2名が東京マラソンで
ギネス世界記録を更新

 2月24日に実施された東京マラソンにおいて、普通科教導連隊(連隊長・麻生竜伸1陸佐=滝ヶ原)第2中隊長の櫻井徹3陸佐と重迫撃砲中隊の川井智之3陸曹は、フジテレビが企画した、「荷物を背負って走るフルマラソン」のギネス世界記録に挑戦した。
 櫻井3佐は「陸上自衛隊の突撃精神をもってどんな事があっても、前に進む」という強靭な気持ちで、重さ約27キロの砂を入れた背嚢が肩に食い込んで呼吸が困難となってくる等、過酷な状況の中で後半を走り抜き、4時間39分9秒のタイムで見事ギネス世界記録を更新した。一方、川井3曹は、過去の自分の競技人生に思いを致し、必ずギネス記録を更新して新しい自分を見い出す事を決意して、重さ約18キロの砂利を入れたバッグを背負い記録に挑戦した。ペース配分を研究、練習どおりの着実な走りで望んだ結果、従来の記録を大幅に上回る、3時間42分20秒のタイムでギネス世界記録を更新した。
 走り終えた川井3曹は、テレビ局のインタビューに「このチャンスを与えて頂いたフジテレビスタッフの皆さんと、応援して戴いた滝ヶ原駐屯地司令をはじめ駐屯地の全隊員に対し心から感謝を申し上げたい」と満面の笑みで答えていた。


雪月花

 埼玉県で1月、体調不良で119番した75歳の男性が県内外の25の病院に計36回にわたり受け入れを断られ3時間半後に救急病院に搬送されたが間もなく死亡したという事件があった。医療先進国とか社会福祉先進国とか言われているが本当にそうなのだろうかと疑問が生まれる。筆者はこの記事を入院先のベッドで読んだ。2月のはじめ朝霞駅の階段で転倒、頭部や顔面を強打し失神しそうなほどの出血があった。通りかかった女性が119番してくれ間もなく和光救急隊が来てくれた。救急車の中で応急処置をしながら受け入れの病院を探してくれた。受け入れ交渉をする救急隊員は必死に電話をしている、相手の返事が上から目線であることが想像できる。それにも拘わらず隊員は見も知らぬ筆者のために平身低頭頼み込んでくれている。最初の病院に断られると、他に当たりますからねとまたつぎの電話をはじめ三か所目に少し離れた朝霞台中央病院に受け入れてもらった。救急隊員は手術の執刀医に筆者を引き渡すまで付き添ってくれた。「私たちは行きますけど頑張ってくださいね」と声もかけてくれた。市ヶ谷・飯田橋周辺には救急病院が多いために救急車が頻繁に走っている、またかと思うほど。白バイやパトカーのサイレンには歩行者も車も協力するが救急車にはそれほどでもない。サイレンを鳴らしマイクで声もかけているが赤信号や一方通行の逆走もするので隊員たちは文字どうり命懸けである。今回運ばれてつくづく自分の身勝手さに恥じいった。


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